今度は龍騎の世界。
シンプルな物語のオリジナル・クウガ、前作なので記憶に新しいキバと違って、画面に盛り込まれたパロディ的なサービスを見つけるのが難しくなってきましたが、気付く範囲でフォローします。記憶が薄いんだよなぁ。
オリジナル・龍騎は、13人の仮面ライダーがライダーバトルを繰り広げるという設定で、視聴者の度肝を抜きました。
「仮面ライダーアギト」で試みられた複数ライダー体制とその対立構造を、さらに過激化したものと解釈できるでしょう。
主役は仮面ライダー龍騎=城戸真司と、仮面ライダーナイト=秋山蓮。
本編は、メインの2人以外のライダー達にも重厚なドラマを背負わせたり、テレビスペシャルや映画が外伝でありながら本編と密接に関係していたり、タイトルライダーである真司が最終回前に死亡してしまうなど、凝った仕掛の多いものでした。
このオリジナル・龍騎を、一体どのように「リ・イマジネーション」してくれるのか、また目が離せません。
「ディケイド」における龍騎世界の特徴を整理すると、
- 城戸真司にあたる人物は、辰巳シンジ
- 秋山蓮にあたる人物は、羽黒レン
- ライダーバトルは、個人の思惑で仕掛けられたものではなく、裁判制度として政府が主導
- ミラーワールドの設定は、オリジナルとほぼ同じ
- アドベントカードを使ってのバトルも、オリジナルと同様
- 裁判「制度」なので、参加する仮面ライダーは基本的に死なないらしい(?)
- 14人目の仮面ライダー「アビス」が登場する
といった感じでまとめられます。
では、今回も見所を中心に追って見ましょう。
「仮面ライダー龍騎」を象徴する「編集社」が、「ディケイド」にも登場。
その名も「ATASHIジャーナル」!
オリジナル・龍騎では「OREジャーナル」でした。完全にシャレでネーミングしてます。
そのATASHIジャーナルに、この世界の仮面ライダーのことを聞きに訪れる夏海。
編集長の桃井玲子と会うことに。
ちなみに、オリジナル・龍騎では「桃井令子」。編集長ではなく敏腕ジャーナリストで、この辺りの設定は羽黒レンに投影されています。
今回の「玲子」は「令子」より(ややこしい...)かなり年上に描かれているようです。
ところが、玲子は突如首に痛みを感じて倒れてしまい、そのまま絶命してしまいます。
夏海がその時フォークを握っていたのを、偶然(?)居合わせた羽黒レンに目撃され、疑われることに。
こういう驚愕した表情もなかなかいい感じですよね。
そして、これが龍騎世界の光写真館。
昭和初期モダン風味は相変わらずですが、看板が電飾系になっているようです。
光写真館では、栄次郎が手に入れた(ってどこで?)地鶏をユウスケが追い掛け回しており、キバーラが地鶏の背に乗って上手になだめ、捕獲に成功していました。
キバーラは、キバ世界に続いて龍騎世界にもやってきており、
「あなた達を守ってあげる」
と言います。
どうも、キバーラは鳴滝のスパイとして、諜報活動の為に士達と同行しているらしい。
ということで、キバーラも一応レギュラーキャラになったわけです。
士の今回の職業は弁護士。
街に出た士とユウスケは、夏海が殺人事件の容疑者として逮捕されたことを知ります。
この写真、実に怖い表情。森カンナさんの表情の多彩さを伺わせます。
士は、
「とうとうやったか」
と嬉しそう。すかさず、
「...ってオイっ!」
とユウスケがツッコミ。
士はユウスケの「チーム」という言葉を鼻で笑っていましたが、自然にいい「コンビ」になっている所が笑えます。
一方、夏海は早くも立件を終えて裁判に。
裁判は「ライダー裁判」によって行われます。
「仮面ライダー裁判制度」とは、検事と弁護士、そして事件の関係者が仮面ライダーに選ばれ、彼らがミラーワールドで最後の1人になるまで戦い、最後に残った1人が判決を言い渡すというもの。
本当にメチャクチャな設定ですが、ライダー同士が「戦う理由」を辛気臭く説明するより、あっさり「制度」にしてしまったことで、妙な説得力を持たせているのが見事です。
ライダーバトルは、オリジナル・龍騎の雰囲気を凄く良く再現していて、非常に懐かしい感じがしました。
しかしながら、映像表現の発達に伴って、CG等の質感が当時より格段に向上しており、今「龍騎」を作ったらという「if」になっている感覚もあります。
ゾルダとタイガが!
