いやはや、まさか平成ライダー10周年記念作品で、「元祖平成ライダー(要するに放映時期が昭和と平成をまたがっているということ)」が見られるとは。
私の年代は、「スカイライダー」や「スーパー1」といった作品が洗礼期にあたり、「BLACK」シリーズは大きなお友達の一歩手前という時期の作品ですが、「仮面ライダー」への飢餓感が見事に「BLACK」シリーズへの興味に繋がり、正にリアルタイムで堪能した、初めてのライダーということになります。バトルホッパーやロードセクターのプラモを買ったりしたなぁ(笑)。
もう20年以上前の作品になるわけですが、最新の映像技術での描写に微塵の違和感も感じさせないRXのスタイリング、フォームチェンジの元祖たる存在感、どれをとっても目の覚める完成度です。「RX」という作品は、当時も、そして現在も賛否両論に晒されていますが、こうしてみると、平成ライダーは「RX」なくして産まれ出ることはなかった(あるいはもっと遅かった)わけで、今更ながら「RX」の存在感を見せつけられました。
そして、まさかの南光太郎、それも倉田てつをさんご本人の登場という、もう興奮必至のサービスに、全編鳥肌立ちっぱなし。変身ポーズのキレは当時以上の完成度ですし、年月を経て磨きのかかった、芝居のタメ等といった要素が、全てプラスに作用しているかのようです。明らかに狙った、昭和のヒーローらしい台詞まわしも嬉しいところ。
更に、ラストでは「BLACK」の世界まで登場し、パラレルの南光太郎が二人登場するという驚愕の展開に。後に公開される劇場版でBLACKとRXが並び立っている理由が、ここで明かされることになるわけです。「BLACK」の方が明らかにダークトーンを狙っているのも、気が利いています。
このように満足度は非常に高い一編なのですが、いわゆる「昭和ライダー」を未見の方に、果たしてこの話が分かるのかという疑問が。
「霞のジョー」とは何者か、「怪魔ロボット」が何なのか、アポロガイストの衝撃度がいか程のものか、いきなり出てくる「ゴルゴム」というタームが何を現しているのか。こういったタームの羅列は実にマニアックであり、それ故にマニアでなければ面白さを理解出来ない...そんな気がします。
こんなこと、「ウルトラマンメビウス」の時にも同様の指摘が出来た筈ですが、当時は全く気になりませんでした(笑)。私のブログも随分オープンになったものです。
一応、分かりにくい部分に関しては、簡単な解説を盛り込んでいますので、ご参照の程を。昭和ライダーに関しては、私もかなりマニアな知識を有してますので...。
では、本編の方をどうぞ。
光写真館を出た士は、デニムの上下にバンダナという、いわゆる「光GENJI」風のファッションに。
ユウスケは、
「しかし、今回も凄い服装だな。昭和っぽいというか何というか」
と評します。勿論、この昭和っぽさこそが、今回の肝です。負けじと士は、
「それをバッチリ着こなすのが、俺だけどな」
と返します。
「今度こそ、士君の世界かも知れませんね」
「もしそうだとして、何があるって言うんだ?」
「少なくとも、士君の家族がいるんじゃ?」
「は、家族か...記憶をなくした俺に何の価値がある?」
「それは、家族が待つ家があるっていうだけで、何かいいじゃないですか」
夏海と士の会話はやや噛み合わない様子。夏海の「気分」は、前回のシンケンジャーの世界を踏襲したものになっており、前回を単なるお祭り騒ぎに終わらせていない、嬉しい処理がなされています。
「俺は、家族であろうとなかろうと、傍に居てくれる人が、一番大切だと思う」
このようにユウスケが付け加えると、
「お前ら、気持ち悪いんだよ」
と士は突っぱねます。前回、夏海の「おかえり」に微妙な困惑の表情を浮かべていた士。士の「気分」も夏海と同様、前回からの連続性を重視しています。
一方で、「家族」や「傍に居てくれる人」といったタームが、これまで割とクールだった士達3人の関係を、妙に熱く味付けしていきます。これぞ昭和テイストへの第一歩です。
さて、士達の眼前に、突如クライシス帝国の尖兵・チャップが出現。同時に、怪魔ロボット・シュバリアンも現れます。
