アマゾン編の後編。アマゾンとマサヒコの関係をメインにフィーチュアし、最終的にはオリジナルのアマゾンにおける両者(つまりアマゾンとまさひこ)の関係に落ち着いていくのですが、何となくマサヒコの心情の変化が唐突であり、かなり予定調和に見えてしまいます。また、アポロガイストと十面鬼の扱いも中途半端で、十面鬼を最強の敵としつつも、あまり苦戦する場面が見られない等、その不徹底がストーリーの完成度にそれなりの悪影響を及ぼしています。
一方、劇場版とのタイアップ的な展開による、大ショッカーの全面的アピールは、それなりに成功しています。骨戦闘員の活躍はコミカルだし、大ショッカーの本拠地たるタワーの出現はなかなか鮮烈です。しかし、如何せん「アマゾン」と「ショッカー」というタームがまるっきり繋がらないという問題が...。
ちなみに、サブタイトルの「強くてハダカで強い奴」は、オリジナル・アマゾンの第3話「強くてハダカで速い奴!」のパロディです。でも、包帯姿ではあってもオリジナルのように完全な上半身「ハダカ」ではなく...。ここも中途半端な感じですね。
あくまで私的な感想ですが、折角ラスト前を「南光太郎編」で盛り上げてくれたのに、何だかこのアマゾン編で大失速した感があり、結構テンションが下がってしまいました。なので、本編の紹介と感想もそれなりになってしまいました。とりあえず、ご覧頂ければということで。
前回ラストからの続きで、アマゾンからギギの腕輪を奪い去るマサヒコのシーンから開始。マサヒコを庇って変身が解除されてしまったアマゾンに、すぐさまマンティスロードが襲いかかります。そこへ駆けつけたのはクウガ。タイタンフォームに超変身して迎撃、マンティスロードを打倒します。
タイタンフォームを披露するという意外性もさることながら、クウガの活躍がしっかり盛り込まれたのは嬉しいところです。
そして、アポロガイストと十面鬼の両面攻撃からディケイドを救ったのは、何とディエンド。しかし、海東は士を助けたわけではなく、あくまで狙いは十面鬼の持つガガの腕輪だとしています。しかしながら、それはあくまで表向きといった雰囲気で、本当に望んで士を助けた感じがします。
海東が加勢に入ったにも関わらず、徐々に劣勢へと追い込まれていく士。
「相手が十面鬼なら、こっちは三面鬼だ」
という珍妙な士の提案に、海東は、
「ハハ...それは面白いかも」
と乗り、「KAMEN RIDE ZANKI, TODOROKI, IBUKI」で斬鬼、轟鬼、威吹鬼を召喚。十面鬼達にぶつけます。
三面鬼なんていう暗号めいた提案をすぐに理解する海東。士に対する理解度が随分深いのを垣間見せていますね。
ディエンドは、三面鬼をぶつけている間に「ATTACK RIDE INVISIBLE」で姿を消し、士も変身解除してその場を立ち去ります。ダメージが大きかった士の元に夏海が駆け寄り、士に手を貸して逃走します。
その様子を、やや面白くないといった目で見ていた海東の元に、鳴滝が現れ、
「海東君、君の狙いは、ガガの腕輪ではなかったのかい?」
とやや意地悪く尋ねます。
「ま、どっちかと言ったら、士の邪魔をすることかな」
と答える海東。
鳴滝は、
「それでは物足りない。もしもディケイドを倒してくれるのなら、このカードをプレゼントしよう」
とディエンドのパワーアップカードを提示します。
海東は素早くそのカードを奪い取り、士の抹殺を約束しますが、これがどこまで本気なのかは判別出来ません。後の行動や劇場版を見る限りでは、海東のこの「約束」は口だけのような印象を受けます。
士は、夏海と一緒に大ショッカースクールの保健室に逃げ込みます。
「灯台下暗しと言うヤツだ」
という士は、夏海による傷の手当てを拒みますが、夏海は小さな傷でも用心するよう諭し、
「ユウスケから聞いたんですから」
と少々神妙な面持ちで話し始めます。
「俺の注射嫌いをか?」
と士。
「違います。この間、私が死にかけた時、命を分け与えてくれたそうですね」
「あのお喋りな奴め」
結局ユウスケは男同士の約束よりも、士と夏海の仲を応援したということでしょうか。
「あんまり、無茶しないで下さいよ」
と言う夏海。二人の微妙な関係を巧く表現した、なかなか秀逸なシーンです。士と夏海関連のシーンは秀作が目立つんですけどね。
そこに、アマゾンを支えつつユウスケも現れます。つまり、士とユウスケは同じ考えで行動したということになります。