シザースとベルデが!
オリジナル・龍騎では確かこのカードでの対戦はなかったような。
にしても、シザースのイメージって、これで更に悪くなりましたねぇ(笑)。
オリジナル・シザースって、卑怯な人間でありつつも、演じていた木村剛さんが結構カッコ良くて、不思議な魅力があったんですけど。
「卑怯もラッキョウも大好物だぜ!」
って、あんたメフィラス星人2代目か(笑)。
ここで、ベルデは敗北しても特に死亡した描写はなく、単にミラーワールドから脱落といった感じになっています。
「ああ、ライダーバトルで負けても別に死なないんだ」と思ったのですが...。
さて、士は弁護人として夏海の弁護に就くことに。
手錠に繋がれた夏海を「凶悪犯」呼ばわりして、嬉しそうにからかう士の姿が楽しい。
今回の笑いのツボの犠牲者はユウスケでした。
まさか、こういうパターンで笑いのツボが使われるとは。馬鹿にする士に使えなかったことの腹いせでしょうか。
接見の最中に、士達はシンジに出会います。
夏海は当時、ショートケーキを食べる為にフォークを握っていただけだと主張。
「ショートケーキだと?...死刑だな」
という士。甘党故に嫉妬したのか、それとも甘いものが大の苦手故の発言なのか...?
シンジは、編集部でカメラマンをやっており、士の写真に興味を示します。
そして、シンジはライダーに選ばれているが、明らかに夏海が犯人でないと分かるので、バトルに参加するかどうかは迷っていると言います。
シンジはレンを疑っていたのですが...。
という会話をしている最中、ふと士達は車のリアウィンドウに映った、ミラーワールドにて繰り広げられるバトルを目撃します。
「じゃ、ちょっくら行って来るか」
と士。
「出来るのかよ!」
とユウスケ。
「俺はナツミカンの弁護士で、仮面ライダーだ」
と言う士は、自信満々でディケイドに変身し、ミラーワールドに飛び込みます。
この振り返りながら吐くセリフが妙にカッコ良く、ディケイドの特殊性を浮き彫りにしています。
ディケイドがミラーワールドに飛び込むのを見て、ユウスケは
「さすが!」
と笑顔。ディケイドが万能ライダーだということを、素直に受け入れて楽しんでいるようです。
今回のユウスケは、とにかくノリが良く、旅(とライダーバトル)を心底楽しんでいるように見受けられます。
ミラーワールドでは、シザースとナイトの一戦が繰り広げられています。
ナイトの猛攻に耐えかねたシザースは、
「待て!分かった!じゃ、無罪、無罪でいい!」
と命乞い。
「俺は、判決には興味がない」
とナイト。
「じゃ、何でこのライダーバトルに!?」
とシザースが問う間もなく、ファイナルベントでシザースを爆破し、シザースのカードを入手するナイト。
何か目的があって、ライダー達のカードを集めているようです。
ここで、シザースは思いっきり爆殺され、私は「ライダーバトルで死者が出るんだ」と認識しましたが...。
そこに、ディケイドが登場。
「ATTACK RIDE SLASH」のカードを取り出して見せる士。
「何だそのカードは」
「悪いな。あんた達のとはちょっと違うらしい」
と粋なやり取りを見せてくれます。
カード系ライダーには、龍騎と剣がありますけど、ディケイドのそれは、龍騎のシステムに良く似ています。
ナイトは、ディケイドがいわゆる龍騎世界のライダーではないと認識したのか、立ち去ろうとします。
そこに、
「素人に判決など下せるか!有罪だ有罪!」
とゾルダの襲撃!