「俺はクライシス最強の戦士、怪魔ロボット・シュバリアン!霞のジョーを始末しろ!」
シュバリアンの名乗りも正に昭和テイスト。こうしたケレン味は、平成ライダーではあまり見られなくなりました。そもそも「クウガ」自体が、そういった要素をなるべく廃する方向性でしたからね。
「霞のジョー」などと呼ばれて困惑する士と一同。
そこに、
「クライシス!霞のジョーは俺が守る!」
と突如現れた青年。勇敢にもシュバリアンの前に立ちはだかります。
「変身!」の声が響き、一定のポーズを決めると、腰に光り輝くベルトが出現。
「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK RX!」
名乗りも雄々しく登場したのは、仮面ライダーBLACK RX!この「名乗り」も今のシリーズには殆どみられなくなった要素です。
「RXの世界か...」
と士。これを「RX」というライダーを知っていたととるか、名乗りを聞いたことで、この世界のライダーを認識したととるか迷うところ。少なくとも、後者の解釈でもストーリーに影響はありません。
嬉しいことに、RXはいきなり「リボルケイン」を取り出してシュバリアンと対決します。
このリボルケインのエフェクトは、CG処理によって行われている為、当時のオプチカル合成の雰囲気を残しつつも、ブラッシュアップされた感覚になっています。
シュバリアンはかなり強力な怪魔ロボットであり、RXはRXロボライダーにチェンジ!「ボルティックシューター」で射撃体勢に入ります。RXの要素が矢継ぎ早に見られる展開が嬉し過ぎます。
本当の意味でのフォームチェンジの元祖は、仮面ライダー1号が「旧1号」から「新1号」にパワーアップしたという「出来事」なのですが、これは不可逆。可逆的なフォームチェンジの元祖はストロンガーのチャージアップですが、こちらはカラーリングの変更という要素が強い。完全に姿が変わってしまい、しかも可逆的なフォームチェンジの元祖は、このRXなのです。
さて、話が少しばかり話が脱線してきたので、ついでにここで用語解説を。
クライシス帝国とは、「RX」の敵組織。地球に現れたのは、クライシス皇帝を頂点とする軍隊的な組織であり、地球の双子星である怪魔界は、皇帝の恐怖政治によって支配されています。その為、怪魔界全体がクライシス帝国と同一ではないことを利用した、重厚な作劇も多数見られました。
怪魔ロボットとは、クライシス帝国の誇るロボット技術を利用して作られた、ロボットだけの軍団。他に怪魔獣人、怪魔妖族、怪魔異生獣といったチームが存在しますが、今回は登場しません。なお、シュバリアンは今回初登場の新キャラです。
そして、霞のジョーとは、「RX」における南光太郎の協力者であり、クライシス帝国によって記憶を抹消され、戦闘用の改造を施された悲劇の青年です。変身能力こそありませんが、戦闘力自体は高く、光太郎を見事にサポートする印象深いレギュラーキャラクターでした。「24」のジャック・バウアーの声で大ブレイク中の、小山力也さんが演じたキャラクターですね。この霞のジョーの格好が、正に今回の士の衣装の雰囲気。
「RX」には「BLACK」という前章があるのですが、これについては後ほど。
シュバリアンとRXの戦いの中、突如例のオーロラが出現し、シームーンファンガイアとスコーピオンイマジンが登場。強大な戦力の集結に、RXは苦戦を強いられます。ただし、シュバリアンはファンガイアやイマジンの存在を把握しておらず、困惑しています。
RXの危機を見て、思わず、
「霞のジョー!」
と叫んでしまう夏海。士は、
「違うだろ...変身!」
ディケイドに変身した士を見て、RXは、
「霞のジョーが何故ディケイドに?」
と驚きます。本当に皆、士のことを霞のジョーだと思い込んでいるらしく、いかに士と霞のジョーが近似した容貌であるかを伺わせます。これにより、オリジナルの霞のジョーを登場させないという趣向であることも匂わせます。
ディケイドは「KAMEN RIDE AGITO」でアギトに変身。「FINAL ATTACK RIDE」でライダーキックを放ち、シームーンファンガイアを撃破します。
