Mission 13「サプライズな休日」

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 息抜き編かと思いきや、次回へ続くシリアス編へと展開する、別の意味でサプライズなエピソード。

 いわゆる前編とあって、謎をバラ撒いていく展開なので、今回はビジュアル面にしか言及出来ませんが、休日が破綻し、どんどん緊張感が高まっていくストーリーテリングの見事さは際立っていたように思います。

 この、休日が破綻するパターンは、風光明媚なロケ編を最大限に生かせるパターンである為、「行川アイランド」や「浜名湖」といった定番ロケ地における休日編が、東映特撮TVドラマで連発される事となります。今回は「とある動物園と遊園地」という事なので、タイアップ色はかなり薄いのですが、通常のエピソードでは見られない動物園の風景に加え、観覧車やメリーゴーランドといった遊具が登場するので、概ねこのパターンに則っていると言って良いでしょう。

 休日破綻パターンについて、もう少し言及。というか、今回はこの話題に終始(笑)。

 まず、きっかけとしてよく用いられるのは、職業軍人の休暇。そして、レギュラー子役陣等の夏休みに合わせた、戦士の休日といったもの。付加価値として、大体水着サービスがあったりします(笑)。あとは、個人的に気になる事件を追う為に、休暇の名目を採るというパターンもあります。しかし、こちらは「ウルトラ」で多用されており、東映特撮TVドラマではあまり思いつかないパターンですね。

 概ね、物語冒頭はバカンスの楽しい様子が描かれ、ロケ地ならではのステージイベントや景色が挿入され、ロケ編をアピールする作りとなります。この部分に殆どドラマを介入させないのも常套句。つまりは、ロケ地とのタイアップ色を出した「プロモーション」に徹しているわけです。

 今回は、この冒頭部分のタイアップ色が薄い為、割に淡々と進行していました。ただし、一番張り切っているヨーコのメンタル面も細密に描かれており、バディロイドの好みをリサーチした上で綿密な準備をしたと思しき様子や、休日がヴァグラスによって破綻し始める際に見せる表情に萌える事必至。むしろ、今回はこのヨーコの機微に注視しておく事が重要ではないでしょうか。

 休日に関しては、バディロイドは別として、ゴーバスターズの三人の中ではそれぞれに温度差があり、ヨーコが最年少ならではのホットさをアピール。前述の通り、ただはしゃいでいるだけではなく、計画的で無駄の無いプランに、学業以外での意外な頭脳派振り(?)が見て取れます。リュウジはヨーコの張り切り具合を理解しつつ、ややヴァグラスの動きを心配しているように見えます。ただし、そこは年長者の功。場をわきまえて「ここでは楽しむ」という方針を採っていました。ヒロムはまんざらではないものの、ヴァグラス出現に際しては、バカンス自体の優先度をゼロに等しいまでに下げていく冷徹さが光ります。

 つまり、今回のストーリーを運んでいくのは、あまりバカンス自体を重視していないリュウジやヒロムではなく、やはりヨーコであり、「せっかくの休日を...」という愚痴を最も体現しやすいヨーコに、視聴者は感情移入していく事となるわけです。

 さて、続いて破綻のフェイズですが、これも概ねパターンが決まっており、「たまたま悪の組織の作戦舞台がその地だった」というものと、「バカンスで浮かれているヒーローの隙を突く」というものに大別されます。「ゴレンジャー」のように、必殺武器をロケ地で紛失した為に取りに戻るという超絶エピソードがあったり、「バトルフィーバー」のように、内偵の為に現地にバカンスを装って赴くといったエピソードがあったりもしますが、それらはあくまで例外であり、基本的には前述の2パターンに収まるのではないでしょうか。

 面白いのは、更にその明るい雰囲気を活かしてそのままギャグ編として押し切る場合と、シリーズ上の大きな転機を持ってくる場合がある事で、後者では、特に「サンバルカン」が印象的。というのも、ロケ編は、バルイーグル交代劇+新女幹部・アマゾンキラー登場編の次のエピソードであり、劇場版と一緒に撮影された浜名湖編なのです。ここでは、着任したばかりの新バルイーグル・飛羽高之が絶体絶命の危機からギリギリの脱出をはかり、そしてこちらも着任早々の新幹部・アマゾンキラーの女傑振りを堪能出来る、シリーズ中の白眉の一つです。

 今回をパターン内で語るならば、「たまたま悪の組織の作戦舞台がその地だった」というもので、次回の結末如何によっては、「シリーズ上の大きな転機を持ってくる」パターンになりそうです。ヴァグラスの空間っぽい場所で、理由も告げずに佇んでいる司令官の姿も驚異であり、メタロイドの謎の行動(当初私はマクガフィンの一種かと思いました)、一旦決着がついたと思わせておいて、土壇場で危機に陥っていく様子等、1クール終幕に相応しい盛り上がり方ではないでしょうか。

 今回の別の見所としては、ゴーバスターズの普段着が挙げられるでしょう。年齢相応、またそれぞれのキャラに即したコーディネートは必見。特にヨーコは、公式サイトにも言及がある通り、全体的に昭和な可愛らしさでまとめつつ、今風なアイテムに加え、部分的にダサいポイントを散りばめている辺りが秀逸です。浮き世離れした訓練生活を営んできたヨーコのキャラクター性を、ビジュアルで語る! 素晴らしいと思います。

 はしゃぐバディロイドの演技も見事の一言。ニックの落ち着きのなさ(更に有事の際に、思いっきり遊園地の外にまで出てしまって迷子になるというトホホっぷり)は言わずもがな、ゴリサキが動物相手に興奮しつつ、子供に対して優しい動作を見せるのが秀逸。そして、そもそも「演技」自体が著しく制限されるウサダも、ちゃんとヨーコに振り回されている様子が巧みに描写されており、本当に完成度が高く、楽しませてくれました。

 おまけに、エンターが何故か目立つパンダの扮装でチューバ奏者に近づいたりと、お遊びの要素も完璧。裏で蠢いている内容は重苦しい感じですが、ビジュアル面の明るさがそれを凌駕しています。次回は、予告から危機編である事が分かりますが、今回とのコントラストがどのように描かれるか、楽しみですね。