ある意味、9つの世界の中で最も衝撃的な終結を迎えた響鬼編。
詳細は、全て本文の方で述べることにしますが、キーワードは「海東」「書き文字」「主人公ライダーの死」「師匠と弟子」「祭り」です。オリジナル・響鬼で果たされなかった要素を敢えて実現したりといった、意欲的なサービス精神にも彩られ、メインライターの會川さん降板というアクシデント(?)の後でありながらも、非常に完成度の高いエピソードになりました。
アクの強い響鬼の世界観(しかも殆どオリジナルキャスト)に、巧くディケイドのレギュラー陣を絡ませているのも素晴らしく、「ディケイド」の中の一本として成立しつつ、「響鬼」をまた見たくなるようなPR効果的にもピカイチだったと思います。
では、キャプしたいシーンを泣く泣くオミットしつつ(それでも結構な枚数になりましたが)、見所を整理してみましたので、ご覧下さい。
前回からの続きで、闘牛士ライクな龍騎で牛鬼に対抗する士から開始。
赤い布の効果は全くなく、「ATTACK RIDE STRIKE VENT」でドラグクローを繰り出すも歯が立たず。牛鬼の強力さが描かれます。
アスムは、争っているザンキとイブキを尻目に、ただ一人牛鬼に立ち向かおうとするのですが、戦う術を持たない為、逃げるしかありません。そんなアスムを見て、トドロキとアキラは轟鬼と天鬼に変身!
オリジナル・響鬼のあきらは、鬼の修行が未完成のまま変身し、その後、師弟関係を解消してイブキの元を去ってしまうという展開を見せましたが、遂に「天鬼」という名で正式に変身を果たしたのです。この天鬼は、威吹鬼と同じスーツを使用しているものと思われます。少なくとも、私には見分けが付きませんでしたが...。
今回、轟鬼の変身も、「弟子の変身」というシチュエーションの元で行われており、アキラとの親和性を高めています。物語の構造を実に巧くまとめ上げていますね。
ただ、やはり牛鬼は強力無比であり、防戦中心となってしまいます。
士は、
「闘牛士でダメなら金太郎だ」
と電王のカードを取り出し、「FORM RIDE DEN-O AX」で電王アックスフォームに。更に、「ATTACK RIDE TSUPPARI」で牛鬼に突っ張り攻撃を仕掛けます。
これで一時的に牛鬼を押すものの、結局は突進を受けて撃沈。しかし、士のこの攻撃によって牛鬼に少々の隙が生じ、そこに轟鬼と天鬼が飛び込みます。そして、「疾風一閃」と「雷電激震」で一時的に牛鬼を撃退します。
技の名前にも各々書き文字が用意されており、全てキャプチャに値するカッコ良さなのですが、さすがに枚数が膨大になるので、変り種だけ取り上げて、他は泣く泣くオミットしました。勿論、この「疾風一閃」と「雷電激震」にもカッコいい書き文字が用意されていました。
トドロキとアキラ、そしてアスムの様子を見て、互いに渋い顔をするイブキとザンキ。
流派の対立構造の根深さを表現しています。松田さんの険しい表情はさすがに迫力がありますが、渋江さんの険しい表情もまた爽やかさが内包されていて、素晴らしいです。
士は、アスム、トドロキ、アキラを見て、
「新たな時代の幕開けってやつか」
との感想を吐露。ここから「新世代」の3人が動き始めます。
一旦撃退された牛鬼はヒビキの姿に戻っており、ユウスケは、座り込むヒビキの傍を通りかかります。
ヒビキ「近寄るな!見ただろ、俺の正体を!」
ユウスケ「だからって、放っとけませんよ」
ヒビキ「君達を、危険な目に遭わせたくない!」
ユウスケ「その時はその時です!」
ユウスケなりの優しさが光る一幕です。忘れがちですが(笑)、彼もまた仮面ライダー。ヒーローの一人です。ユウスケは、ヒビキを半ば無理やり安全な場所へと連れて行きました。
そのしばらく後、アスム、トドロキ、アキラが集まって、現在の各流派の様子を報告していました。