シームーンファンガイアを失って、スコーピオンイマジンはオーロラの向こうへ逃走し、ライダーが2人現れたのを目の当たりにして、シュバリアンも姿を消します。
戦いは一段落しましたが、すぐさまRXは、
「世界の破壊者ディケイド!この世界をお前の好きにはさせない!」
と言って士の方に向ってきます。しばらく「破壊者」のフレーズは、ライダーの口から出てきませんでしたが、久々の復活です。勿論、このフレーズを吹き込んだのは鳴滝でしょう。
ここでディケイド VS RXの対決かと思いきや、夏海が士とRXの間に入ります。
「士君は破壊者なんかじゃありません!」
と夏海。士への思いは、遂に夏海を積極的に動かすことになったのです。RXは、
「士君?霞のジョーじゃなかったのか」
と青年の姿に戻ります。
「士君はこれまでもずっと、ライダーの世界を救ってきたんです。信じて下さい」
という夏海の言葉を聞いた青年は、
「分かった。君のそのまっすぐな瞳を信じよう」
と笑顔で答えました。この台詞、いかにも昭和のヒーローといったカッコ良さだと思いませんか?もうこの時点で、RX復活万歳なのです。
ユウスケの、
「うん。母は強し!」
という、ちょっと場違いなギャグが発せられ、夏海が、
「誰が母ですか!」
と返すという一幕が、丁度照れ隠しの役割を果たしています。昭和テイストと平成テイスト、なかなかバランスもいいようです。
RXに変身する青年の名は南光太郎。彼はこの世界を侵略しようとするクライシス帝国と戦っています。最近、クライシスとは別の勢力が出現し始めているらしく、そのあたりを調査していた霞のジョーも、姿を消してしまったようです。
この南光太郎、これまでの世界のように「南コウタロウ」と表記されないのですが、一応パラレルワールドの住人ということになっています。後述しますが、この世界の南光太郎は、あくまで「BLACK」の時代を経ていない、最初から「RX」の南光太郎だと思われます。従って、限りなくオリジナルに近い別キャラクターという解釈が最もスッキリすると思います。
夏海は、
「その謎を解き、解決することが、この世界で士君のやるべきことです」
と、珍しく士の役割を示唆しますが、士はやや不貞腐れ気味になっており、
「またそれか。そうやって今までも戦ってきたが、俺の世界は見つからなかった。そんな俺に戦う意義があるのか?」
と言い、通りすがるだけでいいと素っ気ない態度に。通りすがりでも帰る家は必要だと反論する夏海に、士は、帰る場所など必要ないと畳み掛けます。光太郎は、
「俺は今、霞のジョーを取り戻すために戦っている。君も、仲間の為に戦えるんじゃないのか?」
と、爽やかに接します。ちょっと先輩ライダーっぽい感覚も盛り込まれ、かつて昭和ライダー達が先達を「先輩」と呼び習わした時代を想起させます。ところが、
「あんたはそんなことの為に、一生戦い続けるつもりか?」
と一蹴する士。
「そんなこと?」
「...俺はごめんだね」
士は光太郎の元を去ってしまい、夏海とユウスケも光太郎に一礼して士の後を追いました。「昭和最後のヒーロー」と「平成最新ヒーロー」の断絶などという表現は大袈裟ですが、台詞の雰囲気から、それが意図的に表現されていることを感じさせます。
やがて、カメラを向ける士をことごとく避ける人々が描写され、士の寂寥感は一段と強調されます。
この世界も士を拒絶しているのか...。そんな士を見て、夏海は、もし士の世界がなかったとしても、うち=光写真館に来ればいいと告げます。
「だって、私達仲間じゃないですか!」
「よせよ!それは俺の最も嫌いな言葉だ」
ここで、「仲間」という昭和のヒーローが(というより現在のヒーローの殆ども)最も重視する要素が登場。夏海はその世界の雰囲気に影響されやすいキャラクターですが、ここでもその性格が遺憾なく発揮されているようです。一方で、元々士は光写真館に居候しているじゃないか、というツッコミも可能(笑)。まぁこれは「帰るべき場所」を示した前回を重視するが故の発言でしょう。
悪態をつく士を物陰から見て、ユウスケは、
「素直じゃないんだよなぁ、士の奴」
と呟きます。
そこに突如登場するは、スコーピオンイマジンとマンティスファンガイアを従えたアポロガイスト!