「アマゾンが、マサヒコ君信じれば、マサヒコ君もアマゾン信じてくれると思ってました。でも、そうじゃなかった。アマゾン、とても悲しい...」
アマゾンの心の傷は深く、この心の傷とその克服がストーリーの縦軸として機能します。
リツコが勤務している保健室には、マサヒコとその父親の、思い出の写真が飾られていました。士は、その写真に写っているマサヒコとその父親の格好を見て、自分がこの世界に来た際に着ていたユニフォームと同じだと気付きます。
そこにリツコが現れると、士達を警戒。士は写真を見て、マサヒコが今よりずっと生き生きしているように見えると言い、リツコの動揺を誘おうとします(いや、純粋にそういう感想を漏らしただけかも)。アマゾンも、自分を信じてくれとリツコに訴えるのですが、大ショッカーを頑なに信じるリツコは、
「いいえ、ライダーは皆敵よ!」
といって警笛を鳴らすのでした。警笛と言っても、体育の授業で使うような笛で、学校モノの要素をコミカルに取り入れていることが、緊張感を完全にスポイルしています。大ショッカー自体が滑稽に扱われているので、この措置で正解と言えば正解なのでしょう。笛の音により、骨戦闘員達が大挙して現れました。
その頃、マサヒコは一人、野球のボールを持って父親を思い出し、涙を拭っていました。
マサヒコの元にアポロガイストが現れ、十面鬼の処へマサヒコを連れていきます。
「何故すぐにギギの腕輪を届けに来てくれなかった?」
「不安だったんです。十面鬼様が、もう一度僕を、大ショッカーの一員として受け入れてくれるかどうか」
「当然、受け入れますよ」
既にこの時、マサヒコはアマゾンのひたむきな姿勢によって、大ショッカーへの信頼を穿たれていたのでしょう。自分を見殺しにするアポロガイストを擁する大ショッカーを、自分は果たして無思慮に信頼していいのか、マサヒコの心は無自覚に揺れていたのです。しかしここでも、アポロガイストは饒舌でした。
「大ショッカーは、君の心と共にある」
この言葉により、マサヒコはもう一度大ショッカーに我が身を委ねることを決め、ギギの腕輪は十面鬼の手に渡りました。全人類怪人化計画の達成が近いと、高笑いし始めるアポロガイストと十面鬼。古き良き時代の悪役といった感じがノスタルジィを煽ります。これにはさすがのマサヒコも拒絶反応を示します。マサヒコが信じていたのは、人間がそのまま人間として「平和」に暮らす、大ショッカーの世界なのです。アポロガイストは、
「褒美として、お前を怪人にしてやる。それが大ショッカーの一員という証だ!」
と言い、マサヒコに改造手術を施そうとします。マサヒコは怪人になりたくないと拒否するのですが...。
士達が光写真館に戻ると、中はメチャクチャに散らかっており、栄次郎とキバーラも居なくなっていました。
アマゾンの複数存在したアジトも、これで全てが失われ、アマゾンの安住の地は完全に失われてしまいました。
「爺さんとキバーラ見つけて、とっととこの世界をおさらばするか」
と士。栄次郎は当然としても、キバーラを旅の仲間と認めていたのは、何だか意外でした。
「アマゾンはどうすればいい?」
この問いに、ユウスケは一緒に来ればいいと言います。しかし、夏海は本当にそれでいいのかという疑問に辿り着きます。
「士君があのユニフォームを着ていたのは、マサヒコ君を写真の頃のような、生き生きとした子に戻すということだったんじゃ?」
と夏海は今回の旅の目的をズバリ言い当ててしまいます。
「でも、アマゾンはもう、誰も信じられない」
アマゾンの心の傷は、簡単には癒える筈もありません。そこに士が斬り込んで行きます。
「だがマサヒコはまだ信じている」
「何をですか?」
「大ショッカーだ。何故連中をそこまで信じようとするのか、分からないがな」
信じるという感情。しかし、その対象が何であるかによって、周囲に与える影響は様々なのです。そこに海東がフラリと現れ、
「その少年君が、大変な目に遭いそうだよ」
と一言。「大変な目」とは、当然改造手術です。
ちゃんと科学技術担当の白戦闘員が登場するのがいいですね。しかし、ギギの腕輪とガガの腕輪で怪人を無尽蔵に創出出来ると言っておきながら、何故マサヒコをその実験台にしようしないのか、どうもこの辺りが不徹底なんですよねぇ。まぁ、改造手術のパロディを登場させたかったという意図は、分からないことはないですが。
「これより大ショッカーの改造手術を始める」
「何怪人にする?」
「う~ん、ナマコ怪人でどうだ?」
「そんなのやだ~!」