この世界でのゾルダは検事で、夏海を立件した人物であるらしい。
オリジナル・龍騎でのゾルダは、弁護士(人気キャラの北岡先生)でしたが、士が弁護士になったことで、検事にシフトしたのでしょう。なかなかいい采配です。
この襲撃で、士はミラーワールド内から弾き飛ばされてしまいます。
それにしても、アドベントカードを使用する際の声がオリジナルのままだったり、ファイナルベントのエフェクトもオリジナルを踏襲している等、龍騎へのリスペクトが感じられて気持ちいいですね。
戻ってきた士にユウスケは、ライダーバトルに勝って夏海を無罪にする為に、そして真犯人がライダーバトル参加している可能性が高いという理由で、ライダーバトルに参加したんだろと問うのですが、これは完全にユウスケの空回りで、士は生返事。
しかしまぁ、士が納得しているか否かに関わらず、ユウスケのハイテンション振りに押されて、そういうことになっていくわけです。
この世界で果たすべきことについては、今回はいちいち悩んだりしていません。徹底的に士とユウスケは明るく、そしてシンジやレン関係はちょっと暗めにという配慮なのかも知れません。
士達は、とりあえずATASHIジャーナル副編集長の鎌田に会いに行きます。
鎌田はレンが第一発見者だと言います。
鎌田本人は、事件の折近くのカフェに居たと主張。
レンについて、シンジは、
「昔この会社に居た男です。余所に引き抜かれて辞めたのに、何故かあの朝顔出してた」
と、レンの玲子殺害への関与を疑っている発言。
それを聞いた鎌田は、レンもライダーバトルに参加していると言います。
多分、ここで士は鎌田がライダーバトル参加者であることを確信したのではないでしょうか。
一応、関係者はライダーに選出されるという既定があるので、もっと前に予測していた可能性もありますが。
いずれにせよ、
「さて、そろそろやりますか」
「その言葉、待ってたぜ」
「この裁判は、私が判決を下します」
というやり取りには、士の超越性を感じさせます。
鎌田は、新キャラクターである仮面ライダーアビスでした。
「っしゃ。俺も思いっきり、戦わせてもらうぜ」
と士。「っしゃ」は城戸真司のパロディか?
「私に勝てるライダーは、いませんよ」
余裕綽綽のアビス。
このアビスが新キャラということは、これまでのパターンからすると、龍騎世界のラスボスに当たると予想出来ます。
王蛇にサメのモチーフをブレンドしたようなデザインで、青いカラーリングにより、既存の13人からの差別化を達成しています。
鎌田役の入江雅人さんは、ブログで出演の喜びを大いに語ってらっしゃいますよ。
ゲストで敵役とは言え、「仮面ライダー」に変身する役ですからね。
なお、アビスの契約モンスターと思われるアビスハンマーとアビスラッシャーも新キャラですはオリジナル・龍騎に登場しています。
アビスは矢継ぎ早にカードを繰り出し、ディケイドを追い詰めていきます。
そこにインペラー(!)が乱入。ディケイドに襲いかかります。
ライダーバトル乱戦振りがよく再現されています。
その頃、ユウスケはレンに遭いに行っていました。
レンの仕事場で、かつてシンジとレンは最高のチームだったことを聞かされるユウスケ。シンジがカメラ、レンが記事を担当していました。
そこにシンジ(多分ユウスケを案内したのでしょう)が現れ、
「ホントにライダーになったんだな、レンさん。3年前、ウチのトップ記者だったあんたは、大手の雑誌社に引き抜かれ、チームの俺に何にも云わずに消えた。あんたは桃井さんや俺を裏切ったんだ」
と辛辣な言葉を投げかけます。
レンは、
「シンジ、俺は...」
と反論しようとするのですが、シンジの手にはカードデッキが。
2人は、議論より戦いを選ぶのです。
つまり、この世界では、ディベートがそのままミラーワールドのバトルに置換可能であるという主張...というより、ここで龍騎を変身させとかないとね(笑)。
オリジナル通りの変身ポーズ!
当時は13人全てのライダーの変身ポーズを覚えたものです(笑)。後半になるとどんどん複雑になったんだよなぁ、としみじみ思ったり。
シンジは、レンこそが玲子を手にかけた犯人であり、その罪を夏海に着せたのだと考え、レンに戦いを挑みます。
このシンジとレンの関係は、オリジナル・龍騎とはまるで異なっています。
オリジナル・龍騎では、そもそも城戸真司と秋山蓮は職業的にも立場的にも無関係で、ライダーバトルに関係する内に、互いに腐れ縁的な(いや、ストーリーの中身はもっとヘヴィでしたが)関係が続いていく構図でした。
対する「ディケイド」での龍騎世界では、既にシンジとレンには深いリレーションがあり、同じ仕事のパートナーだったという過去を持っています。
シンジとレンが、全く接点のない他人とされていない事には、話を早くする効果があり、また、2人の間に因縁を設けることで、シンジをライダーバトルに躊躇なく参加させるという効果があるものと見ることが出来ます。
立場は完全にリニューアルされましたが、雰囲気的にオリジナルに近いキャスティングを行うことで、イメージを壊さない配慮がなされているのは、見事です。
龍騎とナイトの性格を微妙にシャッフルしてあるのもポイント。
戦いたくない姿勢を見せるレンを、一方的に叩きのめそうとするシンジでしたが、そこに飛ばされてきたインペラーが。
士はインペラーを追ってきて、
「どけどけどけ!」
とシンジ達を押しのけ、
「動くなよ!動くと痛いぞ!」
と言って、インペラーを爆殺!
