驚愕必至の南光太郎編に続き、またもや驚愕必至のアマゾン編。何故アマゾン!?と思わずのけぞってしまうようなセレクトですが、一応、アマゾンという異質なキャラクターを、士に重ね合わせる方向性で描かれており、本編を見た後は、初期昭和ライダーの中で順当なセレクトだったかも、と思わせられるのでした。
ただ、大ショッカーというキーワードにかなり引き摺られてしまったか、いきなり昭和な雰囲気にシフトしてしまい、これまで巧く平成ライダーシリーズの美点を取り入れてきた「ディケイド」にあって、文字通り異色作になったのも確か。大ショッカーに支配され、ライダーを拒絶するという世界観も、「ネガの世界」や「ディエンドの世界」の二番煎じに映ってしまい、正直今一つな感は否めません。
肝心のアマゾンですが、南光太郎の衝撃度がMAXだった為か、かなりトーンダウンした印象になってしまいました。確かに十面鬼は古代文明の力を感じさせて痺れる程のカッコ良さですし、ジャガーショックや大切断といった技も披露、変身も現代風のエフェクトで鮮烈度を増しています。が、何か物足りない。ギギの腕輪を奪われても平気とか、後半のアマゾンはもっと流暢だったぞとか、そういった些細なツッコミはいいのです。アマゾンライダーという、昭和の時代でしか出現し得なかったヒーローを、この平成ライダーシリーズで描くことへの違和感、これに尽きます。当時の「仮面ライダーアマゾン」という作品の、それこそ鮮血飛び散る程のテンションを持ち込むことは、まず不可能に近い。その為、今回のような、やや大人しいアマゾン像になってしまったのだと思います。
勿論、昭和のアマゾン像を期待する方が間違いだという論も成立するわけで、その視点で見てみると、色々な発見があります。
まず、エンリケさんという、エキゾチックな魅力を持つキャスティングを得て、アマゾン自身が異邦人的な要素を得ることに成功しています。元々オリジナルのアマゾンは山本大介というれっきとした日本人ですが、今回の物語では山本ダイスケといったキャラクターは存在せず、単に「日本人かどうか分からないアマゾン」として出現したわけで、よりアマゾンの異質さが際立っています。また、エンリケさんのブログによれば、流暢でないセリフ回しに関してかなり苦労されたようで、アマゾンライダー時のアフレコに若干の迫力不足はあるものの、純真なアマゾンのキャラクターをよく表現していたのではないでしょうか。
アマゾンがオリジナルとかなり異なるキャラクターに仕上げられた一方で、岡村マサヒコとリツコの姉弟は、明確にオリジナルのパラレルキャラクターとなっています。オリジナルでは岡村まさひこ、岡村りつ子という表記であり、まさひこはアマゾンの初めての「トモダチ」、りつ子は当初アマゾンを目の敵にしているという、今回の設定に通ずるキャラクターでした。原典を知る者にとっては、マサヒコがアマゾンを徹底的に敵視する展開が衝撃的であり、また昭和の時代の原典を知るからこそ、最後の最後で改心するのではという期待を抱かせつつ、サラッと裏切って見せる処がより恐ろしく映るのです。このあたり、平成ライダーではやや当たり前の展開になっていますから、マサヒコの衝撃度は、昭和時代のヒーロー番組を知るか否かによって随分と変わってきます。
では、色んな意味で衝撃的な今回の見所をまとめてみましたので、ご覧下さい。
まずは、今回の士のコスチュームを紹介。今回の士は、野球のユニフォーム姿です。
石ノ森先生原作の「レッドビッキーズ」を思わせるカラーなのは、多分オマージュなんでしょうね。士の格好はあまり普通ではない感じなのですが、夏海のこの世界に対する印象は、
「見たところ普通の世界に見えますけど」
というもの。それに対し、士は、
「普通ってのが、一番怖い気もするけどな」
と少し疑ってかかります。この「疑念」がアマゾンの世界のテーマでもあります。その士の疑念通り、この世界は普通ではありません。人々はごく普通の生活感を露わにしていますが、何とその挨拶は「イーッ!」なのでした。
この挨拶、かつてのショッカーにおける戦闘員達の、いわゆる「敬礼」にあたる動作です。バラエティ等でパロディも頻発されましたので、お馴染みですね。
「案の定だ」
とは士の言。茫然と眺めていた士達は、突如近づいてきた主婦らしき人物から、「イーッ!」と挨拶されます。何の反応も返すことが出来ない士達は、人々にたちまち囲まれてしまいます。
そして、これがマサヒコとリツコです。
マサヒコは士の格好を見て、
「お前、このユニフォーム、どこで手に入れた?」
と尋ねます。年上にお前はないだろうという士達のツッコミに、マサヒコは、
「僕は大ショッカースクール4年2組の岡村マサヒコだ」
と答えます。
「大ショッカーに入団していない者は、皆粛清する。イーッ!」
マサヒコがそう宣言すると、例のオーロラが発生して3体の怪人が出現。ゴ・ジャラジ・ダ、マンティスロード プロフェタ・クルエントゥス、カンポノタスワーム・マキシラです。いやはや、平成ライダーの怪人は名前が難しい...。士達がさらに茫然としていると、そこにアマゾンが登場!