「世界の秘密結社が大結集した大いなる大組織。それが我ら、大ショッカーだ!」
と宣言する人間態アポロガイストは、「アポロチェンジ」でアポロガイストに。
人間態は、「相棒」でお馴染みの川原和久さん。アポロガイストは仮面ライダーシリーズ初の、「変身するライバルキャラクター」でしたが、そのダンディズムをしっかり踏襲していて嬉しい限りです。
「我が名はアポロガイスト。貴様を消しさる為にやって来た。ディケイドにとっては迷惑な相手なのだ」
ここでも昭和テイスト炸裂!ケレン味溢れる台詞回しが秀逸そのものです。
「そう思ってんなら現れるな」
と返して変身しようとする士。しかし、ディケイドライバーをマグナムショットで撃ち落とされ、変身は阻止されてしまいます。「マグナムショット!」と叫ぶのも実にカッコいいですね。
「貴様の命の炎を頂こう」
そう言って、アポロガイストは顔面の装置「パーフェクター」を取り外し、士に向けます。ところが、士を庇って躍り出た夏海が、その餌食に。
変身不能の士と夏海の危機を見て、咄嗟にクウガに変身するユウスケでしたが、アポロガイスト達はすぐさまオーロラの中に消え去ってしまいました。
アポロガイストやパーフェクターといったタームについては、後ほど触れたいと思います。
さて、夏海が瀕死の状態にあるとも知らず、栄次郎は仮面舞踏会用のマントをアイロンがけしていました。アイロンがけの前に、マントを鮮やかに振る、思わせぶりな栄次郎さん。
劇場版のCMで「乾杯!」ってやってますが、果たしてあの大幹部とどんな関係があるのでしょうか。
一方、夏海の容体は悪化の一途をたどっており、命の危険が迫っています。
思わず取り乱してしまう士。ユウスケに当たったりしています。ふと、士の帰りを待つ決意をした夏海を思い出していました。
ここで挿入された回想シーンは前回のものです。冷静になれない士の様子を見ると、士にとって夏海の存在がいかに大きくなっているかが、良く分かるようになっています。
そんな士の苦悩に追い打ちをかけるように、突如病室に鳴滝が現れます。
「かわいそうに...。ディケイドに関わった者は、全て消え行くさだめなのだ。君も、夏海も、そして、お前自身も...ディケイドと関わるな。全てを破壊されたくなければ」
いつもならば鳴滝の言葉など、士の中で直後に霧散してしまうのですが、今回ばかりは相当堪えたようで、士は自分の存在意義を自問するまでに陥ってしまいます。夏海の傍に居れば、夏海も...。それが、今の士の偽らざる気持ちです。
「俺は鳴滝さんの言うことなんか信じない。傍にいてやれよ、士」
というユウスケ。しかしその言葉は士を空しく通り抜けていきます。
さらにそこに海東が現れ、入手した(というか拾った)ディケイドライバーを得意げに披露。
「こんな隙だらけの士は、初めてだね。おかげで最高のお宝を手に入れたよ」
「相変わらず宝集めか。暇な奴だ」
「気に入らないな、その態度。ちゃんと僕を見ていてくれないか?」
ここで思わずオッと思わされるのは、海東が士の興味を惹きたがっている様子です。これまで、偶然士と同じ世界に現れ、ことごとくお宝入手を邪魔されてきた海東でしたが、実は海東自身が士を追いかけていた...のかも知れないわけです。
士は、海東にアポロガイストの素性を訊きます。
アポロガイストは「Xライダーの世界」からやって来たという海東。ここでXライダーの勇姿がチラリと。
いやぁ、ほんの少しとはいえ、嬉しいですね。
で、アポロガイストはGOD機関によって再生されたのですが、その命は1カ月しかなく、パーフェクターなるアイテムを使って人の命を吸い取っていたらしい。そのGOD機関、謎の組織大ショッカーと手を組んだことで、今やアポロガイストは大ショッカーの大幹部に君臨しています。
「悪の世界でも融合が始まってるってわけか」
と士は状況を的確に把握します。
ここでタームの説明をしておこうと思います。