このやり取りは絶品。士の苦手なナマコを題材にするセンスもいい感じです。
「ナマコは俺も反対だな」
と、手術室に入って来たのは二人の骨戦闘員。
しかしてその実体は士とユウスケ。劇場版ではあの人物が骨戦闘員に扮しましたので、それに併せての演出ということでしょう。
士はマサヒコをユウスケに任せ、アポロガイストの計画を阻止するべく行動を開始します。
救出されたマサヒコは、アマゾンの元へ向かおうとします。リツコと無事再会するマサヒコ。
ユウスケが、
「アマゾンは、俺達と一緒に別の世界へ旅立つことにしたんだ」
とマサヒコに告げます。
「そんな、何でなの?」
「アマゾンは、もう誰も信じられないと言っていた」
「僕がひどいことしたからだ」
完全に「アマゾン派」になったマサヒコ。改造手術がイヤだら、大ショッカーとは相容れないという皮膚感覚が、少年をアマゾン派に寝返らせたのだとすれば、それはそれで非常にリアルな感情だと思います。しかし、なまじテーマを語ろうとする「ディケイド」の物語構造においては、この感覚は理解し難いものとして映り、マサヒコの信念は簡単に裏返ってしまうような浅薄なものだという印象に陥ってしまうのです。これが、今回の中途半端さの最大の原因です。
リツコは、
「ライダーが居なくなれば、この世界に平和が訪れるわ。良かったじゃない」
と喜びますが、
「違うよ!僕達が大ショッカーに騙されてたんだよ!」
と言って、マサヒコは一人でギギの腕輪を取り返しに行ってしまいます。
何故かユウスケはそこでマサヒコを必死に追い掛けるようなことをせず、呑気に光写真館へと帰ります。この辺りも緊張感がないですねぇ...。
光写真館でリツコは、
「弟は言っていました。本当に自分を信じてくれたのは、アマゾンだけだった。だから、その信用を取り戻すって」
とアマゾンに告げ、頭を下げて弟の救助を懇願するのでした。
リツコとマサヒコは、父を失ったことで開いてしまった心の穴を、大ショッカーに付けこまれ、大ショッカーを信じる事で、その穴を埋めようとしていたのでした。とすれば、随分と大ショッカーと波長が合ってしまった人が多いことで。この世界(というか、街)全体が大ショッカー色に染められているという設定なのに、そんな個人的な状況に合わせていちいち作戦を展開して洗脳していったのでしょうか。あ、すみません。ショッカーを初めとする悪の組織は、こうやって人心を掌握しようとしていたんですよね。幼稚園バスを襲ったりとか(笑)。
さて、十面鬼はギギの腕輪とガガの腕輪のパワーで、自警団の一人をヨブコに変えていました。
実験は大成功です。
「このギギとガガの腕輪が揃えば、超古代文明のパワーを無限に引き出し、全人類を怪人化出来る」
「人類にとっては、正に大迷惑な存在なのだ」
もういいってアポロガイストさん、その言い回しは。
「迷惑だと思ってるんならやめるんだな」
変身して現れたディケイドは、「FINAL ATTACK RIDE」を繰り出しますが、十面鬼も「ディケイド返し」で対抗。必殺キックの激突で大爆発です。
士の変身が解け、十面鬼もしばらく動けなくなってしまいます。そこに飛び込んできたマサヒコ。隙を突いてギギの腕輪を十面鬼から奪還します。実に勇敢な少年であり、大ショッカー幹部候補生たる資格をアポロガイストに認められるだけのことはあります。
「アマゾン、これまで酷いことしてごめんね。アマゾン、僕の世界を救って!」
「マサヒコ、アマゾン、トモダチ。この世界はアマゾンが救う」
二人のトモダチサインが交わされます。
効果音に当時のものが使われるのは、嬉しいものです。ここでアポロガイストが、
「馬鹿め。また裏切られるのがオチだ」
と一言。十面鬼も、
「我々が作り上げた大ショッカーの世界に、安住していればいいものを」
と告げます。しかしそこに士の一言が。
「お前らの作った世界は最悪だ!」
ここで例の「チャラ~♪」が鳴り響きます。
「人が人を疑い、誰も信じる事が出来なくなった世界。だがこの男は違う!この最悪な世界で、信じることを忘れなかった。だから本当に信じあえる友達と出会えた」
そう言って、士はアマゾンを見ます。しかし、ちょっと待て。アマゾンは「もう誰も信じられない」んじゃなかったのかい?...何か、凄く破綻してるんですけど。この破綻振りに苛立った(ウソ)十面鬼は、
「貴様、何者だ」
と士に問います。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」
といつもの台詞を決める士。