「そこまでです!」
と怪人達を牽制し、
「あなた達は逃げるんです!」
と士達に告げ、いよいよアマゾンライダーに変身!
オリジナル・アマゾンで印象的だった、子門真人さんの「アーマーゾーン!」が鳴り響く分身エフェクトではなく、より平成ライダーの怪人的な変身にアレンジされており、鮮烈な印象を与えています。
「アマゾンの世界か」
と士。ユウスケの、
「何か、どっちも怪人に見えるぞ」
というアマゾンライダー評に、
「あの垂れ目のライダー、アマゾンだ」
と答えていることから、これまでの世界とはやや異なり、士もある程度アマゾンライダーの存在を把握している、あるいは少しばかり思い出しつつあるように見えます。
なお、垂れ目は石ノ森ヒーローのトレードマーク。仮面ライダーだけでなく、イナズマンも、キカイダーも垂れ目です。人にあらざる者達の悲しみを象徴しているという説があり、この点は平成ライダーでほぼ払拭されてしまった要素かも知れません。
夏海に促され、変身しようとする士ですが、何故かフォークボールの形を披露。古くは「ウルトラマン」で、ハヤタが変身に際し、スプーンを間違えて構えるシーンから始まるこのギャグ。長い時を超えても充分通用しますね。
現れたディケイドを見て、
「ディケイド、あなたもライダーですか」
と問うアマゾン。このあたりもこれまでの世界とは異なり、ライダー自体にディケイドが敵であるとは吹き込まれていません。そもそも、街の人々自体がライダーを拒絶しているのですから、鳴滝はディケイドが世界の破壊者だと吹き込む必要がなかったわけです。
アマゾンの問いに、
「maybe 多分な」
と答える士。ここに共闘する2大ライダー!
