なかなか面白い時期におけるパワーアップ編...なのですが。
ぜ、絶望的に面白くない!
前回の妙なテンションダウンを、そのまま引きずっているような感覚で、折角のパワーアップ編も空回りしてしまったようです。
物語の基盤となっている「仕掛け」の数々はいいと思うのですが...。
その「仕掛け」の数々、実は往年の東映特撮ドラマの要素を巧く昇華したものでした。
まず、メサイアのバックアップを13枚のカードにし、それぞれが偶発的に強力なメタロイドとなって現れるという趣向。この辺りは、「フラッシュマン」のデウス遺伝子を有したデウス獣戦士に通ずる感じで、ボス自体のパワーを分け与えられた怪人軍団という、ワクワク感があります。
また、13人の最強軍団という意味では、数は異なるものの「仮面ライダーストロンガー」のデルザー軍団にも通じる感覚です。デルザー軍団編は、仮面ライダー史上、最高のテンションで展開されたものだと、勝手に思っていますが、危機また危機、悲壮感、相棒の死、パワーアップ、歴代勇士の集合...といった、凄まじいまでの盛り上がりで、第一期ライダーシリーズを締め括るに相応しい完成度です。
しかし、今回のエンターが示した13のカードは、そこまでのワクワク感やテンションはありません。
その理由を考えてみたのですが、メサイア自体がその圧倒的な力を見せたのは、たった1.5話程度で、後はエンターによってあしらわれているシーンしか思い浮かばない。つまり、メサイアは恐ろしくもないし、実質エンターの方が格上として扱われているように見えるからではないかと思います。
さらに、最強のメタロイド軍団という触れ込みの割には、そのスケールが異様なまでに小さいのも問題。
いきなり砂時計がモチーフというのも、ちょっとどうかしている感じ(もっと物騒なモチーフにしてくれ!)ですし、一斉にメタロイドが13体現れて「ヤバさ」を描写するならともかく、今までとあまり変化のない(=敵側のパワーアップがビジュアルで分からない)砂時計の怪人が現れた処で、全く説得力がないわけです。赤い右腕だけじゃ分からないよ。どうしてこうなった...。
確かに、魔空空間を研究したかのような、現実世界に突如出現する蟻地獄や、蟻地獄に引きずり込まれた者が直ちにデータ化され、メタロイドに蓄積されるというアイディアは良いです。しかし、データの蓄積先が最前線で動くメタロイドである意味もよく分からないし、一話であっさりニックが奪還される辺りも、盛り上がりという点では大コケに値するように思うわけです。
続いての「仕掛け」は、相棒奪還ドラマ。これについては、枚挙に暇がないので割愛したいと思います。強いて挙げるならば、「シャイダー」にはこのテのいい話が詰まっています。
で、この相棒奪還ドラマに「パワーアップの種」を絡ませたのは、抜群のアイディアだと思います。しかし、やっぱり出来れば一話で簡潔に描かないで欲しかったですね。この時期、バディロイド達との絆に関する話は、もう耳タコに近い程描写され尽くした感もあるので、このくらいが丁度良いと思う向きもあるとは思いますが、この期に及んだからこそ、ニックがパワードカスタムに際して恐怖を感じて逡巡するとか、深くて濃い葛藤ドラマが生み出せたのではないかと。前提として強い絆があるからこその葛藤とか、パワーアップ編にピッタリだと思うのですが...。
ヒロムがニックを救出する為に、再び立ち上がるシーンは、熱さと芝居のテンションの高さ、そして黒木司令官の確信といったカットも相俟って、抜群の効果を上げた名場面となりましたが、如何せんヒロム「だけ」のドラマになってしまい、パワーアップのキーパーソンであるニック側のドラマがあまりにも希薄だったように思います。
もう一つの「仕掛け」は、いわゆるパワーアップ合戦の要素。
これについては、「仮面ライダーX」、ひいては「変身忍者嵐」辺りからずっと続いている要素ですから、それこそ枚挙に暇がないどころか、もう当たり前の要素になっているわけですが、やはり一話で片付けられてしまった事(巨大戦におけるパワーアップが残っていますが、それはまた別の話)自体が残念。
そもそも「仮面ライダーX」のパワーアップも一話で解決してますが、そのエピソードは、それまでのライダーが行ってきた「特訓」を「改造手術」に置換しただけであり、「改造手術」の前に死にかけているという、「死と再生」を思わせる描写が加わっている為、一話で完結していても違和感は皆無です。
