カブトの世界後編です。
前回のラストで、よりにもよってソウを「お兄ちゃん」とマユに呼ばせ、衝撃と共に一部の聡明な視聴者の溜飲を下げさせました。
今回はその謎解きをメインに据えるのではなく、ソウの正体を明かすと共にその企みを進行させておき、その前景でメインキャラクターを動かすことで、オリジナル・カブトが内包したテーマを(極端に)クローズアップし、描いてみせるという手法をとっています。
カブトのテーマのクローズアップについては、後に詳しく述べますが、簡単に言えば、カブトが妹を守るという、その一言に尽きます。
オリジナル・カブトは、4クールの長丁場でしたから、色々な要素が絡み合って錯綜し、そのテーマ周辺の出来事に目を奪われたりしましたが、今回はたった2話での構成ですから、よりストイックにそのテーマが描かれることになりました。何しろ、前編では殆どカブトがまともに姿を見せませんし、この後編でも、後半に捕獲されるまで殆ど姿を見せません。ソウジに至っては、ソウとの二役で、しかも土壇場でやっと姿を見せるという展開。
つまり、主役不在のままでありながら、主役の存在感が際立たせるという、難題に挑んでいるわけです。ソウジ/ソウ役の川岡大次郎さんの演技も非常に的確で、全く異なる二役という難役を魅力的なものに仕上げています。
この存在感を高めたのは、おばあちゃんが屋台骨を支える「家」の存在。
オリジナル・カブトにおける「家」の要素は割と希薄でしたから、その存在と効果は鮮烈です。その上、オリジナル・カブトで重視された「料理」を「味」に換言し、「変わらないおでんの味」を「帰る場所」に結びつけるあたりはファインプレーで、これ以上ないカブトの世界を描いたと評価したいところ。
結果的にマユは人間ではなかったわけですが、この「同じおでんの味」を知っているという要素によって、ちょっと意味は違いますが「一味同心」的な意味付けが為され、天堂屋の3人が「家族」であることを強調することにもなっています。
電王編は例外中の例外として除外すると、今回は會川さん降板後に(つまりメインライター不在で)、他の脚本家によって書かれる最初のストーリーということになります。キャラクターやテーマの一貫性を危惧する声もありましたが、高い水準で結果を示したのではないでしょうか。確かに、會川脚本のように色々な事象が辻褄を合わせてくる緻密な感覚はなく、マユの出自やソウジとZECTの関係等は一切が省かれています。その点での不満はあるにはありますが、説明義務を果たすよりは雰囲気を重視した方が映えるテーマではあったわけで、この措置は正解でしょう。
では、見所を押さえてみましたので、お付き合い下さい。
前回からの続き。
光写真館では、ザビーの変身が解けたソウを、「お兄ちゃん」と呼んだマユについて議論しています。夏海とユウスケは「ソウが兄」ということを殆ど鵜呑みにしていますが、士だけは、
「生きていても、あいつの筈はないんだがなぁ」
と言ってます。
私は、どうもこのシーンが良く分からなくて、元々ソウがワームだと士が気付いていたのか、もしくはカブトがマユの本当の兄だと初めから知っていたのか、どちらかでないと、このセリフの説明が付きません。
少なくとも話の構成上、いくら「だいたい分かった」でその世界の全体的な構造を理解する士でも、ソウの素性まで分かっていたとは到底思えません。士は確かに超人然としていますが、いくらなんでも見通し過ぎな気がします。それとも、何か伏線的なものを、私は見落としてしまっているのでしょうか?