アマゾンのアクションがオリジナルを巧く再現しつつ、現代風の撮り方が加わることで、非常に味のある仕上がりとなっています。
ディケイドが「FINAL ATTACK RIDE」でカンポノタスワームを倒すと、市民達はライダーより怪人を応援し始めます。しかも、残った2体の怪人を取り囲んで守ろうとするのです。先頭に立ったマサヒコは、
「仮面ライダー!僕達が相手だ!」
と雄々しく宣言します。
「ちぇっ、人間相手は趣味じゃないぜ」
と士。一挙に形勢不利となったライダー勢。アマゾンは、ディケイドを連れて逃亡を図ります。巧く市民達をまき、ささやかな休息を得る一同。
「一緒に戦ってくれるライダーと会えるなんて、アマゾン、とても嬉しい。ディケイド、アマゾン、トモダチ」
アマゾンは、「トモダチ」のサインを作って見せます。
オリジナルでは、これをまさひこから教わっており、大ショッカースクールの優等生であるマサヒコと対比させた時、非常に象徴的に見えます。
そこに、何者かの気配が。士が、
「出て来いよ」
と呼ぶと、海東が出現。
「嬉しいね。僕の気配を感じてくれて」
「誰ですか?」
とアマゾン。
「安心したまえ。僕もライダーだ」
「ほざけ、ただの盗人だろ」
相変わらずの二人です。前回、海東が士に対し、もっと自分を見て欲しいと訴える場面がありましたが、それを踏まえたシーンになっています。
夏海が、海東にこの世界について問うと、
「この世界では、十面鬼率いるゲドンが、大ショッカーと手を組み、世界征服を企んでいる」
と簡潔な説明を。さらにアマゾンが、
「彼らは人々に訴えました。ライダーが世界を破壊する悪で、自分達が世界を救う正義だと」
と付け加え、最後に海東が、
「やがて人々は、続々と大ショッカーに入団し、入団しない者は、追われる身になった...というわけさ」
と締め括りました。
十面鬼、ゲドン。オリジナル・アマゾンの1クール目に登場した悪の組織に関するタームがそのまま使用されています。ただし、オリジナルの十面鬼はゴルゴスという名前であり、今回のユム・キミルとは全く別物のキャラクターと言っていいでしょう。また、クライシス帝国のチャップのように、ゲドンにも赤ジューシャなる女戦闘員が存在しましたが、今回は登場しません。個人的には、是非とも登場してもらいたかったですけどね(笑)。
ここで士はアマゾンが身に着けているギギの腕輪を指し、海東にこれが狙いかと問います。
「見くびってもらっては困るなぁ。僕が狙っているのは、ギギの腕輪よりレアな、ガガの腕輪だ」
と海東。ガガの腕輪を入手したら、ギギの腕輪も頂戴するといって去って行きます。
冒頭で少し触れたとおり、ギギの腕輪はアマゾンの力の源であり、いわば一般的なライダーの変身ベルトにあたる代物です。しかし、「ディケイド」におけるギギの腕輪は、アマゾンの命と等しい物ではなく、パワーアップの為の装飾品的な印象を持っています。
一方、ガガの腕輪は、オリジナルでは十面鬼ゴルゴスが身に着けており、この点では今回のユム・キミルと同様なのですが、ゲドンが滅びた直後、ガランダー帝国のゼロ大帝の手に渡り、最終的にガガの腕輪を入手したアマゾンが超パワーを得て、ガランダー帝国を滅亡に導きました。
このように、ギギの腕輪とガガの腕輪は対であり、海東が両方とも欲しているのは、充分過ぎる程納得出来るのです。
さて、大ショッカースクールの朝礼では、骨戦闘員が進行役を務めていました。
劇場版でも骨戦闘員は大活躍(?)しますので、正にこれは劇場版とのタイアップだと言えるでしょう。骨戦闘員は、第一作の「仮面ライダー」の地獄大使編に登場したショッカーの戦闘員であり、非常にポピュラーな戦闘員の代表格です。
この骨戦闘員の発表によれば、マサヒコは、反乱分子摘発率トップの成績だとのこと。マサヒコは、アポロガイストより表彰されます。
「この成績なら、幹部候補生になるのも夢ではない」
とアポロガイスト。オリジナルのまさひこも頭の切れる子供でしたから、印象は近似しています。その様子を物陰から伺っていた鳴滝は、
