驚愕の「南光太郎編」後編。今回は「RXの世界編」ではなく、何と「BLACKの世界編」とも言うべき内容になっていた為、敢えて「南光太郎編」と呼ぶことにします。
「南光太郎編」だけあって、光太郎関連の充実度は異様なまでに高く、正に蘇るBLACKといった趣になっています。中でも、「RX」の光太郎が、戦い続けることに対して微塵の疑問も感じていないのに対し、「BLACK」の光太郎は、戦いが続く事に対する苦悩を覗かせたり、大勢の仲間に恵まれた「RX」と対比される孤独な「BLACK」といった要素があったりと、とにかく両作品の差異を明確に取り上げているわけです。それは物語へ深みを与えると同時に、両作品を深く知る者にとってはパロディとしても映ります。当時、番組のタイトルが変わって光太郎の性格もガラリと変わってしまい、ある種の困惑を感じた当時のファンへ、パロディを届けようという意図が感じられます。
物語の構造としては、RXの南光太郎に仲間の存在を示唆され、士が動き始めるという前回に対し、果てしない戦いに苦悩するBLACKの光太郎に、士がRXの光太郎の力強い決意を伝えることで、BLACKの光太郎の戦う決意を促すといった構造になっています。つまりは、他のライダーの世界に近似した流れを見せるわけですが、何とそれは前半に集約されており、後半は光太郎ダブル変身という一大イベントに向かって一気呵成に進んでいきます。この変則的な流れにより、劇場版への引きを作っているのはなかなか巧いところです。
しかしながら、前半でBLACKの世界を脱したことにより、些かBLACKが軽視されたきらいもあり、その影響は、RXとの共闘がBLACK本人ではなく、ディエンドの「KAMEN RIDE」によるものになるなど、随所に表れています。また、霞のジョーが最後まで全く登場しなかったのも不自然。存在自体が色濃く匂わされてはいますが、どうもこれは小山力也さんへのオファーをギリギリまで粘っていたという事情があるものと推測出来ます。あくまで推測ですが、登場してもしなくても成立するよう、あのような措置に至ったのではないでしょうか。
実際は夏海と士の物語も充実しているのですが、その辺りは本編の方で。今回はキャプ画大放出で進行します。何といっても、光太郎が二人居ますから。
前回の続きから開始。BLACKがディケイドを「破壊者」と称し、襲いかかるシーンです。BLACKの、RXとは異なる身軽な動きを早くも堪能出来ます。
ディケイドが押される中、突如現れたディエンドがBLACKを銃撃します。
「お前も、ディケイドの仲間か!」
「心外だな。仲間ってのは、僕の最も嫌いな言葉だよ」
士が「仲間」という言葉の意識を変化させ始めた折、海東は「仲間」という言葉に拒絶反応を示します。何となく、士と海東には似た所があるのですが、士の変化に伴い、海東も追随しているように見える瞬間が、そこかしこに見られます。わざわざBLACKの世界に現れたことからも、かなり士を意識していることが分かります。
ディエンドは「KAMEN RIDE FEMME」でファムを召喚。何となく加藤夏希さん本人の声に似ているような...。
「あのライダーは?」
「女ライダー・ファム。思った通り、お堅いBLACK君は、女性の扱いが苦手なようだ」
「相変わらずセコい手を使うなぁ」
「頭脳的と言って欲しいね。さぁ来るんだ」
海東の言葉通り、BLACKは苦戦を強いられます。
この勝負の決着は、結局描かれず仕舞いなのですが、勿論途中でファムが消滅したからこそ、後にもBLACKが登場するわけです。
それにしても、海東の台詞からは、「BLACK」期の光太郎のオクテな様子に対するパロディ精神が感じられます。別に光太郎は女性が苦手というわけではないのですが、「BLACK」期では、自らの戦いに巻き込むまいと、敢えてレギュラーの女性陣と距離を置く場面が多々見られましたので、妙に納得。逆に、「RX」では開始早々から友達以上恋人未満の女性(玲子)が居ましたし、その玲子や響子といった女性レギュラー陣は、積極的に戦闘に参加していました。
その頃、RXの世界では、ユウスケが士の帰還を信じて夏海を励ましていました。
ユウスケの優しさが、厳しい表情の中に一際感じられ、いい感じです。
シーンはすぐにBLACKの世界に戻り、そんな夏海が心配でたまらない士と、夏海のことなどまるで意に介さない海東の会話が繰り広げられます。
「何故RXの世界と同じ南光太郎がここに居る?」
「ここはBLACKの世界さ。2人とも全くの別人。ま、見た目も名前も一緒だけどね」
「そういうことか。だが海東、俺を助けるとは、どういう風の吹きまわしだ?」
「言っただろう?勝負はフェアじゃないと面白くない」