アキラによれば、イブキはザンキ流の策略だとしており、トドロキによれば、ザンキはイブキ流を必ず倒すと意気込んでいるとのこと。牛鬼出現という危機にあっても、流派の旧態然とした対立構造から抜け出せません。
アスムは、ヒビキが鬼を引退すると報告し、自分達で牛鬼を倒すことを提案します。
「やる気さえあれば、不可能なことなんてありません!まずは動くことです。動けば、何かが始まります!」
とアスム。これは、海東が前回アスムに言った言葉です。ヒビキも同様のことを言っていた、とアスムは言っていました。実際、海東の本当に本当の真意というものは判然としないのですが、表層的に受け取るならば、海東は、ただ単に自分のトレジャーハンターとしてのポリシーを述べただけです。
このアスムの言葉に、心動かされたトドロキとアキラは、
「そうっすよ!まず、動くことっす!」
「私達の世代なら、流派でいがみ合うこともありませんし」
とアスムの心意気に同調します。海東の言葉が物語にドライヴをかけていくという、変則的な物語構造になっていることが分かります。
アスムの、
「皆で一緒に!」
という掛け声で、3者はガッチリと手を結びます。実際、トドロキ、アキラ、アスムはそれぞれ10歳近くづつ年齢差があるのですが、秋山さんは勿論、川口さんも非常に若く見える為、「新世代」として括られても違和感はありません。
アスム達の世代で3流派の結束は固まったのですが、アスムはヒビキの許しがないと鬼になれません。
すると、そこに海東が現れ、自分がヒビキに頼んでやると言います。
勿論、この海東の行動も、ヒビキ流の巻物を手に入れる為の行動です。海東のごく私的な目的を達成する為の行動が、ことごとくアスムにとってプラスになっていくという展開は、他の世界における士の行動パターンと同種であり、今回が海東メインのエピソードであることを示しています。
一方、ユウスケによって川辺へと連れられ、休息していたヒビキは、牛鬼になってしまった理由をユウスケに問われます。
「鬼として戦うからには、正しい心で鬼の力を制御しなければならない」
「正しい心?」
「だが、己を鍛え続け、相手を倒そうとする気持ちが強くなりすぎると、鬼に心を奪われてしまう」
オリジナル・響鬼において、このような設定が表面化することはありませんでしたが、精神論はかなりの頻度で登場しており、また、朱鬼のような復讐心に燃える者の末路が悲劇的に描かれたことから、多かれ少なかれ、同様のバックボーンは存在したものと思われます。
なお、オリジナルのヒビキは、非常に強い精神力を持っているという描写になっていました。それだけに、今回のヒビキの設定は衝撃的です。
ヒビキは、次に牛鬼になったときには、戻れないだろうと言います。
デビット伊東さんの絶妙な表情が素晴らしいですね。
そこに、またまた海東が現れ、アスムが正式に鬼を受け継ぎたいという意志を示していると、ヒビキに告げます。
ヒビキ「少年には俺と同じ道を歩んで欲しくない」
海東「そっか。残念だなぁ。若い世代で音撃道を一つにするって、燃えてたのに」
ヒビキ「少年が?」
海東「皆の中心になって頑張ってるよ」
海東はこんな会話を繰り広げつつも、巻物を常に狙っていましたが、ヒビキは、海東が巻物を狙っていることに気付いており、素早く牽制します。更にヒビキは、海東を咎めるユウスケを制止し、音角をアスムに渡してくれるよう、海東に依頼するのでした。
「確かにあいつの優しさがあれば、鬼になっても心を奪われないかも知れない」
とヒビキは言います。正しい心で鬼の力を制御できるか否か、それを見極めて道を選ぶのはアスム自身なのです。
「少年が鬼になるなら伝えてくれ。俺はあいつにとどめを刺して欲しい。それが、俺の魂を受け継ぐということだ」
まさか「仮面ライダー」で「師匠を倒して超えていく弟子の物語」が見られるとは!