「おのれ大ショッカー!このままでは奴らが世界を奪ってしまう。これも全てディケイドの所為だ。ディケイドの...」
と呟いています。鳴滝にとって大ショッカーもディケイドも敵。一体どういうポジションなのでしょうか?劇場版で、そのポジションの一端を垣間見ることは出来ますが...。
一方、アマゾンが「アジト」に帰って来ると、そこは光写真館でした。
要するに、アマゾンが「アジト」にしていた場所に、光写真館が移動してきたわけですね。割と立派な外観をした建物ですから、「アジトにしている」という言葉がどうも結び付かないのは、ちょっと問題ではありますけど。
光写真館に帰って来た士達を待っていたのは、モグラ獣人の真似をする栄次郎。
「チュチュー!」という鳴き声まで真似してます。
とりあえずモグラ獣人についても説明しておきましょうか。モグラ獣人はゲドンの獣人の一体として出現したキャラクターで、いわゆる一介の怪人なのですが、死刑寸前のところをアマゾンに助けられたことにより、アマゾンの協力者としてレギュラー化します。怪人が仲間になるという展開は、後は「BLACK」のクジラ怪人に見られるくらいで、仮面ライダーシリーズではあまり見られません(「555」のオルフェノク達を初めとし、平成ライダーでは敵味方が曖昧になったりしますが)。ライダー以外でも、「アバレンジャー」のヤツデンワニくらいしか思い出せません。
夏海は、
「士君のするべきことはやっぱり、この世界を救うことじゃないでしょうか」
と言いだし、アマゾンも、
「アマゾンと一緒に戦いましょう!」
と士を戦いといざないます。
「さて、どうしたものか...」
と士。この世界での真の為すべきことを探っているのか、はたまた面倒だと感じているのか...。
シーンはマサヒコ関連に移ります。マサヒコは、その優秀さを買われてか、十面鬼に招聘されていました。
ここで十面鬼の初披露となるわけですが、これはまたオリジナルとは全く異なるデザインでびっくり。冒頭での記述と重複しますが、古代文明の力を感じさせる意匠が秀逸で、ブラッシュアップされたアポロガイストと並んでも何ら違和感のないスタイルに仕上げられています。「十面」(の内の九面)が平成ライダーの顔になっているのも面白いところで、これが戦闘におけるギミックとして活かされます。
「世界の破壊者・仮面ライダーを一掃する為に、アマゾンのアジトを突きとめて欲しいのです」
とマサヒコに告げる十面鬼。慇懃な言いまわしが不思議な印象を与えています。
「アマゾンのアジト?」
とマサヒコ。
「アマゾンは正に、トカゲのように用心深い。しかし相手が純真な子供だと騙され易い。それを利用するのです」
十面鬼は、要するにマサヒコにスパイをしろと言うわけです。それを聞き、黙ってしまうマサヒコ。なお、アマゾンライダーのデザインモチーフは、マダラオオトカゲです。
「騙すのは、何か卑怯な気がして...」
十面鬼に沈黙の意を問われ、マサヒコはこう答えました。そこにアポロガイストが登場。
「さすがは、次期幹部候補生である。君の正義を愛する心は見上げたものだ。だが私は、真の正義を貫く為なら、自らの手を汚す。そんな私を君は、卑怯者と罵るかね?」
「とんでもありません!」
この作戦を成功させれば、大首領が喜ぶというアポロガイスト。その地位を巧みに利用した言い回しが実に悪辣ですが、アポロガイストの言う「真の正義」が、自ら欺瞞だと知っていることこそ、昭和の悪の幹部ならではなのです。
マサヒコを送り出したアポロガイストは十面鬼に、アマゾンを倒しギギの腕輪を奪うよう指示します。アポロガイストが大ショッカーの大使であることを如実に表すシーンです。ガガの腕輪と合わされば、超古代文明のパワーを無限に引き出すことが可能だという十面鬼。このあたりはオリジナルと同様です。オリジナル・アマゾンでも、ギギの腕輪は執拗に狙われていました。
「あの作戦」の実行に期待し、高笑いをするアポロガイストと十面鬼。「あの作戦」とは一体何でしょうか?
