理央の修行は続く。憎しみと強さが螺旋を描くが如く、理央は強くなっていく。カタを信用できないメレは、さらに拳魔を蘇らせる為、拳魔の腕輪と真毒を貸して欲しいと理央に進言、理央はあっさりと承諾する。カタは憎しみがどれほどの力となるか、ルーツに示せと命じた。
スクラッチの部屋で遊びや趣味を全開させ、片付けることをしないジャンとレツに、ランはイライラ。それを見たマスター・シャーフーは「ランは2人のママみたいだ」と評する。
ルーツが街に現れ、ゲキレンジャーは迎撃するが、憎しみで強力になったルーツは、「リンギ・鼓動戻し」でジャンとレツの鼓動を抜き取った。「お楽しみは長いほうがいい」と言うルーツは飛び去ってしまう。ランはいなくなったジャンとレツの行方を追った。ランが見つけたのは、赤ん坊になったレツと、少年になったジャン! マスター・シャーフーによれば、「鼓動戻し」は人間が刻んできた鼓動を抜き取ることで、相手を若返らせるリンギだという。ランは先の戦いで、抜き取られた鼓動を弾き飛ばしてしまっていた。鼓動を抜き取られた本人達は、抜き取られた鼓動の在り処を感じることができるという。ちびジャンとちびレツが鼓動の在り処を探り当てる間、ランは「ランママ」となるよう、マスター・シャーフーから命ぜられる。
一方、メレは海の拳魔の声に従って、海の拳魔の骸が眠るという深海に向かっていた。別の拳魔を蘇らせ、理央の気をカタからそらせようというメレの魂胆を、海の拳魔は気に入ったのだという。
ちびジャンのわがままや、ちびレツの世話に苦戦するラン。そうこうするうち、ちびジャンは鳥のヒナを助けるべく高所に登ってしまう。慌てて追ったランは、ちびジャンに対して母性本能を感じ始める。そこにルーツが出現、ちびジャンの助けたヒナを踏み潰してしまった。ランは襲い来るルーツから2人を守って逃げる。逃げ込んだ先で鼓動を見つけたランは、1人でそれを取りにいくが、ルーツに阻まれてしまった。敗色濃いランを助けるべく立ちはだかったのは、何とちびジャン。ちびジャンはゲキチェンジャーを使って「ちびゲキレッド」に変身する。ちびゲキレッドは「俺、ランママ守る!」と勢い付き、ルーツをパンチで吹き飛ばしてしまった。「憎しみよりも強い気持ち。それは、ママが子供を、子供がママを思う気持ち、ホワホワよ!」開眼したランは、母母打によってルーツを倒す。鼓動を取り戻したジャンとレツは元に戻った。
状況を把握できないまま、ランに促されて巨大化したルーツを迎え撃つジャンとレツ。ゲキトージャはゲキバットージャとなり、ルーツを粉砕した。
ジャンとレツには、子供になっている間の記憶が一切なかった。「ランにおもつをかえてもらった」ことを知り、愕然とするレツ…。
その頃メレは、拳聖の結界を気合で破り、海の拳魔・臨獣ジェリー拳のラゲクを蘇らせていた。
- 監督
- 諸田敏
- 脚本
- 横手美智子
ジャンとレツが子供に、そしてランが「ランママ」となって奮闘する楽しい一編。全編を激獣拳側の楽しい雰囲気でグイグイと引っ張り、その中に臨獣殿側の重要トピックを織り交ぜるという構成だ。
メイン・ディッシュである「ランママ」を語る前に、臨獣殿側のトピックを列挙しておこう。
まず、理央の修行は目立った進展なし(成長自体は言及されている)。ただし、カタに対するメレの反感は募るばかりだ。そのメレの思惑が、遂に海の拳魔・ラゲクを蘇らせるに至る。この関係、実はかなり面白い。メレは、理央が強くなるということよりも、カタに対する嫉妬を図らずも優先させてしまっている。いつしか、メレの理央に対する無償の愛は、一時的かもしれないが、エゴに変化してしまったようなのだ。一方、理央はカタとの修行に夢中で、メレの意を解さない。しかし、拳魔の腕輪と真毒を易々とメレに託すところを見ると、理央はメレの想いを受容するそぶりこそないが、メレをある程度信頼しているものと思われる。微妙ではあるが、心情やスタンス、ポジションの変化がドライヴしていく感覚が、実に面白いのだ。