響鬼の世界でなければ絶対に成立しない展開ですね。
ところで、ここで意外なキャラクターが登場します。
キバーラが、
「牛鬼だけでは物足りないわ」
と言って呼び出したのは、何と王蛇。
「祭りの場所は、ここか」
と特徴的な言い回しはオリジナルそのまま。声は何とオリジナルの萩野崇さんご本人です。パラレル扱いではあると思いますが、限りなくオリジナルに近い王蛇だと言えるでしょう。ただ、声のトーン等は、オリジナル・龍騎におけるそれとは、若干印象が違うようにも見受けられます。
何故か劇場版・響鬼に登場した「凍鬼」の専用武器である音撃金棒・烈凍を持っていますが、この王蛇、士達を直接攻撃する為に出現したのではなく、単にストレス解消の為に出現したのでした(!)。
キバーラの、
「魔化魍復活の儀式の、始まりよ」
というセリフと共に、王蛇の「作業」が開始されるのですが、王蛇は、
「イライラするんだよ」
とキバーラを烈凍で打ち据えるという暴虐振りを発揮。王蛇は直ちにバケガニが封印された巨岩を粉砕し始めます。
王蛇らしいというか、何と言うか。龍騎における悪逆非道なキャラクターを、そのまま彷彿させる一幕です。出番がこれだけなのは非常に残念ですね。
さて、トドロキとアキラは、流派を超えて音撃道を一つにすべきだと、それぞれの師匠に進言します。勿論、ザンキとイブキは激怒します。しかし、そこに士が割り込み、
「音撃道とやらのことを真剣に考えているのは誰だ。お前達は師匠なんだろ?弟子たちの未来、音撃道の未来、お前達が決めてやれ」
と一言。毎度の事ながら、士の状況把握能力と、何故かその世界を救う方向に働いてしまう「上から目線の奉仕精神」は清々しいものがありますね。
色々と考えを巡らせた結果、ザンキとイブキは、弟子達に師匠の座を受け継がせることに決めます。
アキラやトドロキとしては、何もそこまでという気持ちだったようですが、ザンキやイブキが引っ張ってきた流派を根底から変えて融和政策を採るには、師匠の座を新しい世代に継承するのが一番だと考えたわけですね。
アキラが冷静を努めて
「頑張ります」
と短い抱負を述べるのに対し、トドロキは泣きながら、
「全力でやるっす」
とザンキに抱きつきます。
「やめて、お願い!」
と言うザンキがあまりにも可笑しく、思わずイブキやアキラも笑ってしまっているのがユーモラス。流派の融和を笑顔でも表現した、いいシーンになりました。
士の、
「涙の引き継ぎ式か」
という感想も巧いところ。
なお、自分だけヒビキに許しを貰っていないアスムは、その様子を影から窺っていました。実は、まだアスムは「動けていない」のです。
翌早朝、突如幻覚に見舞われる夏海。燃え盛る街の中、鳴滝と対峙します。
「このままディケイドが旅を続ければ、取り返しのつかないことになる」
「取り返しのつかないことって」
「君が止めるのだ。ディケイドを止められるのは、君だけだ」
「私が...」
いつもの鳴滝節ですが、口調はやや変化してきている印象。単なる悪辣なキャラクターといった感じではなくなってきています。何かの伏線なのか気になるところですが、クライマックスでバケガニを従えて出現する鳴滝は、また悪辣キャラに戻っており、実は鳴滝は2人居るのではないかという錯覚すら覚えます。
そして、アスムをヒビキのところへ連れてくる海東。
「一晩考えたんだけどさ、やっぱり、直接会って話をした方がいいと思ってね」
と海東。勿論これは、彼自身の目的を達成する為の方便です。
「ヒビキさん...」
「少年」
海東は、
「思った通りだ」
と呟き、隙を伺って巻物を奪ってしまいます。