十面鬼のアジトに潜入していた海東は、ガガの腕輪の持ち主が十面鬼であることを知り、行動を開始します。
さて、士は「大ショッカーの征服がどの程度進んでいるかを確かめる」と言って街を歩いていました。多分これは理論武装であり、単に散策に出かけただけのようです。ただ、士の行動は常に次の展開へと繋がるわけで、士の目前で反乱分子と目される者が連行されます。
「ここは人が人を疑う世界ってわけだな」
士がそう理解したところで、士達も反乱分子として市民達に追われることに。直ちにアマゾンが逃走経路を確保するのですが、リツコがアマゾンの行動をマサヒコに報告します。なるほど、マサヒコの摘発率がいいのは、リツコがかなりの面でサポートしているからですね。
たちまち追い詰められ、物陰に隠れる士達。
士「アウェイの戦いには、慣れてはいるが」
夏海「こんなに辛い世界は初めてです」
アマゾン「ユウスケから聞きました。士も、自分の世界を探して、旅をしているんですね」
士「じゃあ、お前も旅を?」
アマゾン「はい。アマゾンは、安住の地を探して、色んな国を旅しました。アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ...でも、見つからなかった」
アマゾンは世界を回って日本に辿り着いた折、ゲドンとの戦いに巻き込まれてアマゾンライダーとなったとされています。
ここはオリジナルと大幅に異なる部分で、今回のセリフから受ける印象だと、アマゾンはゲドンの手によってアマゾンライダーになったかのようです。あるいは、偶然手に入れた「元々はゲドン所蔵の」ギギの腕輪の作用でアマゾンライダーとなったか。オリジナルでは、ゲドンの侵略開始に際し、アマゾン川密林の部族の長老バゴーによって改造された姿がアマゾンライダーということになっています。
「アマゾンは、どの国にも馴染めない。街も人も、全てが僕を拒絶しています」
と洩らすアマゾン。これはオリジナルの当初における、日本に馴染めないアマゾンの姿を投影した設定ですね。
夏海は、
「それってまるで...」
と士を見ます。あらゆる世界で浮いた存在となってしまう士に、アマゾンの姿を重ね合わせたのです。
そこに突如、戦闘員に襲われるマサヒコの姿が。アマゾンはすぐに飛び出していきます。士は何故か自ら動くことなく、ユウスケに行けと指示します。ユウスケに行けと言う士の行動は、マサヒコを疑っている故に、傍観して観察したいが為です。
転んだ時に足を怪我したというマサヒコ。夏海が心配して駆け寄ります。
マサヒコの手当の為、アマゾンは自分のアジトへ行こうと持ちかけます。これで、マサヒコの、ひいては十面鬼やアポロガイストの思う壺となりました。ニヤリとするマサヒコが空恐ろしい感覚です。鋭敏な士は、マサヒコを怪しみます。
「お前、何故追われていた?」
「僕、大ショッカーをやめたんです。そしたら、始末するって襲ってきて...」
「何故やめようと思った?」
「何となく感じたんです。大ショッカーより、アマゾンの方が信じられるんじゃないかって...」
アマゾンはこのマサヒコの言葉に素直に喜ぶのですが...。
「お前には姉貴がいたな。大ショッカーをやめる事、姉貴には相談したのか?」
「それは...」
「姉貴にも内緒でやめたのか?」
「だって、そんな時間無かったし」
アマゾンは、マサヒコを信じると言って士の詰問を制止してしまいます。士はなおも怪訝な表情を崩しません。皮肉なことに「人を疑う世界」で、士自身が率先して疑わないとならない状況に陥ってしまっているのです。
アマゾンはマサヒコをおぶってアジトへ歩いて行きます。
「人って、温かいですね」
「えっ?」
「アマゾン、人と触れ合うの久し振り。マサヒコ君、とっても温かい」
マサヒコは、父の背中におぶられたことを思い出します。
この時のユニフォームこそが、この世界に来た時の士の格好なのでした。即ち、士は積極的にマサヒコと関わらなければならないという役割を担っていることになります。
回想の中でマサヒコの父も、
「マサヒコ、お前、あったかいな」
と、アマゾンと同じことを言っていました。
マサヒコがふと父親の愛情を想起するということは、マサヒコは大ショッカーを完全に正義だと信じている、無垢な少年だということです。なお、マサヒコの父は1年前に亡くなっています。
やって来た光写真館で、アマゾンは薬草を調合し始めました。ユウスケが細かい芝居をしているのが愉快です。その間、トイレに行くと言って姿を消したマサヒコは、大ショッカーにアマゾンのアジトの所在を報告していました。気付いた士がやって来て携帯電話を取り上げますが、
「もう手遅れだよ。この場所は、GPSで本部に伝わったからね」
とマサヒコ。アマゾンは、大ショッカーよりも自分を信じてくれと詰め寄りますが、マサヒコは頑なに、
「悪いのはライダーだ!」
と声高に叫ぶのでした。
そこに、
「その通りです」
と十面鬼が登場。十面鬼はライダー殲滅を宣言し、ゴ・ジャラジ・ダ、マンティスロード プロフェタ・クルエントゥス、バケネコを召喚します。平成ライダーの敵種族が続々登場です。アポロガイストも出現し、マサヒコがアマゾン達と一緒に居るにも関わらず、攻撃を開始しようとします。
「アポロガイスト様、僕はまだここに居ます。攻撃を中止して下さい!」
「君は、ライダーと共に、名誉の戦死を遂げるのだ。やれ」
「そんな...」
マサヒコの懇願は聞き届けられず、アポロガイストと十面鬼の攻撃は開始されました。
「これが大ショッカーのやり方なんです!」
とアマゾン。士、ユウスケも戦線に立ち、個性的な三大ライダー揃い踏み!