痛快で楽しいシーンなのですが、このシーンが難しいところなんですよね。
士は、キバの世界で掟を守るファンガイア(つまり人間の味方)を平気で倒したりしているので、このインペラーもしっかり殺してしまったんだと思ったのですが、ベルデの件やこの「動くと痛いぞ」というセリフがどうも引っ掛かるのです。
もしかして、ファイナルベントクラスの技が炸裂したら、ドカーンとライダーシステムが爆発して、中の人は強制的にミラーワールドから排除され、元の世界に戻る仕組みなんじゃないか、と。
つまり、ミラーワールドはあくまで仮想空間の一種であり、あの爆発は退場を意味しているのではないかと。
ただ、士の「動くと痛い」とか、ゾルダの「お前も死刑になれ」というセリフからすれば、当然バトルでは痛い思いをするし、バトルの中で合法的殺人(バトルが要因で死んでも特例で罪にならないシステム)が許容されている面もありそうですね。
一方、光写真館の鏡からその戦いを覗いていたキバーラは、
「ウフフ...戦いなさいディケイド...」
と呟くのですが、これはそのまま鳴滝を代弁していると解釈していいでしょう。
続いて士はレンに戦いを挑みます。
「蝙蝠には蝙蝠っ、てね」
とキバに変身。何だか今回はセリフの洒落っ気が凄いぞ。
レンは、
「お前ホントに弁護士か!?仮面ライダーか!?お前のようなライダー、取材でも聞いたことがない!」
と戸惑いつつ応戦。
「そうか。俺はお前達のことを知っている。仮面ライダーナイト、仮面ライダー龍騎!」
と応える士。
クウガ編でのグロンギ語、キバ編でのキャッスルドランに続く、士の「何故か知っている」描写。
ミラーワールドに入れるという程度では弱かったのか、直接仮面ライダーの名前を知っているという形になりました。
確かに、龍騎ではそれ以外記号になりそうなものって、無いですよね。
士は、「FORM RIDE KIVA GARULU」でガルルフォーム、「FORM RIDE KIVA DOGGA」でドッガフォーム、「FORM RIDE KIVA BASSHAA」でバッシャーフォームになり、レンに対抗していきます。
早速1つ前の世界で取り戻した能力を使うというパターンは、定番化しそうです。商魂逞しい(笑)。
レンはトリックベントで対抗。ナイトの代表的な技として印象深いものです。
トリックベントに翻弄され、キバへの変身が解けたディケイドは、「ATTACK RIDE ILLUSION」で対抗。
龍騎とディケイドの類似性が、二番煎じとか言うレベルを超えて生かされた瞬間と評価しておきたいところ。
アビスは物陰から静観し、ディケイドの戦力を分析。この雰囲気はオーディンあたりを彷彿させます。
「いいザマだレンさん。あんたは俺達を裏切った。そして桃井さんまで手にかけた」
とシンジが呟いたところでエンド。
オリジナル・龍騎では、城戸真司はかなりお人好しな人物でしたが、このシンジは深い怨恨を持った人物として描かれており、その意味ではオリジナル・龍騎における他のライダーにも通ずる雰囲気を備えていると言えます。
「ライダー裁判」とか、最初聞いた時はホントにどうかと思いましたが、強引かつ意外な説得力を持って進むストーリーに、図らずも引きこまれてしまいました。
士やユウスケ、夏海が作り出すギャグテイストの描写も、ステレオタイプにならず、じわじわと効いて来る面白さを狙っているように見えます。この点は高く評価したいところ。
さて、龍騎ワールド、いかなる結末を迎えるのでしょうか。
次回も楽しみです。
ザタンゴールド
アビスラッシャーは確か「龍騎」本編にも出ていますよ。アビスハンマーはどうだったか忘れましたけど。
SirMiles(管理人)
ご指摘ありがとうございます。
26話と27話に両方出てますね。記事を訂正いたしました。