会話はやがて、何故ソウがおばあちゃんの店に帰って来ないのかが焦点になります。ここで栄次郎が開口。
「これは思ったより入り組んだ話かも知れないなぁ...」
と鋭い分析。と思いきや、「白髪探偵」なる小説の話でした。
石橋さんのギャグシーンはキレがあっていいですね。さすがです。話の構成から言えば、伏線でもなんでもなく、本当にどうでもいいシーンなのですが、キレがあるので蛇足感を感じさせません。
一方、ZECTでは「クロックダウンシステム」を完成させていました。
「カブトはクロックアップの世界から引き摺り出されることになる」
とソウは気を吐いています。
このクロックダウンシステム、カブト捕獲作戦という題目が高々と掲げられている為、視聴者側もサラッと流すと真の目的が見えないという仕掛け。これには感心しました。この世界の主役であるカブトを殆ど見せないという演出が強烈なだけに、視聴者も「カブトを見たい」という心理にとらわれており、「悪役」であるソウへの感情移入を誘導されてしまうのです。
マユは、兄の生存をおばあちゃんに報告します。
しかし、おばあちゃんの反応は冷ややか。
「お兄ちゃんに帰って来て欲しくないの?」
「あの子が生きていたとして、それでもここに帰って来ないとしたら、その理由はただ一つ」
「何?」
「戻って来られない理由があるのさ」
「もう知らない!」
私が思うに、この世界で「総てを司る」のは、このおばあちゃんだけでいいと思います。従って、冒頭の士が「殆ど知っている」状態を匂わせるのには、やや違和感を感じざるを得ないです。
おばあちゃんにあしらわれたマユは、今度は夏海に相談します。キャラクターのローテーションの巧さが光りますね。
夏海とマユが歩いていると、ベンチに座った男が、突如サブストワームに変身。
ベンチに座った姿が実にシュール。ごく普通の生活者がワームかも知れないという恐怖感は、ちょっと笑えるカットを挟むことで深まるという好例です。今回は演出のキレが全体的に鋭いと思います。
「気が付いたことが2つあってね」
と、海東が逃走中の夏海とマユの前に現れます。
「まず、その子は何故かワームに狙われている」
海東もただクロックアップシステムを求めてフラフラしているだけではなく、カブト周辺の構造をちゃんと俯瞰していました。
「それと、もう一つ気が付いたのが...」
と海東が言いかけたその時、カブトがワームを一掃します。
「やっぱりね。何故かその子をカブトが守っている」
海東はディエンドに変身。
カブトのクロックアップが一番速そうだとして、
「どうせ頂戴するなら、性能がいい方がいい」
とようやくここでカブトに照準を合わせてきます。各々の世界で、海東が最終的に狙うのは、その世界の主役ライダーに関係するものへとフォーカスされていきますので、その方針に沿っています。
ディエンドは「KAMEN RIDE IXA, PSYGA」でイクサとサイガを呼び出し、攻撃させます。
この辺りはいつものディエンドで、取り立てて特筆すべき点はないのですが、今回はサプライズが。
「It's showtime!」
というサイガのセリフはまぁいいとして、
「その命、神に返しなさい!」
「待ちなさい」
「ひざまずきなさい」
というイクサのセリフ、これは恐らくオリジナルの名護啓介・加藤慶祐さんの声です。
クレジットになかったので、サンプリングボイスかカメオ出演だと思いますが、ディエンドの「KAMEN RIDE」がオリジナルの役者を使わないという傾向は、ここで打破されることになりました。一貫性がないという辛辣な意見を述べることも出来ますが、ただ単にファンサービスとして登場させた、臨機応変な処置だと考えた方が妥当です。ガンバライドの収録音声という説もあり。
一方、サブストワームに襲われたマユは、シシーラワームの姿になり、衝撃波によりサブストワームを一撃で消滅させてしまいます。
シシーラワームは、オリジナル・カブトにおける天道総司=カブトの母に擬態したワームから生まれたワーム(ややこしい)で、日下部ひよりという人間態を持っていました。
天道の母は殺害・擬態される際にひよりを身ごもっており、母に擬態したワームは胎児も含めて完全に擬態していたわけで、天道にとっては憎いワームでありながら、ひよりに悪意はないという、複雑な感情を抱かせる設定でした。
今回のマユ=シシーラワームについては、一切の説明が省かれており、何故マユがワームなのか、そして何故カブトはワームであるマユを守るのか等、全く説明されません。