パワーアップの流れが変わってきたのは、「ゴーグルファイブ」や「ダイナマン」辺りで、新必殺技を生み出すに至るまで、数話を費やしています。以後、パワーアップ編は大きな盛り上がりを企図して挿入されるようになりますが、近年はマーチャンダイジングのスケジュールがより過密になっている為、この辺りがスルーに近い軽さになってしまったのは、少々残念ですね。
折角の、バディロイドの力がないと機能しないパワーアップという、ビジュアル面でも説得力に富んだ設定でありながら、今一つ盛り上がらなかったのは、ゴーバスターズに降りかかる「絶体絶命の感覚」が薄すぎたからでしょう。一話で片付けるなとは言いませんが、もっと追い詰めても良かったのではないかと思います。メサイアカードのメタロイドの強さが印象に残らないのも、その辺りに原因があります。
パワードカスタムの、マテリアライズを駆使した奇想天外なアクションは、非常に面白く、見応えがあったと思います。正にセンス・オブ・ワンダーの塊であり、チーターに変身して突撃したり、鉄骨や巨岩を作り出したり、空中を自由に駆け抜けたりといった、拡張現実をリアライズしたような映像は、作品世界にも完璧にマッチし、さすがといった処。
しかしながら、その能力の殆どをバグラーに対して使っていた上に、しかもバグラー自体のパワーアップには全く言及されていない為、物語終盤で、わざわざスタート地点のスライムをギガスラッシュで倒しに行くような感覚で見てしまい、やや興醒めしてしまったのも事実。
というわけで、あらゆる面で基盤を活かしきれない構成が残念。いつもながら、芝居も含めたビジュアルだけはハイパフォーマンスなんですけどね...。
この先、大丈夫なのだろうかと心配になってきました。エスケイプの登場(しかも、エンターの目力の前に虚ろになるエロティシズム!)は素直に嬉しいんですが(笑)。
匿名
いつもの感想はなるほど、と頷く所も多かったんですが、今回の感想は「好みじゃないのを作品の出来のせいにしている」「むしろ感想書く側がギャバン回のテンションダウンを引っ張ってる」点が多いように見えます。
メサイアの強さがあまり印象付けられていない、危機感の煽りがやや薄く急ぎすぎている、と言う点については確かに同意する点もあるんですが、他は言いがかりに近いかと。
特に「砂時計モチーフなんてどうかしている!もっと物騒なモチーフにしろ!」なんて、今までメタロイドの何を見て来たのか、あまりに酷い感想でちょっと目を疑いました。
チューバロイドやムシカゴロイドが脅威でなかった、とお思いなんでしょうか? そして逆に、ドリルロイドやバーナーロイドが、他のメタロイドに比べて特別に危険に見えたとお思いなのでしょうか?
物騒なモチーフならメタロイドがヤバく見える、なんてここまで30話以上ゴーバスターズに付き合って来た人なら到底口にできない感想ではないかと。メタロイドの危機感を演出するのはモチーフなんかではなく、別の部分でしょう。
厳しい事言いましたが、このサイトの感想を毎週楽しんでいるからこそです。過去特撮が大好きな方と言うのが見て取れるので、ギャバン回酷かったダメージが大きいと言うのも分かります。なので、なるべく早く元のテンションに戻って欲しいと思います。
天地人
君は見たか?女子高生のパンツを(おいっ)
まあ、それは置いといて、進んだ科学は魔術と見分けが付かないというか、パワードカスタムを使った技が某錬金術師や後番組のライダー及び咆咆弾にしか見えないのは自分だけでしょうか(汗)
さて、そのパワーアップですが、ゴーバスターオーが出るまでの敵メガゾードの強化に対する闘いの描写が綿密に描かれている為、ゴーバスターエース→ゴーバスターオーへの流れが納得出来たのですが、今回はやはり時間が短かった為か、あまり強くなった感じはしなかったですね。
竜門 剛
私としては、結構ふつうに楽しめましたが。ただ、おっしゃるように、パワーアップ編として盛り上がったかどうか、と言われればそれほどでもなかったように感じます。通常のエピソードのひとつというか。
ラストで、メガゾード戦が忘れられたようになっていましたが、メタロイドを先に倒せば、メガゾードは転送されないって設定でしたっけ?
