怒濤の合体攻勢ですが、「ゴーバスターズ」らしいビジュアルで決めてくれました。
一方で、ヒロムの「弱さ」をあぶり出す展開もあり、真面目でぶっきらぼうなヒロムというキャラクターに、ある種の奥行きを与えた格好になっています。
今回、久々にゴーバスターズを支える多数の人員に関する描写があり、各人のドラマにまでは一切踏み込む事はないものの、組織の規模感、統制のとれた「大人の職場」といった雰囲気、若いパイロット達を陰で支える心強さ、そして、マサトのカリスマエンジニアとしての求心力といったものが存分に描写されていました。
これらの要素の中で、突出していたのはやはりグレートゴーバスターですね。
現時点での最強合体を多用しない為の足枷は、亜空間における戦闘に長けるという用途の限定をはじめ、メインパイロットであるレッドバスターに著しい負担がかかるという、ある意味お約束の設定、(今回を見る限りでは)合体の為のオペレーションが実戦時に不可能である事など、色々と用意されました。
この中で、合体オペレーションに関しては、今後何事もなかったかのように、合体バンクが作られるのではないかと思いますが、私は今回の地味の極みといった具合の「作業」が素晴らしいと思ったので、ドックで多数の作業員を擁して合体させてから現場で運用するという感じにして欲しいですね。
ただ、今回のこの「地味さ加減」は、戦隊シリーズの持つ荒唐無稽なカッコ良さとは乖離しています。子供が素直にカッコいいと思うのは、こういう地味な描写ではなく、空中あるいはどこだか分からない空間の中で、ダイナミックに変形合体する様子だろうと思いますし、実際、変形ロボ初登場である「デンジマン」からして、黒バックに強烈なオプチカル合成を施した印象的な変形バンクがあって、その傾向は現在もなお(少なくともゴーバスターオーのコンバインオペレーションまでは)継承されているわけです。
話は少しズレますが、このテの話は既に「ジャッカー」で明らかになっていると思います。
というのも、「ジャッカー」は変身に際して、わざわざスカイエース内部の強化カプセルブースに集合し、各々の強化カプセルの中に入った後、「強化エネルギーを浴びて無敵のジャッカーにチェンジする」プロセスを経ます。このバンクシーンには派手な合成が施され、明らかに「ゴレンジャー」の変身よりもビジュアルは派手になっていますが、逆に「変身に手間がかかる」という「リアルさ」も追求されています。
この描写は、「ゴレンジャー」のように、戦闘中にすぐ「ゴー!」で早変わりするスピード感とは真逆を行っています。いわば、「ごっこ遊び」におけるシーンの連続性を断絶してしまうもので、例えれば、生身の戦闘を想定しているシーンの最中に、近くの土管へ寝そべりに行って、変身後の想定で戻ってくるという、何とも回りくどい遊びを要求する描写なわけです。
私が考えるに、「ジャッカー」の勢いがあまり振るわなかったのは、「ゴレンジャー」の明るいドラマ性からの転換という部分ではなくて、こういった「ごっこ遊び」に際しての不便さに原因があるのではないか。基本的に、当時はなりきりグッズ自体が少なく、「ごっこ遊び」における「変身前」の重要性は、現在よりもはるかに高かったのではないかと思います。ある時点から、変身アイテムが「変身後」にも露出するようになりましたが、これは現在における「ごっこ遊び」で、豊富ななりきりグッズによって「変身後」が重視されるようになった事の証左でしょう。つまり、「変身後」に露出しない変身アイテムは、変身を経てすぐに切り捨てられてしまう為、「変身前」の出番の減少に伴って、「変身後」にも活用してもらうように仕向けられたのではないかと思うのです。
話が大いに逸れましたが、つまり、子供達にアピールするのは、今も昔も「リアルな手順」よりもスピード感であり、その意味で、今回のようなグレートゴーバスターの合体プロセスが日常的に展開されるとなると、「グレートゴーバスターって強いけど、いちいち基地で組み立てるんだよな」的な、大人になった今ではちょっと考えにくい「シラケ」が発生するのではないかと。
逆に、マサト周辺の少々胡散臭い超科学なテクノロジーは、スピード至上主義(いわゆる手順省略の美学)に彩られていて、実にスピーディ。「ゴーバスターズ」の、一見戦隊のパターン破りでありながら、戦隊の雰囲気を湛えているバランス感覚は、マサトの登場でより研ぎ澄まされた印象すらあります。
さて、今回は擬似的に亜空間が作り出された事により、亜空間を「体感」していない面々に、亜空間の内部の状態がどうなっているかが示されました。
それによると、亜空間内では人間が身体を動かす事が困難となり、呼吸も満足に行えないとの事。恐らく、亜空間内は質量の高い何らかの粒子に満たされた状態なのではないかと思いますが、その辺りは適当でもいいでしょう。
問題は、ロジカルな設定よりも、むしろドラマにもたらされる要素です。
亜空間内の人々は、今もずっと苦しんでいる。そういうプレッシャーが、ヒロム達に影響してくるように仕掛けられたわけで、これはなかなか素晴らしいと思いつつも、そこまで過酷にしていいのだろうかという疑問もあったり。
ただ、マサトを見る限り、確かに亜空間内では人間は生きていく事が困難でありつつも、既に何らかの対処が為されているような印象もあります。対処といっても、非常に限定的であり、亜空間で自由自在に振る舞って生活出来るレベルでない事は容易に想像出来ますが。しかも、亜空間内ではマサト以外の人物は確認されていないので、特にヒロムの両親がどうなっているかは、全く想像が付きません。