オリジナルを知っていれば、前述のような経緯があるかも知れないという想像は付くのですが、初見の方にとっては、何が何だかということになるかも知れません。私はオリジナルを知ってしまっているので、白紙の状態で見ることは出来ませんが、それでも白紙状態での想像を逞しくしてみると、「マユがワームなのに守っている」という意外性と、家族の絆という形態に置き換えられる、種を超えた博愛というテーマが浮き彫りになると思います。
これが的を射ているかどうかは分かりませんが、カブト世界の「リ・イマジネーション」の根底は、人間とワームでも家族であれるという分かり易いテーマに集約されると言っても良いかと思います。
ところで、ディエンドはカブトのクロックアップに翻弄され、逃げられてしまいます。
「クソッ!どうしても、手に入れたい!」
と、いつもの海東らしい捨て台詞。クロックアップシステムはマスクドライダーシステムの機能の一部ですから、海東はマスクドライダーシステムそのものを手に入れる気なのでしょうか。このあたりは他の「お宝」に比べてやや曖昧です。
マユの元には、ソウが現れ、
「俺ならお前を、受け入れてやれる。俺も...」
とフィロキセラワームに変身します。このフィロキセラワームは、SMAPのスペシャル枠で制作された「仮面ライダーG」に登場したもので、一応「ディケイド」オリジナル怪人ということになります。
ここでソウがワームであることが判明したわけですが、勘のいい人ならば、前回のラストでマユがソウを「お兄ちゃん」と呼んだ時に気付いていたと思います。ソウがワームならば、カブトがソウを襲撃したのも納得できるわけです。その辺りの説明は、後から登場します。
なお、オリジナルでも天道に擬態したワームは登場しており、ダークカブトなる最強の敵として天道の前に立ちはだかります。一応、そのあたりのエッセンスは注ぎ込まれているわけです。
マユの正体を知った士と夏海は、天堂屋を訪れます。しかし、おばあちゃんは全て知っているような口ぶり。
「それがどうかしたかい」
「ワームだと分かった以上、俺はあの子を倒す。それがこの世界のルールなんだろ?」
「ワームだろうがなんだろうが関係ない。あの子は私の孫だよ。うちのおでんと同じさ。あの子の体には隅々まで、うちのつゆの味が染み込んでるんだよ」
この種を超えた絆というテーマは、それこそ「ウルトラセブン」あたりから繰り返されてきたものであり、いわば古典に属するものではあるのですが、普遍的でもあり、いつ持ち出してきても感動を呼びます。勿論、古典的で普遍的である故に、感動の度合いはストーリー運行や演出に大きく左右されます。今回は、かなりいい線行っている、と私は感じました。
また、このおばあちゃんのセリフが実に良いです。「あの子は私の孫だよ」で終わっていれば、大して心にも引っ掛かりませんが、「うちのつゆの味が染み込んでるんだよ」という一節により、おでんという効果的な小道具が、家族の絆を象徴するものになります。前回の展開にある、味を変えられないという方針は、こんなところへと繋がってきているわけです。
マユを、同属という関係性で引き込んだソウは、マユをカブト捕獲作戦のエサにしようと画策。ソウの合図で、マユは捕縛されてしまいます。
アラタは、その横暴なやり方を見るにつけ、これまで何度も助けてくれたカブトを捕獲するという作戦に、異を唱えます。ところが、ソウは、部下にアラタを痛め付けさせて反対意見を封じるという暴挙に出ます。
「餌は手に入った...」
と、ソウは不気味な笑みを浮かべます。
オリジナルでも加賀美新はカブトにシンパシィを抱き、しかも色々とひどい目に合っていますから、ここでのアラタはかなり自然に見られます。
ZECTは大々的にカブト捕獲作戦を発表し、その報道は、市民を安堵させます。カブトが目に見えずとも、近くに居るかも知れないという恐怖感だけがクローズアップされており、人知れずワームを片付けている「正義の味方」という報道が一切されていないのは、ZECTが情報操作も可能な組織だということを窺わせます。物語的には、後から出てくる重要なキーワードである「世界中を敵に回す」という一節を強調する為の、一種の仕掛けでもあります。
傷ついたアラタが、ソウのやろうとしていることを士に伝える為、光写真館にやって来ます。
「あいつは普通じゃない。カブトを捕まえる為に、女の子まで利用して...」
「まさか、マユちゃんを!」
「どうやってカブトを捕まえる?」
「システムが稼働すれば、カブトは、クロックアップ能力を失う」
「そういうことか。カブトの動きが止まる。そして、お前達ライダーの動きも...」
ここで士はソウの企みを把握します。皆、「カブトの捕獲」という大上段の構えに視線を引かれ、足元にある真の企みに目が行きません。それは劇中の人間も視聴者も同様です。まぁ、鋭い視聴者であれば、既に分かってしまっていたことではあると思いますが。