「そういうことなら、アポロガイストを見つけるまで俺と手を組め」
「そこまで慣れ合うのはどうかな」
「時間がない」
「それを楽しみたまえ。これはあくまで、僕と士とのゲームなんだ」
海東そっちのけで(というより、海東を利用して)、夏海を助ける事に躍起になっている士。このやり取りは、そんな士に対して歯痒い思いを抱いている海東の、挑発だと私は受け取ったのですが、士はまんまとその挑発に乗り、海東を殴ります。
「ゲームのつもりはない!」
「何かこういうの青春っぽいね。僕は嫌いだけど!」
士に蹴りを入れ、海東もしっかり仕返しします。海東はホットなやり取りが嫌いなようですが、十分クールじゃないところが彼らしいです。
「そんなに夏メロンが大事か?」
「夏ミカンだ...」
ちょっとこれはあざといギャグですが、まぁ、殺伐としないよう配慮されたということですね。
さて、街には人間態アポロガイストの歩く姿が。花を摘むとたちまちしおれてしまい、渋い表情を浮かべます。
これぞ昭和ヒールのダンディズム!オリジナルの役者さん(打田康比古さん)のパワフルな佇まいとは、また違った魅力があります。
そこに突如ミラーワールドの音が響き渡り、ディケイド龍騎が登場。ミラーワールドを駆け回って、アポロガイストを探していたという士。表の世界から気付かれることなく暗躍できるミラーワールド。その設定が巧く使われていて心地良いです。
「今の俺は機嫌が悪い」
という士は、瞬く間にアポロガイストを追い詰めて行きますが、ここは古き良き昭和ヒール。アポロガイストは幼い少女を人質に取って、ディケイド龍騎を足止めします。そこに、
「パーフェクターは、僕がもらう」
とディエンドがティエンドライバーを構えて登場。少女を顧みず、いきなり銃撃を開始します。咄嗟に銃撃から庇う士。
「またそうやって僕を邪魔するのかい?」
「子供はどんな世界でも最高の宝だ。宝を傷つけるのは、お前の主義に反するだろ!」
ちょっと士らしくない台詞のような気もします。しかし、昭和の雰囲気に士が飲まれていると考えることも出来ますし、クライマックスに向けての士の「正統派ヒーロー化」という側面もあるかと思います。
その様子を見ていた光太郎はBLACKに変身し、アポロガイストから少女を奪還します。
「君は、世界の破壊者じゃないのかも知れないな」
とBLACK。RXといいBLACKといい、話が早い。こんなことでグチグチと悩むようでは、昭和のヒーローは務まりません(笑)。形勢不利となったアポロガイストは、
「ディケイドよ、貴様はもうこの世界から出られない」
と吐き捨てて姿を消します。
変身を解き、互いを認め合う表情の士と光太郎。
新旧イケメンヒーローここにありといった趣ですね。実にカッコいいです。
光太郎はBLACKの世界の動向を士に説明し始めます。
光太郎はBLACKとして世界征服を企むゴルゴムと戦ってきましたが、そのゴルゴムは、最近大ショッカーと手を組んでおり、それを取り持ったのがアポロガイストだといいます。士は、大ショッカーがどのようにしてあらゆる世界を往来しているのかという疑問を口にしますが、光太郎は、何者かが世界をつなぐ橋を造り、大ショッカーがそれを使って次々と新しい敵を送り込んでくると即答。このことで、鳴滝や海東達も同じ手段を用いて世界を往来しているのではないかとの推測が成立します。
「倒しても倒してもきりがない。俺はどうしたらいい?このままずっと戦い続けなければならないのか...」
と、こぼす光太郎。こういった影のあるヒーロー性は、「BLACK」という作品の魅力でした。この要素は、親友が宿敵シャドームーンと化し、絶対に戦って倒さねばならないという宿命に泣くという展開に昇華されました。
「あんたに仲間はいないのか?」
と士は尋ねます。RXの光太郎が仲間の存在を拠り所として戦い続けていたからです。
「いるさ。どんなにつらい状況になっても、俺と一緒に戦い続けると言ってくれたよ。このBLACKの世界に閉じ込められながらもな」
「閉じ込められたのか。俺と一緒だな」
「いつか、RXの世界の光太郎に伝えたいと言っていた。BLACKの世界でも、戦い続ける仲間が居るということを」
「そいつの名前、もしかして...」
「霞のジョーだ」
「やっぱりそうか...」
霞のジョーは、何らかの事情でRXの世界からBLACKの世界へと渡り、そのままBLACKの世界から出られなくなったようです。そして、RXの光太郎と名前も顔も同じ光太郎と出会い、彼と一緒に戦うことを誓ったのでした。BLACKの光太郎に出会った時の霞のジョーの驚きは、想像に難くありません。