いずれにせよ、亜空間の中に居る事自体が苦行と明示された事により、ヒロム達の戦う意味にも変化が生まれるだろうし、現に、今回スポットが当てられた、ヒロムの「弱さ」を乗り越える、強烈な動機として機能しています。
そのヒロムの「弱さ」に関しては、むしろ意外性があって、ドラマの良きアクセントになっていたと思います。しかしながら、心のウィークポイントとしてはいささか短絡的で、ヒロムのヒーロー性をややスポイルしてしまうような内容だったような気もします。まぁ、そこを含めて等身大の若者を描く事が、「ゴーバスターズ」のリアリティといった処でしょうか。「ゴーバスターズ」は最初にプロフェッショナルとしての技能と統率を作り上げてしまっていた為に、それを崩す過程に苦しんでいる印象があります。さて、この辺り今後どうなるのか...。
天地人
>突出していたのはやはりグレートゴーバスターですね。
何言ってるんですが、今回はなんといってもヨーコのパジャマ姿じゃないですか(爆)
フィルムロイド「答えは聞いてないよ~っ(違)」
まあ、それは置いといて
ヒロムの前に13年前の姿でケーキと共に現れた家族、当然ケーキはキャラデコじゃなっかですが、意外とヒロムは精神的に脆いのかもしれないですね(というか、それだけ当時深く傷ついたのかも)
次回はリュウジが最後の変身?でも、インターポールから特命刑事がきて2代目になるから大丈夫(それは非公認)
それでは、また
匿名
ごっこ遊びにおいて「自分が変身する」等身大ヒーローと、
「玩具で合体変形させる」巨大メカとでは、子供向けの描写は
おのずと違う気がします。
等身大ヒーローのごっこ遊びは変身ポーズ取って即チャンバラバラですが、
巨大メカは即合体とはいかず、玩具を手作業で合体させる訳ですから、
ごっこ遊び的にはむしろより子供に近い形になったのではないかと。
それが子供に「ウケるかどうか」の視点では、実際に子供に
聞いてみないとわかりませんが。
SirMiles
「ごっこ遊び」の話題は、巨大ロボ戦のなかった「ジャッカー」時期を引き合いに出しただけで、趣旨としては、いわゆる「ブンドド」に「基地で組み立てるぜー」という手順が相応しいかどうか、という意味合いでした。
少々逸れた方の話が熱くなってしまいましたので、論点がズレていたかも知れません。
申し訳ございませんでしたm(_ _)m
ちょろ
こんにちは。
今回は・・大きな手落ちがあったと思います。
陣の疑似亜空間説明以降は、人命救助が今回のミッションと司令が宣言して造りも軽いノリは控えなくては、スーパー戦隊ものとしておかしいかと。「早く助けなくては」がヒロムの台詞だけとはいけません。いい夢見ろよドラマもやってる場合ではないですね。
ミッションの猶予時間も限定されてないので、総員チューンアップ作業を徹夜で間に合わせる緊迫感が押し付け気味に。司令の憔悴した表情などはあるのに、どうもおかしいです。
敵側の作戦重要度が低いと断りはあるものの、初の対亜空間は前後編で丁寧に作って欲しかったと感じました。
M'sRoad
名も無きメカニックが奮闘する様が東宝の地球防衛軍みたいだったり、
黒木司令の毅然としながらも人情のある言動が科特隊のムラマツキャップをリアルにしたみたいだったり、
操縦者の心を巨大ロボの弱点と見なした敵の作戦が往年のロボットアニメに良く見られた展開だったり、
既視感ありまくりなんだけどパロディやオマージュとはまた違う、不思議な手触りだなぁと思いつつ見ています。
(ちなみに先週はストーリー構成とセリフ回しがケロロ軍曹みたい、と思ったら下山さんだった)
その内ヒロム達のウィークポイントについて「そう言えばそんな設定あったねぇ、最近見ないけど」とメタ的なセリフを誰かがつぶやくのではないかと思ったりしてしまいます。
擬似亜空間を作り出すメガゾードは今後も出てくるみたいなので、五機合体のシーンをどう描くか来週以降が楽しみです。
バド
今週はうちの子供らも何度も見直すくらい、面白かったようで。。
私的にも今期ベストくらいに楽しめました。
・偽物戦隊回かと思いきや早々に退場
・メタロイドに激怒するヨーコ。ヒロインの「黙れ!」は初?
・メサイヤとの初遭遇
・リフト上での変身
・コックピットへ走る5人
・武器は槍
・ロボ名を言っちゃうシルバー
見どころ満載で大満足です。次回コメディ回にも思えますが、どう調理するか楽しみです。
ゴーバスターズは酷評もありますが、私は今のまま、じっくり作って欲しいと思います。
竜門 剛
グレートゴーバスターのリアルな合体は、私もよかったと思います。個人的に全部乗せ合体は、あまり好きではないので、グレートの多用は控えてくれるとうれしいのですが。
メタロイド相手に激高するリュウジとヨーコは好きな場面です。意外にも(?)戦隊初出演の鈴村さんが、実に楽しそうだったですね。
天地人
今回の話と関係ないのですが、戦隊関連という事で・・・
超新星フラッシュマンに出演されていた、グリーンフラッシュこと俳優の植村喜八郎さんが、秋葉原で人名救助を行っていたそうです。
今月3日JR秋葉原駅のホームで、高齢の男性が倒れているところに通りかかり、駅員らと心肺停止状態男性に心臓マッサージや人工呼吸、自動体外式除細動器(AED)を使った懸命の救命処置を行ったとの事。
男性は処置中に息を吹き返し、病院に搬送されて一命を取り留めたそうです。
役の影響もあって、自分も何か人助けができるんじゃないかと考えていたところ、ヒーロー仲間の時田優さんに誘われ、救命救急講習に参加。
6年程前から、区役所や小学校などで救急法を教えるボランティアをしているそうですね。
なかなか出来る事じゃないですよ、ホント