やがて、マユを助けるため、ソウの思惑通りカブトが現れます。
そして、クロックダウンシステム発動により、カブトは捕獲されてしまいます。
「遂に捉えたぞ!カブト。俺の、勝ちだ!」
というソウの宣言と共に、ZECTは突如ワームによって占拠されます。
ソウの真の目的は、クロックアップシステムを無力化することで、ワームへの対抗手段、即ちマスクドライダーシステムを封じることだったのです。この世界におけるワームへの対抗策は、マスクドライダーシステムしかありませんから、マスクドライダーシステム(特にクロックアップ)を無力化すれば、ワームに敵対する存在は一時的であれ皆無になるというわけです。
変身を解かれたカブトは、ソウに酷似した人物でした。このカブトの正体こそ、マユの兄・ソウジだったのです。
ソウとソウジという語感上の近似をも利用した作劇は、非常に巧いものだと評価出来るでしょう。
「この世に二人の俺は要らない。消えろ!」
と、ソウはソウジを踏み付けます。なかなか凄惨なシーンです。そこへ、
「消えるのはお前の方だ」
と士が出現。
「おばあちゃんが言っていた。つゆの味は目で見ただけでは分からない...ってな。見かけに騙されるな」
と、お馴染みの天道のポーズを披露します。
「私見たの。お兄ちゃんが、カブトに殺されるの」
「マユが見たのは、兄さんに擬態したワームだ。カブトは自分に擬態したワームを倒そうとしたんだ」
ここで回想も交え、全てが種明かしされます。
ソウジは自分に擬態したワームをカブトとなって倒そうとしましたが、右目を傷つけただけで失敗に終わり、しかも、その様子をマユに目撃されたことで誤解されてしまったのです。
「その戦いの後、俺はクロックアップの世界から戻れなくなった。マユ、お前は戻れる。おばあちゃんの処へ」
単純に擬態ソウジ=ソウとの戦闘で、クロックアップシステムが故障して暴走状態になったと解釈するのが自然ですが、劇中におけるカブトのクロックアップの描写を見ていると、どうもシステマティックな話に持っていくと違和感があります。
何となく、ソウジは擬態ソウジを倒すところをマユに見られたことで、様々な弁解を弄することをやめ、マユの前からとりあえず姿を消し、マユを人知れず守ることを決意したように見えます。つまり、戻れなくなったのではなく、敢えて戻らなくなった。そんな感じを受けるのです。
ソウは、
「こいつはワームだぞ。今更帰る場所などない」
とマユを評します。が、士は当然反論。
「違うな!」
「何?」
「この世に一箇所だけ、たとえ世界のすべてを敵に回しても、家族の帰りを待ってる場所がある。そして、この世に一人だけ、たとえ世界のすべてを敵に回しても、家族の為に戦う男が居る」
これは天道が、
「おばあちゃんが言っていた...たとえ世界を敵に回しても、守るべきものがある」
と言った名台詞へのオマージュです。というより、このセリフだけを拡大したのが、今回の「カブトの世界」なのです。カブトは、人間から疎まれるワームである妹を守る為だけに戦っている。それはオリジナルも同様なのですが、今回の方が錯綜する部分がない分、より徹底しています。
「下らん!身を寄せ合うのは弱い者同士だ」
「この男は、誰にも声が届かない世界で、孤独に耐えながら、皆を守って来た誰より強い男だ。同じ顔をしているが、お前はこの男の足元にも及ばない。虫けらだ」
士一流の言い回しで、ソウジを称えます。ワームが節足動物系モチーフであることにかけて、ソウを「虫けら」呼ばわりしている所も面白い。
「この世界は俺のものだ」
と豪語し、フィロキセラワームとなるソウ。
「どうかな。俺は全てを破壊する」
「貴様、一体何者だ!」
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
出ました!押さえるところでバッチリ押さえますね。お約束が押さえられているのは嬉しいものです。
しかし、この直後は少々パターン破りになります。大体、「通りすがりの仮面ライダーだ」の後、すぐに変身するのですが、何と士の生身のアクションが展開されるのです。殴りばかりのアクションかと思いきや、身体を水平にする華麗なキックも披露し、満足度の高いアクションになっています。
この間に、ソウジはマユを救出。
「何で私を守ってくれるの?だって、私は...」
「お前は俺の妹だ。そして俺は?」
「お兄ちゃん...」
「大切な真実はそれだけだ。これからもお前を守る」
実はソウジ、この時点で「これからも」と言っており、フィロキセラワームを倒してもマユを狙うワームはいなくならないことを悟っているものと思われます。つまり、再びクロックアップの世界に戻っていく覚悟は、とっくに出来ているということです。
ディケイドとカブトのダブル変身!