細かい仕草ですが、ユウスケとクウガが腕を振り上げる独特のファイティングポーズを共通して行っていることにより、キャラクターの同一性を強く印象付けています。今回はこの仕草が頻繁に登場する為、より印象が強いです。
戦いの中、パーフェクターを返すよう士に告げるアポロガイスト。
「お前は人の命を吸い取らなければ、生き永らえないんだってな」
「その通り。私は、全人類にとってとても迷惑な存在なのだ」
またもや妙な言い回しを披露しました。実に愉快なキャラクターになっています。
「じゃ、こうしよう」
と言いつつ、パーフェクターを破壊するディケイド。すぐさま「KAMEN RIDE FAIZ」でファイズに変身し、アポロガイストを追い詰めていきます。
一方、アマゾンはジャガーショックでゴ・ジャラジ・ダを打倒!
緑色の血飛沫が上がるという描写が、オリジナルにおけるヒロイックな猟奇性に準拠しており、満足度は最高です。そして、次に繰り出されるは大切断。これでバケネコを倒します。
この大切断はやや迫力不足な印象。何といっても、オリジナルは本当にぶった切って血液の大噴火なんてのをやってましたからね。あと、「大!切断~!」の叫びもちょっと遠慮気味。
そして、クウガは十面鬼に挑みます。クウガのマイティキックに、クウガの顔を光らせて対抗する十面鬼。
「クウガにはクウガ返しだ」
両者のキック対決は、クウガではなく十面鬼に軍配が。オリジナル・クウガの終盤戦におけるゴ・ガドル・バとの対決を彷彿とさせます。
さらに、ファイズ返しもディケイド・ファイズに炸裂。
大ショッカーの進撃に、ライダー陣の敗色は濃くなっていきます。好機と見たアポロガイストは、マグナムショットでディケイドを撃ちますが、ディケイドは間一髪ライドブッカーで弾きます。しかし、その銃弾は流れてマサヒコに!
アマゾンはマサヒコを庇って負傷、変身が解除されてしまいます。
アポロガイストに軽んじられ、アマゾンが身を呈して自らを庇ってくれた...。そんな状況に置かれれば、改心する筈だと思わせておいて、
「大ショッカーが、僕を裏切るわけがない!このギギの腕輪を持っていけば、必ず、もう一度僕を受け入れてくれる!」
と叫びつつ、マサヒコはアマゾンの腕からギギの腕輪を奪い取ってしまうのでした。ここまで徹底してくるとは思わなかったので、正直ビックリしました。ただ、物語の展開上、マサヒコの性質が生来悪であるわけはなく、ここまでの状況に置かれてもなお、改心の兆候を見せないことには、やや違和感も感じます。それだけアマゾンが人々に拒絶されているということの強調には、一応なっていると言えるでしょう。
ちなみに、このアマゾンの表情、オリジナルを演じた岡崎徹さんに良く似ていると思いませんか?
あまりに当時のアマゾンに似ているので、ちょっとドキッとしてしまいました。
そして、十面鬼とアポロガイストの共同攻撃の前に、ディケイドは...
というところで幕。次回に続きます。
市民全員がほぼ大ショッカー化しているという大風呂敷を広げた今回。どのように収拾を付けていくのか楽しみですね。
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