アポロガイストは、海東の説明どおり「仮面ライダーX」に登場した敵キャラクターです。今回登場したアポロガイストは、渋いカラーリングに変更され、ハードなディテールが追加されたことにより、非常にスマートかつ精悍な印象に。オリジナルのアポロガイストとは当然パラレルな別人ですから、Xライダーの世界もパラレルワールドということになります。今回のアポロガイストの設定は、オリジナルにおける「再生アポロガイスト」のものとなっており、1カ月に限定された命という要素、顔に配されたシルバーの装飾(パーフェクター)は、正に「再生アポロガイスト」です。
パーフェクターとは、実はXライダーの口部分の名称。Xライダーは物語後半で「大変身」の能力を得るまで、「セタップ」という変身プロセスを経ていましたが、このセタップの際、最後に口にはめ込んで変身を完了させるアイテムが、このパーフェクターなのです。オリジナルにおいて、再生アポロガイストは延命を図ってパーフェクターの入手に腐心していましたが、今回はこの設定をかなり拡大解釈したものとなっています。
GOD機関とは、Xライダーの敵組織。「Government Of Darkness」の略で、前半と後半では組織構成が異なっており、アポロガイストは前半に登場。後半は、巨大ロボット・キングダークが事実上の支配者に君臨しました。
「士、何としてもアポロガイストからパーフェクターを奪うんだ。そして夏海ちゃんの命を取り返そう」
とユウスケ。士もようやく目が覚めたかのような表情になり、
「ああ。それがこの世界で、俺がするべきことのようだな」
と応えます。しかし海東は、
「そういうことなら、パーフェクターは僕がもらう」
と士を挑発。
「海東...お前は!」
と声を荒げる士に、海東は言い放ちます。
「僕は、士の邪魔をすることにしたんだ。これまで士が僕を邪魔してきたように」
これが、海東の「本当のところの真意」から発せられた言葉なのかどうかは判然としませんが、少なくとも、海東は夏海を助けるつもりは毛頭ないようですし、これまで士に邪魔された結果になってきたことは確かです。つまり、このポリシーに則って海東が行動すれば、士はパーフェクターを入手出来ず、結果的に夏海の命は失われるわけです。
ユウスケは怒って海東に飛び掛かりますが、海東は、
「ただし、勝負はフェアじゃないとね」
とディケイドライバーを士に返すという行動に。このあたりの、ちょっと斜に構えつつ爽やかな振る舞いが海東の魅力です。
士は早速行動を開始します。ユウスケも追随しようとするのですが、士は「足手まといだ」と称してユウスケをとどまらせます。当然ユウスケはそんな士の態度に怒るのですが、士の真意は自分がパーフェクターを入手している間、大切な友であるユウスケに夏海を見守っていて欲しいということ。
そっとユウスケの肩に手を乗せる士の姿に、ユウスケも納得してとどまります。「仲間」という言葉が、このシーンを見て急に去来し始めます。「仲間」とかいった言葉が嫌いだという士も、その言葉が示すもの自体からは、目を背けることは出来ません。いや、十分直視しているでしょう。
その頃、シュバリアンは昭和TVヒーロー番組のテイスト(つまり「侵略」の二文字を振りかざして蹂躙)で街を襲撃していました。
そんなシュバリアンの前にアポロガイストが出現。シュバリアンを通じて、クライシス皇帝に大ショッカーと手を組むよう申し入れるつもりなのです。しかし、大ショッカーの存在を認めないシュバリアンは、当然拒絶します。クライシス VS 大ショッカーの戦い勃発か!?
その時、南光太郎が現れ、現場に到着していた士との会話を繰り広げます。
「士君!君はさっき、仲間の為に、一生戦い続けるつもりかと訊いたね」
「それがどうかしたか」
「俺は霞のジョーを失ってから、ずっと一人で戦い続け、その事で、余計に仲間の有難味を知った!」
ここで「チャラ~♪」というお馴染みのBGMが鳴り響きます。前編で鳴り響くとは、珍しい措置です。しかも、今回は士の言葉にライダーが動かされるのではなく、その逆パターンになっています。これぞ、大先輩のライダーから与えられる、最新ヒーローへのエール。そんな風に聞こえます。
「俺は戦い続ける!仲間の為になら」
「それも悪くないかもな」
ここで新旧ヒーローの断絶は払拭されました。
ユウスケから既に話を聞いていたという段取りの良い光太郎は、アポロガイストを士に任せ、自分は他の敵を迎撃する構えです。そして、いよいよ新旧ヒーローのダブル変身を披露!