そこにシュバリアンが登場。「大ショッカー最強の戦士」を名乗ります。クライシス帝国の誇り高き怪魔ロボットは、大ショッカーの誇り高き戦士に変遷したわけですが、強力なシュバリアンがいとも簡単に軍門へと下ってしまったという感覚は、なかなか空恐ろしいものがあります。マンティスファンガイアとスコーピオンイマジンも、シュバリアンの手下として登場、遂に、クライシス帝国も大ショッカーと手を組んだのです。
「RXの世界の南光太郎は言ってたぜ。仲間の為なら、一生戦い続けるって」
「俺も戦う。仲間の為に!」
ジャンプによる変身という、「BLACK」で頻繁に見られたアクロバティックな展開を経て、二大ライダーは巨敵へと立ち向かっていきます。
一方、RXの世界では、夏海がとうとう危篤状態に。意識を取り戻さないまま、夏海は去っていく士を懸命に追いかけている夢を見ていました。士を求め、病床の夏海は天井に向かって手を伸ばします。それをユウスケが握りしめ、懸命に励ますのでした。
今回のユウスケは、常に夏海と共にあります。実はシリーズを通して、士よりもユウスケの方が夏海と居る時間が長いのですが、ユウスケというキャラクターは、夏海と一緒に居て、士との関係を夏海と対比されてこそ光るのだとも言えます。
シーンはBLACKの世界へ戻り、ディケイドは「FORM RIDE FAIZ ACCEL」でファイズ・アクセルフォームに。「KAMEN RIDE FAIZ」を省略してしまいましたが、とりあえずはいいでしょう。
ファイズ・アクセルフォームは、その高速移動攻撃によって、マンティスファンガイアとスコーピオンイマジンを一掃します。BLACK編といえども、平成ライダーの要素を惜しみなく投入しています。
敵はシュバリアン唯一人となりましたが、シュバリアンは大勢のチャップをオーロラの向こうから呼び出します。チャップとの戦いの中、オーロラの向こうにRXの世界を見る士。RXの世界に存在するクライシス帝国の戦闘員であるチャップが呼び出された事で、RXの世界と繋がったのです。
キングストーンフラッシュでオーロラの通路を確保するBLACK!
ちゃんと見せてくれますねぇ。BLACKと言えばキングストーンというくらい、物語で非常に大きなポジションを占めていましたから、この使用は素直に嬉しいです。
キングストーンフラッシュによって確保された通り道を抜け、士はRXの世界に戻って来ます。
そこにアポロガイストが登場し、ブラキペルマワーム・オーランタム、タランテスワーム・バーブラ、ブラキペルマワーム・ビリディス、フリルドリザードオルフェノク、オックスオルフェノク、ワームオルフェノク(全部公式サイトに乗ってました^^;)を召喚します。平成ライダーの敵が大挙登場したので、「大ショッカー」という昭和な響きとはちょっと相容れない気も...。
しかし、アポロガイストは構わず大口上を。
「この強大なる大ショッカーの力で、ライダー共を片っ端から潰していく。貴様らに勝ち目などないのだ」
ここでチャラ~♪が鳴ります。前半戦でいきなり鳴るとは思いませんでしたが、ここから先がバトルに次ぐバトルになるので、ここで鳴っておいて正解なのです。
「たとえ勝ち目がなくても、戦わなければならない時がある。この男はそうやって一人で戦ってきた。大切なものを、取り戻すために」
士のテーマ語りが決まります。
「そういうのを、無駄な抵抗というのだ」
「確かに一人では無理かもしれない。だからこそ助け合い、一緒に支え合う相手が必要なんだ。世間ではそれを、仲間...というらしい」
うなずく光太郎。
「偉そうに...何様のつもりだ!」
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ。変身!」
巧い!「貴様、何者だ!?」と訊くと全く破綻してしまいますが、ここはあえて語感の近い「何様だ」を用いることにより、決めゼリフへの導入をスムーズにしています。
ディケイドに変身を果たすと、BLACKのカードが復活。
まさかの「KAMEN RIDE」と思いきや、そのカードはすぐさま海東が奪い取ってしまいます。
「このカードは、君には使えない」
という海東は、「KAMEN RIDE BLACK」で、何とBLACKの南光太郎を召喚します。なるほど、ダブル光太郎の共演はこういう仕掛けだったわけですね。BLACKの光太郎が「本人」じゃないということに若干の不満もないことはないですが、ここは素直にビジュアルの楽しさに浸りましょう。なお、以前響鬼の世界で呼び出されたモモタロスが、「本人」にほど近いキャラクターだったことを考えると、ディエンドの「KAMEN RIDE」によって呼び出されるライダーは、「本人」を詳細にシミュレートしたものだと考えられます。よって、このBLACKの光太郎は、「本人」に非常に近いものだと考えて良さそうです。
さあ、奇跡のダブル光太郎の変身を見よ!