「普段はまるで隙のないおじさんも、少年君の前だと心が緩む」
海東は、アスムを使ってヒビキに隙を作らせたのでした。ヒビキにとって、アスムは弟子以上に自分の子供のような存在だったのかも知れませんね。
そこに士が現れ、
「こいつの狙いは最初から音撃道の宝のみ。少年は利用されていただけだ」
と指摘。アスムは、
「そんなことありません!この人は僕に優しくしてくれました」
と反論しますが、海東は、それをあっさり否定します。
「面倒臭いやつだな」
「え?」
「士の言う通りさ。僕は最初っから、お宝の為に君に近づいた」
「そんな...」
士は、
「こいつはただの泥棒だ」
と海東を卑下するのですが、海東は開き直った様子で、
「そうさ。だけど少年君、こいつはもっと最悪だよ!」
と突如ディエンドライバーからヒビキに向け、砲弾を発射します。
一瞬でも危機感を感じてしまったヒビキは、闘争本能を刺激されてしまい、
「俺の心が奪われていく!」
と苦悶しつつ牛鬼へと変身してしまうのでした。
「これが、僕の最後の教えさ」
と海東。やや不明瞭ではありますが、彼は表面的に泥棒の汚名に甘んじて開き直りつつも、内心アスムを気にかけていたように見えます。海東のように器用な人間ならば、一挙両得に働く策を常に編み出せるのかも知れません。
「ヒビキの身体は、この牛鬼がもらった!」
と完全に牛鬼が本性を現します。士は、ディケイドに変身して牛鬼を迎撃しようと試みます。
ここで、一瞬何のことだか分からない書き文字が...。
通?...あ、「通りすがりの仮面ライダー」の「通」か(笑)。
一方で海東は、手に入れた3つの巻物を解読。海東はすぐさま、
「音撃道のお宝って、そういうことか」
と「お宝の在り処」に辿り着くのでした。海東の活躍は正に電光石火で、今度は牛鬼に襲われるアスムを守るべく、士を援護します。
「どういう風の吹きまわしだ」
「せっかく奪ったお宝を、見てみたくなってね」
アスムは、ディケイドと牛鬼の戦いを眺めながら、
「ヒビキさんは何で牛鬼なんかに」
と海東に問います。
「鬼の力を制御出来なくなったのさ」
「鬼の力を?」
「でも、ヒビキって人はこうも言ってた」
ここで、いつもは士が「いいこと言った」シーンにかかる、例の「チャラ~♪」という重厚なBGMが流れます。完全に海東がメインですな。
「正しい心で、鬼の力を制御出来るなら、鬼となって、俺を倒せって」
「僕がヒビキさんを?そんなの、出来るわけないじゃないですか」
「それでいいんじゃない?」
「え?」
「その優しさがあれば、鬼に心を奪われることもないってさ。受け継ぐのは、鬼の力だけじゃない。ヒビキって人の、魂を受け継ぐことなんだ」
海東もまた、(場合によっては)士と同様に物事の本質を見抜く力を持っているようです。というより、実はアスムが「お宝」の鍵になることを鑑みて、このような発言をしたのかも知れません。
「海東!俺のセリフ奪ったな!」
と士のツッコミが入るのが可笑しいところ。しかし、海東はさらに士の領分を侵してしまいます。
「言っておくけど、僕は君よりもずっと前から、通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ」
出ました!衝撃のパターン破りです。海東はディエンドに変身します。
「盗」って...(笑)。まぁ、確かに海東を一文字で表すのに、これ程適した文字もないですが。
そして...。
「後は君が選ぶんだ。鬼になるか、ならないか」
「...僕は、鬼になります!」
響鬼に変身するアスム!