RXの変身ポーズは、やっぱりシャープでカッコいいですね。
二大ライダーが揃ったとは言え、やはり圧倒的に戦力不足は否めず、マンティスファンガイア、スコーピオンイマジン、そしてアポロガイストに苦戦するディケイド。RXはシュバリアンに苦戦中。
そこにディエンドも登場し、戦況は混迷していきます。
「パーフェクター争奪戦のスタートだ」
と「KAMEN RIDE HERCUS」「KAMEN RIDE KETAROS」でヘラクスとケタロスを召喚するディエンド。
しかし、余裕を見せていたディエンドも結局苦戦を強いられ、「ATTACK RIDE INVISIBLE」で逃走してしまいます。自分で鳴り物入りを演出した割には、あまりパッとしない感じです。さらに、
「出でよ!ゴルゴムの闘士!」
という雄々しい叫びと共に、アポロガイストはサイ怪人を召喚します。
サイ怪人は、「BLACK」に登場したゴルゴムなる敵組織の怪人です。ここで、「BLACK」の世界が「RX」と連続した時間軸上にない事が示されるわけですが、分かりにくいよね、これ(笑)。
自在に世界を往来出来るアポロガイストに脅威を感じる士は、混迷する戦況を打開すべく、コンプリートフォームに変身します。
「KABUTO KAMEN RIDE HYPER」でカブト・ハイパーフォームを呼び出し、「FINAL ATTACK RIDE」でヘラクスとケタロスを粉砕します。一応ヘラクスとケタロスはカブトの劇場版に登場するライダーですから、順当な選択ですね。
コンプリートフォームの戦力を見たからか、オーロラの向こうへ逃走を試みるアポロガイスト。RXはバイオライダーとなって敵を一網打尽に。
しっかり液化能力を披露。当時のいかにもなオプチカル合成もカッコいいですが、CGを駆使した映像にブラッシュアップされたことで、RXバイオライダーの質感もアップしています。これは嬉しい措置ですね。はっきり言って、このRXバイオライダーの能力を超えるライダーは、未だに居ないのではないでしょうか。
RXは、アポロガイストを追うよう、ディケイドに告げます。
「この世界は俺が守る!お前は行け!」
「ああ、そうさせてもらう!」
士はオーロラに突入し、アポロガイストを追います。オーロラを無理やり通過する際には、かなりの苦痛を伴うようで、しかも抜けた後はコンプリートフォームが解除されてしまいました。
オーロラの先は、夜の闇に包まれた世界...。
そこに、一人の青年が歩み寄ってきます。
その青年は、南光太郎!
一瞬、RXの世界のままかと錯覚する士ですが、光太郎がRXとは明らかに異なる変身ポーズをとると...。
「仮面ライダーBLACK!」
「RXじゃない!?」
「世界の破壊者ディケイド!この世界をお前の好きなようにはさせない!」
ここで今回はエンド。
RXだけでなく、BLACKまで登場してしまいました。しかも、BLACK時の光太郎の服装まで再現して。この充実度に、眩暈がしそうです。
恐らく、先程登場したサイ怪人は、この世界から召喚されたのでしょう。となれば、ゴルゴムは既に大ショッカーと手を組んでいることに。この辺りは次回明らかになることでしょう。
従来、BLACKとRXが同時に存在することは一部の例外を除いて殆ど不可能でした。何故か。それは、「RX」という作品が事実上「BLACK」のセカンドシーズンであり、BLACKのパワーアップ形態がRXになるからです。RXへのパワーアップは不可逆的なものですから、ある意味BLACKの存在は抹消された感じになっていたわけです。
とはいえ、そんな状況に納得出来ない「BLACK」のファンは多く、「ディケイド」ならではと言えるパラレルワールドの利用により、めでたくBLACK復活と相成りました。予告を見る限り、二人の光太郎が同時に同じ画面に収まっているようですし、後編への期待は高まるばかりです!
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