4人のライダーと大ショッカー一団の大乱戦が開始されます。
BLACKらしい身軽なアクションと、RXらしいパワフルなアクションの差別化が見事で、当時のアクションへの工夫が垣間見られるものとなっています。それを再現して見せる手腕も素晴らしいです。
この戦いが繰り広げられている頃、「士君」の言葉を遺し、夏海の命はとうとう尽きてしまいます。
茫然とするユウスケ。番組の性格上、ここで夏海が退場することはないと分かっていつつも、結構衝撃的な場面に仕上がっています。
そして、夏海の窮状と呼応するかのように、さすがのディケイド、ディエンドも大勢の敵の前に劣勢になっていきます。
ここで突破口を初めに開いたのはディエンド。「FINAL ATTACK RIDE」でオルフェノク達を一掃します。ちょっと威力が凄過ぎますが、とりあえず数は減らしておかなければなりません(笑)。
ディケイドはすぐさまコンプリートフォームに変身、シュバリアンに立ち向かいます。「AGITO KAMEN RIDE SHINING」でアギト・シャイニングフォームを呼び出したディケイドは、「FINAL ATTACK RIDE」でシュバリアンを瞬殺してしまいます。
シュバリアンはかなり強力な怪魔ロボットだという印象があったのですが、結構簡単に片付いてしまいましたね...。
さて、いよいよアポロガイストとの決戦です。
「士、行くよ」
と海東。
「俺に命令すんな」
と士。合成、スローモーションを交えた迫力あるアクションの後、アポロガイストの顔面からパーフェクターを引き剥がすディケイド!
「パーフェクターを返せ!」
と慌てるアポロガイスト。
ところが、士は海東に隙を狙われ、パーフェクターを奪われてしまいます。
「僕の勝ちだね」
サラリと勝利宣言した海東は、「ATTACK RIDE INVISIBLE」で透明化し、その場からまんまと逃走を果たします。パーフェクターがなければ夏海は助からないわけで、この追い詰められた感覚は実に秀逸です。しかし、士が怒り狂う暇もなく、そこにユウスケが現れ、夏海の危篤を伝えに来るのでした。士の元にRXとBLACKが現れ、
「士、ここは任せろ!」
とアポロガイスト戦を引き受けます。「士君」と読んでいた光太郎が「士」と呼び捨てにする意味、それはエピローグにもあるように、彼を仲間だと認めたからに他なりません。
士はRXとBLACKに後を任せ、夏海の元へ急ぎます。
アポロガイストと対峙するRXとBLACK。RXは、
「アポロガイスト、お前が一人で戦うと言うのなら、こっちも一人で戦おう!」
とBLACKを制止します。さすがは、正々堂々を旨とする往年のヒーロー像。こういった男気は、懐かしさを覚えると共に、現在においては新鮮でもあります。
「面白い!受けて立ってやるのだ!」
と珍妙な口調を露呈するアポロガイスト。よくよく振り返ってみると「~るのだ!」というのが口癖のようですが、自然にハマる時とそうでない時で、シリアスとギャグが両極端になります。
士が病院に到着した時には、時すでに遅く、夏海は事切れていました。
「さっき夏海ちゃん、お前の事呼んでたんだぞ。行かないでって...」
ユウスケの言葉は、士の虚無感を増幅するばかり。ところが、そこに海東が現れます。
「君達のお宝って、そんなものか」
「何しに来た」
「つまんないねぇ、お宝が仲間だなんて」
「お前に何が分かる!」
士の感情が爆発せんとしたその時、海東はパーフェクターを差し出し、
「受け取りたまえ!ただし、これからはちゃんと、僕を見ていてくれよ」
と語気を強めるのでした。
海東が世界を巡っている目的が「お宝」だというのは、実はフェイクではないかと思わせる決定的瞬間です。海東の本当の興味は、士だと思われます。
海東が去り、パーフェクターを手にした士は、夏海を蘇らせる「作業」に、早速とりかかります。
「士、使い方分かるのか?」
「だいたい分かる。命を取ることが出来るなら、与える事も出来る筈だ!」
パーフェクターを自らにかざし、自分の命を吸わせる士!