アマゾンとのダブル変身を果たします。
ディケイドはすぐにコンプリートフォームにチェンジし、攻めまくります。アマゾンも縦横無尽に飛び回り、アポロガイストに大切断が炸裂させます。
アポロガイストはまたも逃亡してしまいます。結構引っ張りますね。意外でした。
戦いの場に海東も登場。
「新たなカードの威力を見たまえ」
と、「ATTACK RIDE ILLUSION」の分身攻撃でガガの腕輪を奪い取ります。「パワーアップ」ってこれのこと?ちょっと拍子抜けですね。
と同時に、ディケイドの手にガガの腕輪のカードが出現します。
「ATTACK RIDE GAGA NO UDEWA」で、ガガの腕輪はディエンドの手を離れ、ディケイドの右腕に装着されます。
ここでガガの腕輪の威力が発揮されるわけではなく、「FAIZ KAMEN RIDE BLASTER」でファイズ・ブラスターフォームを召喚し、「FINAL ATTACK RIDE」を発動。ディエンドの「FINAL ATTACK RIDE」との同時攻撃が十面鬼に炸裂します。
アマゾンはそれをジッと見ている...(笑)。
ここで、ようやく「FINAL ATTACK RIDE AMAZON」が発動!アマゾンが巨大ギギの腕輪に...ではなく、ガガの腕輪がアマゾンの右腕に装着されます。ちなみに、オリジナル・アマゾンの最終回も同様の趣向で、「ギギの腕輪とガガの腕輪が合わさると超パワーが発揮される」という展開になっていましたが、ガガの腕輪のデザインも全く異なり、二つの腕輪は歯が噛み合うような形で合体しています。
「お前が決めろ」
「OK、ディケイド!」
「スーパー大切断」が十面鬼を斬り裂き、アマゾンライダーは勝利を飾ります。
戦いが終わり、アマゾンが例のユニフォームを着て、マサヒコとキャッチボールをしている光景。
夏海は、
「アマゾンさん、やっと安住の地を見つけたんですね」
と感慨深げ。士は楽しそうなアマゾンをフィルムに収めます。
「この世界での戦いはまだ続くだろうが、あいつが居れば大丈夫だろう」
と士。
「マサヒコ君や、リツコさんが居る限り、アマゾンは戦い続ける。俺だって、士や夏海ちゃんが居る限り」
と凛々しい表情を見せるのは、ユウスケです。ユウスケのこの戦う理由が、ユウスケらしくていいのです。
「士君は?」
「とりあえず行くぞ」
マシンディケイダーとトライチェイサーでほのぼのと去っていく三人が、何とも趣深いです。
その頃、大ショッカーの本拠地が姿を現していました。
この巨大な建造物は劇場版にも登場したのですが、ということはアマゾンの世界に出現したわけではないということであり、実に繋がりが分かりにくいように思います。
「安心しろディケイド。次の世界で君の旅も終わる。いや、君自身も終わる!今度こそ最後だ。ディケイド!」
と鳴滝が煽り立てますが、確かに次の世界で「ディケイド」自体が最終編となります。
栄次郎は士の写真を、
「う~ん、いい表情だ。生き生きしてる!」
と評します。
というか、栄次郎とキバーラは、光写真館がメチャクチャにされている間、一体どこに居たのでしょうか。しかも、光写真館は超短時間で復活してるし...。もうホントに無茶苦茶です。
キバーラは、
「世界のどこかに、あたしの安住の地もあるのかしら?」
と一言。いつもの戯言ですが、何故か光写真館に居る海東が、
「どの世界にもお宝はあるけどね」
と反応します。
「お前、何でお前が居んだよ!」
「居てあげてるんだ。感謝したまえ」
やっぱり相変わらずの二人です。
「私ね、思うんです。私達の旅はきっと、何か意味があるんじゃないかって」
「うん、確かに俺達は、旅を通じて色んな経験を積んで来たもんな」
「旅の答えは、旅の中にのみ存在する。な~んちゃって」
それぞれの思いを口にする一同。士は、
「とりあえず、俺は俺の世界を探す。全てはそこからだ」
と決意の程を口にします。海東は、
「全てを破壊する時が来たのかもな」
とシニカルな視線を向けます。
「どういう意味だ?」
と、また気まずい雰囲気に...。
折角皆揃ったから、写真を撮ろうと言い出す栄次郎。背景ロールを下ろすと、そこに描かれていたのはライダー大戦。
第1話にリンクする物語が紡がれるのか?最終編ならではの盛り上がりを期待したいですね。
ホント、あっさりした文章ですみませんでしたm(_ _)m
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