クウガ編が一応完結ということで、クウガ編が実質2話分しかないにもかかわらず、非常に巧くまとめていました。
基本的にクウガと関係ない要素は地獄兄弟ぐらいで、それも冒頭でスパッと退場させ、鳴滝の存在と、他にも色々と準主役ライダーが登場することを示唆してみせた程度です。
今回の肝は、ユウスケがいかにしてオリジナル・クウガに近付くか、ということ。
それと、クウガの世界があくまでグロンギの力で滅びに向かっているわけではなく、何者かの関与によって(鳴滝がその使者的役割を果たしているようですが)、本来の落とし所とは別の結末を迎えようとしていた...という感じで描かれているのも重要です。
なお、「ディケイド」は平成ライダーの資産をフル活用するシリーズですが、一応独立したシリーズらしく「新怪人」も登場させます。
今回の場合、それはン・ガミオ・ゼダなるグロンギの王。
オリジナルの「仮面ライダークウガ」には、最終ボスとしてン・ダグバ・ゼバが居ましたが、それを登場させるとオリジナルのクウガそのものになってしまうのを嫌ったか、全く別のキャラクターとしています。
逆に言えば、オリジナルのクウガを象徴するン・ダグバ・ゼバでないことにより、別の世界であることをアピールしているのかも知れません。
ン・ガミオ・ゼダのネーミングは、ちゃんとオリジナル・クウガのグロンギ怪人のネーミングルールに則っており、「ン」はグロンギ最高位を示し、「ガミオ」はオオカミ種怪人、「ダ」は陸上哺乳類を示します。「ン」グレードの場合、接尾の類に「ゼ」が付くのもルール通りです。
士が「クウガの世界」を救うには、このン・ガミオ・ゼダを倒す必要がある。
簡単に言えば今回の大筋はそういうことになります。
では、見所を中心に。
冒頭は地獄兄弟の襲撃。
鳴滝はディケイドだけを襲わせるつもりだったようですが、やっぱり見境なく襲いかかります。
「笑ったな」
とか、もう最高(笑)。完全にネタ扱いですわ、これ。
結局、キックホッパー&パンチホッパーはクウガ1人を集中攻撃するようになり、鳴滝によって別の世界へ送られていくわけですが。
「行こうよ、アニキ」
「あぁ、また別の地獄が待っている」
おお、カイザデルタとタイガが見えます。次なる登場者はこの2人ですね(予告にはカイザ登場)。
今回は笑いのツボがなく、夏海に鼻をつままれて「グギッ」という凄い音と共に引っ張り下ろすという、とんでもなく猟奇的なシーンが。
ホントに痛そう。
ディケイドとクウガが戦ったことを、士は夏海に、ユウスケは藍に咎められる始末。
ユウスケがディケイドに襲いかかった原因は、ベルトを手に入れた直後、現れた鳴滝に「ディケイドこそ本当の敵」と吹き込まれたことにあります。
鳴滝の真の目的は当然まだ不明ですが、ディケイドを消す為に、各ライダーに口添えをしているのは確かなようです。
さて、士が藍を殴りつけてゲゲルを失敗させた筈だったのですが、灯溶山から黒いガスが噴出。
未確認生命体関係の対応を行った警察関係者は、次々に黒いガスの餌食になり、ガスを吸った者は死してグロンギへと生まれ変わります。
藍もこのガスを吸引してしまい、咳込んで入院します。
面白いと思ったのは、ン・ダグバ・ゼバがグロンギもリントもひっくるめて全部滅ぼそうとしたのに対し、ン・ガミオ・ゼダはグロンギの世界を作ろうとしていたことです。
昆虫類と哺乳類の皮膚感覚的な違いかな、とも思いました。
なお、「ザギバスゲゲル(ファイナルゲーム)」だと思っていましたが、どうやらこのクウガの世界では「ゼギバスゲゲル」であり、「聖なるゲーム」に変更されていました。
士はディケイドに変身し、蘇ったン・ガミオ・ゼダに立ち向かいます。が、ン・ガミオ・ゼダは強い!ちゃんと「ン」なりの強さを表現してます。
ン・ガミオ・ゼダは蘇る予定ではなかったと言いますが、
「もう遅い。リントはグロンギとなり、この世を究極の闇が覆いつくす!」
と開き直り、リントの総グロンギ化に向けて活動を開始。
ゼギバスゲゲルの失敗にも関わらず、ン・ガミオ・ゼダが復活したのは、夏海と士の世界を襲った「滅びの現象」と同種なのだと士は推測します。