そして、
「夏海には言うなよ...」
と言いつつ、パーフェクターに蓄えられたその命を、夏海に照射するのでした。
正に命がけで夏海を救った士。「熱いこと」に対してシャイな態度を取り続ける士は、そんな自分の行動を、夏海に悟られたくないわけです。奥ゆかしさが炸裂していますね。
士の命を分け与えられて蘇る夏海。この瞬間、士と夏海は命を分け合ったことになります。夏海に思わずユウスケが抱きつき、目覚めた夏海が慌てて跳ね除ける辺りに、いつものユウスケの扱いが戻って来ています。
「写真撮ろうよ写真!」
とはしゃぎまわるユウスケ。士はやや虚脱感に襲われつつも、夏海の復活に満足げです。
と、ここで充分クライマックス感が味わえるわけですが、まだ戦いは継続中。今度はRXが繰り広げるクライマックスに突入です。
RXは、矢継ぎ早の攻撃でアポロガイストを追い詰めます。
形勢不利なアポロガイストは、またもサイ怪人を召喚。RXを攻撃させます。いわゆる「タイマン勝負」の構図が崩れたのを見るや、BLACKが参戦。ライダーパンチがサイ怪人に炸裂します。
さすがに当時の凄まじい点滅エフェクトは、現在においてはマズいので見られませんが、ライダーパンチのアクションと拳が発光するエフェクトは当時を彷彿させます。
そして、RXがジャンプ前の地面を叩くアクションを披露するという嬉しいサービスを経て、RXとBLACKのダブルキックがアポロガイストに炸裂!
それぞれのキックのエフェクトが当時のものを踏襲しており、これまた嬉しい処理です。強力なダブルキックを受けたアポロガイストは人間態となり、別の世界に逃げ込んで行きました。
その様子を見ていた鳴滝は、
「遂に大ショッカーが動き出したぞ。これも全てディケイドの所為だ」
と呟きます。これにより、鳴滝は少なくとも大ショッカーの一員でないことが分かります。そこに突如挿入されるシルエットは...。
当時の足音もそのままに、シャドームーンの存在が匂わされます。これも劇場版への引きとして機能しています。
戦いを終えた士と光太郎。別れ際の会話です。
「霞のジョーからの伝言がある。BLACKの世界でも、戦い続ける仲間が居る...ってな」
「そうか。あいつはBLACKの世界で、戦う道を選んだんだな」
「いいのか?一人でも」
「一人じゃないさ。離れていても、ずっと仲間だ」
光太郎の爽やかな笑顔は、正に当時のまま。仲間というキーワードで捉えると、当時の「BLACK」「RX」とは逆の構図になって終わったわけですが、RXの光太郎はやはりポジティヴでした。
士は、そんな光太郎の笑顔を収めるべく、シャッターを切ります。
「士、お前ともな」
光太郎は士も仲間だと称し、次の世界へと旅立つ士を見送ります。さり気なく、光太郎の傍にアクロバッターが!
士の写真には、二人の光太郎が映っていました。
ユウスケ「へぇ、二人の南光太郎か。どっちもいい表情してるな」
夏海「自分の世界を見つけたら、士君もこういう表情になるんでしょうか」
士「どうだかな。だが、自分の世界を見つけない限り、何も始まらないような気がしてきた」
夏海「例え士君の世界がどんな世界であっても、私はここで待ってますから」
夏海の言葉に、ちょっと照れ気味の士。益々二人の関係は甘くなっていきます(笑)。
夏海は心の中で、
「士君が世界の破壊者な訳ない。むしろたった一人でも世界を守る人です」
と確信しています。果たして、真相は夏海の確信どおりなのでしょうか...?
そして次は、驚愕必至、アマゾンの世界!
何故にアマゾン!?という疑問は、東映公式サイト等で解消して頂くとして、残り話数を勘案すると、このアマゾンの世界が「色々なライダーの世界」の最終ということになりそう。個人的にはZXの世界が見たかった気もしますが、アマゾンという意外性たっぷりのセレクトを、歓迎しようと思います。
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