後、印象に残っているのはやっぱりエンター。以前の愉快犯的な部分がなくなっていましたね。そうなるとコスプレは、もう無しなのかな~。
M'sRoad
エンターとエスケイプからセンター長達のデータをサルベージできるんでは
ないかと密かに思っていましたが、さてどうなんでしょう。
仮面ライダーゼロノスのチケットみたいに13枚のメサイヤカードが全て削除されるとヒロム達が家族と再会できる最後の希望も失われるとか?
ニックが蟻地獄に呑まれ、データ化されて砂時計に閉じ込められて引っ張り出される→アイテムに転送、という筋立ては判ったのですが、ビジュアルが急ぎすぎて子どもたちに伝わったのか気になります。お子さんがいらっしゃる方の感想も伺いたいですね。個人的には一旦実体化したニックが
「えー、またかよ」的な掛け合いの後に転送、という画が見たかったですね。そう考えるとやっぱ電王って良く出来てたと思います。
それと黒木指令の台詞が少し変わって、ヒロム達の心情等、視聴者への説明役を担うようなものが増えましたが、これも路線変更なのでしょうか。
ちょろ
こんにちは。
今回は・・久しぶりにくろりんの抑えた熱さが出ましたか。
わたしは面白かった派ですが感想は人それぞれでしょう。転機のエピソードでも前後篇をあまり作らない本作のスタイルは残念なのですが、それなりのカタルシスはあったかなと。
パワードカスタムアーマーはすっきりとして、アクションの魅力を損なわない良さ。特撮的にはイエローの空中を駆ける絵はなかなか、いつの日か周円軌道ではなく自由運動で見たいものです。ちょっと心配なのはブルーの技で、引っ張り出す物体は都度変えるのですかね?
エンターとエスケイプの位置づけ、巨大戦の扱いなど第2章のフォーマットは次回待ちですが、13年前の事件の謎はいつになったらという展開はずるいですな(笑)。
オオミツ
匿名さんのコメントに関して、ちょっと思うところがありますので。
確かに、今回の管理人さんの感想がすべて正鵠だと言うつもりはありませんが、
「言いがかりだ」という表現まで用いるにしては、匿名さんの所見もちょっと
説得力を欠いているように感じられます。
確かにここまで、メタロイドに関して、モチーフと実力が必ずしも比例して
いなかったのは事実です。それは、いくらでも具体例を列挙できると思います。
しかし、基本的に怪人というのは(メインターゲットである幼児には特に)
消費され、さほど記憶に残らない存在です。過去の強さ統計というのは、言わば
ストーリー展開における結果論であり、後から判るものでしかありません。
そして今回は、明らかな敵味方のレベルアップエピソードなのですから、当然
(最終的に敗北すべき)敵側のメタロイドは、戦う前の印象で「これまでとは
決定的に違う強さ」を徹底的にアピールしなければいけない存在なのです。
特に一番手は、多少これまでの定義から逸脱してでも、それをやるべきです。
一瞬の手合わせで判る。さらに言うなら、ひと目見ただけで判る。それこそが
この回の敵に求められていた、そして足りなかった要素ではないでしょうか。
これは作風や世界観以前に、ヒーローのカタルシスを高めるためには絶対に
欠かしてはいけないものだと思います。リアリティ以前に、ゴーバスターズは
戦隊ヒーローです。この部分に関する考察は、もう一度考えてみてください。
匿名
私もメタロイドの強さ表現については同様に物足りなく感じました。
砂時計なんだから時間を操るくらいはやってくれるのかと思いましたがそれもなしで、建物が飲み込まれる様子は砂時計っぽかったのですが、それだったら近づくだけで飲み込まれてしまうから手が出せないように出来なかったのか。
SirMiles
皆様、色々な意見ありがとうございます。
少々エキセントリックな語り口になってしまったのは反省していますが、言いたかった事はシンプルで、「第二章を謳うにしては、変化に乏しい」という事です。
「物騒」というのは言い過ぎましたが、日用品に加えて生物要素が混入したりといった、いわばゲルショッカーやデストロンのような「分かり易い発展」くらいは見たかったなぁーという話でして。
最近、最初のライダーを見返して、ゲルショッカー編開始前後があまりにも面白かったもので(笑)。
おたく
>匿名
なんでこの人謝らないの?おかしいよ