オリジナル・響鬼では、アスムにあたる明日夢はヒビキの弟子になった経験は持ちつつも、遂に鬼になることはありませんでしたが、今回、アスムが響鬼自体に変身するというシチュエーションを得て、オリジナルの「リ・イマジネーション」を果たすことになりました。この流れから行くと、本来ならば、トドロキは斬鬼に、アキラは威吹鬼に変身するのが正しいのでしょうが、彼らはオリジナル・キャストですから、キャラクター性を尊重する意味で、敢えて「轟鬼」「天鬼」のままとなっています。
士と海東の助力を得て、牛鬼を追い詰めるアスム。士の、
「やるんだアスム!このままでは、ヒビキの魂まで失われてしまうぞ!」
という言葉を聞き、「猛火怒涛」の型で牛鬼を倒す覚悟を決めるのでした。ここで士が「少年」ではなく「アスム」と呼んでいるのに注目。オリジナルでも、「少年」と「明日夢」の境目は印象的に描かれました。
清めの音が響くとき、ヒビキからアスムに、魂が受け継がれる...。
このシンボリックなシーンには涙々ですね。
牛鬼は、倒れました。
凄まじいことに、本来の主役のネームを持つヒビキは、命を落とす結果になったのです。人間の姿に戻ることさえなく、文字通り粉砕されてしまったのです。この衝撃は計り知れないものがあると思います。
ここで終了してもあまり違和感はなく、むしろ大きな余韻を残す程、師匠と弟子の物語は完成されている感じがするのですが、まだ響鬼の「FINAL FORM RIDE」が出て行ないということで、「最大の祭り」が用意されています。
普通ならば、付け足し感や蛇足感に苛まれることになりそうな、このシチュエーション。ところが、この後の「祭り」は正に「祭り」として仕上がっており、あまりにも派手で燃えまくる演出を施されている為、こちらをクライマックスとしても全く問題ないものになっています。むしろ、「音撃道の完成」という、響鬼の世界における到達点を最高の映像で示したものと評価出来るわけです。
さて、「祭り」は王蛇が先程宣言したとおり、バケガニの出現によって開始されます。
「おのれディケイド!このバケガニで始末してくれる!」
と叫びつつ鳴滝がバケガニに乗って現れるという、何とも悪役ライクな登場がクールでコミカル。
鳴滝はすぐに消えてしまい、バケガニは士達に襲い掛かります。オリジナル時点よりもCG描写が進化しており、その量感や実在感といった質感は素晴らしく向上しています。こうした技術の進化を見るのも、一つの楽しみになっています。
このバケガニ戦に、轟鬼と天鬼も参戦!
海東「音撃道のお宝ね」
士「どういう意味だ」
海東「簡単なナゾナゾだよ」
ここで海東は3つの巻物をディエンドライバーで粉砕。すると、巻物に書かれていた、
「立つ日なり」
「車の几を又手にするなり」
「首は之なり」
の文章における漢字の部分がそれぞれパズルのように組み合わさって、「音」「撃」「道」の文字を成立させます。
士は、
「三つの流派が一つになること、それが真の音撃道ってことか!」
と事の真髄を理解します。すると、その瞬間に響鬼のカードが復活。早速、
「ちょっとくすぐったいぞ」
が登場します。
「FINAL FORM RIDE」でヒビキアカネタカになる響鬼。バケガニに突撃し、空中へ運んでしまうほどの力を持っています。
続いて、「FINAL ATTACK RIDE」でヒビキオンゲキコに。初の2段変形になっています。
バケガニの背に乗ったヒビキオンゲキコを、ディケイドが打つ!
ここで「ディケイド」の書き文字がインサートされます。
そして、轟鬼が音撃弦を奏でる!
勿論、「轟鬼」の書き文字もインサート。
更に、天鬼が音撃管を吹く!
「天鬼」の書き文字もバッチリ挿入されます。
これだけではなく、何と海東も参加。ディエンドが空中に音撃鼓のイメージを投影し、青い音撃棒で打つ!