この直後、カブトはキャストオフします。
フィロキセラワームはここぞとばかりにクロックアップして攻撃してきますが、士は、
「残念だったな。どんなに早く動いても、お前の攻撃パターンは見切った」
と言い、「ATTACK RIDE ILLUSION」で分身して対抗。どうやって見切ったのだろうかと疑問に思いましたが、思い出してみると、ソウが変身したザビーとは戦っているわけで、その際に攻撃パターンを見切ったんですね。ちょっと分かりにくいですが。
結局、戦況が不利と見たフィロキセラワームは、外へ逃亡します。
ここでフィロキセラワームを追うべく、「FINAL FORM RIDE KABUTO」でゼクターカブトに。「ちょっとくすぐったいぞ」のセリフもバッチリ登場します。
ゼクターカブトの回転でコンクリートを掘り進み、外へと脱出します。巨大な「カブトゼクター」である「ゼクターカブト」。ビジュアルインパクトはかなりあります。
外へ出た士は、
「システムを破壊すれば、あんたはまた永遠の孤独に戻ることになる。いいのか?」
とソウジに尋ねます。ソウジは、
「いつでも帰れる場所がある。だから俺は、離れていられるんだ」
と答えるのでした。これは非常に深く、いいセリフだと思います。しかも、この一言でソウジの覚悟が悲愴なものではなくなり、むしろポジティヴに生きてくるのです。ソウジのキャラクターがあまりにも素敵に輝き始めます。
「それがあんた達の絆か」
とそっけない返事の士ですが、割と感じ入った雰囲気でのセリフ回しになっています。巧いですね。
そして、
「この世界は俺が支配するのだ!」
と同じようなことを何度も繰り返すフィロキセラワームに、
「この一家が居る限り、それは不可能だ」
と返す士は、「FINAL ATTACK RIDE KABUTO」を発動。2人のキックが同時に炸裂するという、インパクトとカッコ良さ抜群のビジュアルで魅せます。
しかも、一瞬クロックアップしたかのような描写が挿入され、見る者をハッとさせる効果も抜群。数ある「FINAL ATTACK RIDE」の中でも抜群のカッコ良さだったのではないでしょうか。両者のキックスタイルの違いも効いていますね。
変身を解除した2人。
「何か、ばあちゃんに伝えることは?」
「無いな。おばあちゃんは全部分かってる」
「そうだな」
この言葉少ない感じが実に素晴らしい。ソウが割と喋るキャラでしたから、二役で演じられたソウジが無口なのは正解です。
そして、訪れるマユとの別れ。
クロックダウンシステムが崩壊し、ソウジは再びカブトとなってクロックアップの世界に消えて行きました。
このシーン、カブトに変身する前から消え始めるという、極めて象徴的な演出になっています。普通に考えると、カブトに変身しない限りクロックアップされない筈なので、カブトに変身しなければマユの元に居られるのです。しかし、それではマユを守ることは出来ない。だから、ソウジはカブトとなって再びマユの前から姿を消すのです。ソウジの姿で消えていくのは、システマティックに解釈するならば、カブトに変身する瞬間からクロックアップ効果が出る為、ソウジの姿が残像となったとする説を挙げておきたいと思います(ちょっと無理はありますが)。まぁ、もっと叙情的にそのまま見た方がいいのは確かですけどね。
ラスト、おばあちゃんの、いつものおでんが出てきます。
帰結点、です。
「お兄ちゃんも、いつか帰って来れるかな」
「ソウジは、いつだってここにいるよ。私達が変わらない限りね」
士は微笑む二人を撮り、そこには、もしかしたらすぐ傍に居たかもしれないカブトの姿が。
そして光写真館。
「結局、お宝は手に入らなかった」
と海東。士は、
「大航海時代、かのバスコ・ダ・ガマが命がけで探し求め、金と同じ値段で取引されたという、伝説のスパイスだ」
と小瓶に入ったスパイスを手渡します。
「いいのか?」
「持って行け!」
実は単なるコショウなのですが...海東は物凄く嬉しそう。
この海東が実に可愛らしい。素晴らしい料理の腕を持つ海東ですから、コショウのことくらい知っていて当然だと思いますが、それでも海東の求める価値というのは、案外そういう「薀蓄」に象徴されるような付加価値にあるのかも知れません。
キバーラが2人になるという、よく分からないギャグの後、いつものように背景スクリーンが下ろされます。
次は響鬼の世界。
鳴滝さん、何やってんの?
jink
>というイクサのセリフ、これは恐らくオリジナルの名護啓介・加藤慶祐さんの声です。
非常に似ていますが違うようです。
サイガの声をあてた塩野勝美さんがmixiの日記で
違うと書いておられました。
(日記に「一緒にアフレコやった」とあるのはイクサも
塩野さんがやったということかな?)
とてもよく似ていて私も加藤さんかと思ってました…
GEMプロジェクト
士がソウをマユの兄であるはず無いと言ったのは前回ザビーが攻撃の軌道上にマユがいたのに何のためらいも無く攻撃を仕掛けたため、マユの兄では無いと確信を持ったのだと思います。
SirMiles(管理人)
加藤さんの声じゃないんですか?
だとすると、すっかり騙されてしまいました。よく似てますよね。
SirMiles(管理人)
確かに仰るとおり、マユに向かってニードルを発射してますね。納得です。
ただ、見落としてしまう程、印象も薄かったのは否めないところだと思います。一瞬回想シーンでも入れば、完璧だったんですけど。