拳魔の腕輪は、何かを求める者に答えるということなのか、海の拳魔・ラゲクの復活は、メレの嫉妬心をキーとして果たされる。ラゲクの声は、ベテラン・幸田直子氏。カタ役の納谷六朗氏と同じく、格調高い声が響く。裏に何を秘めているか分からないような、尊大かつ高貴な出で立ちは、「悪の幹部」としての威厳を充分に備えている。メレと同じく女性であるということで、これからの展開が大いに期待できそうだ。
さて、楽しい激獣拳側だ。憎しみにとらわれ猛進するルーツを迎え撃つ、爽快なゲキレンジャーの活躍…ではなく、子供になってしまったジャンとレツ、そしてそれをお守りするランのドタバタ劇。
深澤嵐氏は、ジャン役の鈴木氏に良く似た雰囲気で、「ちびジャン」を演じて見せてくれた。よくある子供返りパターンから一歩踏み出し、何と「ちびゲキレッド」に変身してみせるという大胆さには度肝を抜かれ、また笑わせてくれる。ゲキレッドのマスクだけが通常の大きさのままで、頭部が大きいバランスは何とも可愛らしい。わざわざ子供用スーツを作ってしまうあたり、気合の入り方が違う。
「ちびレツ」もアップ時にハッとするほど高木氏に似ており、キャスティングの苦労がしのばれる。ランの子育て奮闘は、子育てモノコメディの定石をちゃんと踏んでいたが、高所に置き去りにするといった、ハラハラさせるようなカットをわざと挿入するなど、ランの母性の成長を示唆するシーンが注意深く組み立てられており、完成度が高い。大人に戻ったレツが急所を隠して慌てるシーンも、これまた定石であるが、カット割のウマさやゲキイエローが目を覆うしぐさの可愛さが見事に融合し、笑撃度は倍増している。
「ママ業」を極めたランの新たなゲキワザ「母母打」は、「指圧の心は母心」の引用と思われるが、そこに「北斗の拳」のエッセンスを混ぜることで、珍妙ながら実にパワフルなシーンを創出することに成功している。「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」とは浪越徳治郎氏の有名なセリフ。このセリフを知るか否かで、何故「母母打」が指圧形の拳技なのかを理解できるか否かが決まってくる。これは一級のシャレなのだが、少々児童には説明不足だろう。
今回はとにかくランの魅力が噴出していた。特に困り顔のハマり度は最高。ゲキイエローになった後のアフレコも気合充分で、巨大戦におけるルーツへの一喝は、可愛らしさの中の強さを見事に表現していた。
天地人
ランですが、笑顔より、ちょっと怒った顔の方がいいですね。
今回のセクハラシリーズはジャンのカンチョウと抱きつき攻撃ですか(笑)まあ、あれだけ頑張ったのに2人とも覚えてない(爆)
まあ、レツが覚えていたら、それはそれで大変でしょうけど。
しかし、メレの理央に対する想いはあれだけ理央が苦労した封印を一撃で破るほど凄いのか?
そして、ついに海の拳魔が復活、今度は妬み、嫉妬を力にするんでしょうか。
チビゲキレッドといい楽しいシーンの連続でしたが、子育てでは某チーフに負けてるような(笑)アタック!
SirMiles(管理人)
ランとメレは、怒った顔が可愛いですね。まさにアタり^^
メレはちょっとパワーあり過ぎな気もしますけど、今のところOKでしょう。