書き文字「ディエンド」も登場します。
そして更に、
「俺達も行くぞ!」
「ええ!ザンキさん!」
とザンキとイブキの先代師匠同士の融和までも示されます。
現師匠と元師匠と並んで演奏する姿が感動的です。師匠の座を譲ったザンキとイブキは、前回のアスム変身体と同様、完全な鬼ではなく、頭部が変身していないのは興味深いところです。お2人とも、鬼スーツが実に似合っています。イブキはトロンボーン型の音撃管を操り、ザンキは音撃弦をクルッと回すアクションを披露しています。
ディケイドとディエンドの太鼓の上に、轟鬼とザンキのギター(およびベース)が加わり、ブラスによるメロディを天鬼とイブキが奏でるという、音楽と演出が一体となった素晴らしい映像が炸裂。これにはただ脱帽です。
音楽自体は、オリジナル・響鬼の音楽担当である佐橋俊彦先生によるものではないですが、響鬼の世界観を尊重した、非常に完成度の高いメロディメイクとアレンジが秀逸で、この「祭り」に鮮やかな彩りを与えています。
なお、途中で、「海鼠(ナマコ)」や、
「薄紅色」といった書き文字がお遊び的に挿入されます。
「薄紅色」は納得ですが、「海鼠(ナマコ)」はないでしょ(笑)。士はナマコが苦手だということを、すっかり忘れていました。
3つの流派が一つとなり、完成を見た音撃道が、バケガニを粉砕しました。
ずらりと並ぶ音撃戦士達。正に壮観ですね。こうした横並びの構図は、あらゆる作品で披露される度に、胸を熱くさせられてしまいます。
師匠、弟子、道、音。オリジナル・響鬼が有していた特徴的なキーワードをかき集め、昇華した手腕には素直に拍手を送りたいと思います。傑作認定!
エピローグ。
「大樹さん」
とアスム。
「まだ何か用か?」
「僕達が、鬼を受け継ぐことが出来たのは、あなたのおかげです。ありがとうございました」
海東に頭を下げる、新世代の音撃道の師匠達。
「よしたまえ。気持ち悪い」
と、海東なりにあしらいますが、その本当のところの心情は垣間見られません。
それでも、ユウスケはその真意を感じたのか、
「海東さんも、いいとこあるね」
と評しています。海東は、
「僕はやりたいようにやるだけ。少年君、僕のお宝、いつかはきちんと、見せてもらうからな」
と、アスムに対する彼なりの優しさを見せました。ここで、ようやく海東がアスムに抱いていたシンパシィ的な感情を、我々は認識することが出来たわけです。
ユウスケ「今回はやけに爽やかだね」
夏海「うん。そうですね」
士「ただの泥棒だ」
このレギュラー陣の会話が楽しい。
ユウスケは、アギト編で割と酷い目に遭っていますから、特に今回は爽やかに映ったでしょう。面白いのは士の発言。文字通りの解釈も充分成り立ちますが、これは今回、あらゆるシーンで士の領分を奪われたことに対する恨み節だと私は思います。結局、キメ台詞は勿論のこと、アスムとの交流の部分も海東が担っていたわけで、「いいところを盗まれた」というのが、士の正直な感想だと思います。
遂に9つの世界を巡る旅は終わり、光写真館に戻ってきました。
響鬼の世界での光写真館は、土壇場で初めての登場となりました。こんなところにもパターン破りが存在しています。
士がシャッターを切る描写はなかったように思いますが、一応、アスムを撮った写真があります。
ヒビキではなく、アスムが二重写しになっており、不思議な感覚に彩られています。
アスムが立派な鬼になり、この世界は大丈夫だという士。しかし、士の世界は一体どうなるのでしょうか?
夏海は心の中で密かに、
「士君が世界を破壊するなんて、きっと何かの間違いです」
と呟きます。
この表情があまりにも美しかったのでキャプ(笑)。
そして、キバーラの、
「さあ、次の世界へ出発よ」
の掛け声が。旅は終わった筈だが...と疑問に思う一同。栄次郎も同じ考えだったようで(?)、
「ようし。旅の終わりを記念して、皆で写真を撮ろう」
と提案します。栄次郎が背景ロールを下ろすと、そこは元の世界。
いわゆる「夏海の世界」です。紅蓮の炎に包まれた、何とも不吉な絵図ですが、果たしてどのような物語が待っているのでしょうか?
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