同時に士は、別の世界からこの世界を救いに来たことを、ユウスケに告白するのです。
本来は、ユウスケが士の言うことを鵜呑みにするには、時間が短すぎるのですが、グダグダするのは良策とは言えないので、このヘンの匙加減でいいと思います。
ユウスケは、藍に笑ってもらう為に戦ってきたと明言。
ユウスケの戦いは、自分の為というより、むしろ藍の為に戦っていたことが判明するのです。
逆に、藍はそれを知っていて利用しつつ、ユウスケを弟のように心配してもいて、ジレンマに苦悩していたことも明らかに。
短い時間ながら、なかなか心象の機微は描けていますね。とてもイイです。
「世界中の人の笑顔の為だったら、あなたはもっと強くなれる。私に見せて、ユウスケ」
「命令かよ、八代刑事」
「ええ。命令よ」
ここでオリジナル・クウガのテーマである、世界中の笑顔が出るわけですね。
オリジナル・クウガのテーマに帰結していくことが、クウガの世界完結に繋がる。「ディケイド」がメタの視点で作られたシリーズであるとすれば、非常に明快なまとめ方であると言えるでしょう。
ン・ガミオ・ゼダはリントをことごとくグロンギに変え、街はパニックに。
ユウスケが藍の元をなかなか離れられない為、士がディケイドに変身して大勢のグロンギ相手に立ち向かっていきます。
ところが、多勢に無勢。強力な戦闘力を持つディケイドですが、限界はすぐにやってきます。
そこに颯爽と現れる仮面ライダークウガ!
ン・ガミオ・ゼダはクウガをして、
「見たか、人間は強さを求める。グロンギになるのも定めだ」
と揶揄しますが、士は、
「違うな。この男が戦うのは、誰も戦わなくていいようにする為だ!」
と答えます。
オリジナル・クウガでは、警察関係者を除けばグロンギと直接戦っているのは五代雄介一人であり、五代雄介の戦いは、この士のセリフそのものです。
オリジナル・クウガに、「誰も戦わなくていいようにする為」という言葉が出たことは、確かなかった気がするのですが、それでも、これで全てを言い表しているのだから、言葉の選び方の巧さに感心します。
そして士は、
「こいつが人の笑顔を守るなら、俺は、こいつの笑顔を守る!知ってるか?こいつの笑顔...悪くない」
と続けます。
ヒーローのテーマを守るヒーロー!?
何だかメタな視点が堂々と語られてますよ。序盤から凄いことになってきましたね。こんなに飛ばして大丈夫でしょうか(笑)。
そして今回最高の名セリフが、これ。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
痺れますね。これまでストロンガーとか555とか、通りすがる仮面ライダーは居るには居ましたが、これほど「通りすがり」という言葉が似合う仮面ライダーはディケイドが初めてでしょう。
そして、ユウスケも再びクウガに変身!
ちなみに、この少し前のシーンでクウガの変身が解けた際は、一瞬だけ「白のクウガ」になるという芸コマ振りを見せてくれました。
ここで「ディケイド」ならではの能力が登場。
「FINAL FORMRIDE」でクウガをクウガゴウラムに変身させるのです。
首が後ろに引っ込んで行ったり、結構気持ち悪い変形なんですけど、トイの機構に忠実になっているようです。
商品アピール度も高いものと。
ユウスケはこの能力を利用してン・ガミオ・ゼダに攻勢。
ディケイドとの連携攻撃でン・ガミオ・ゼダを下します。
「リントの闇が晴れるぞ」
これで一件落着...にならない所がミソで、普通の「子供番組」の感覚ならば、ン・ガミオ・ゼダの死と共に色んな部分がチャラになるところですが、残念ながらその辺りはリアルな感覚の方が優先されており、藍は死んでしまいます。
勿論、藍が生きることによってユウスケの呪縛となり、これから予定されている、ユウスケのレギュラー化を阻んでしまうのを避ける為に、必要だった措置ですが。
夏海は、
「八代さん、最後まで笑ってました」
と告げます。ユウスケは、藍の笑顔を守ったというわけ。
士は、自分達の役割は終わったと告げ、足早に去っていきます。
このヘンも「通りすがり」っぽくてイイですね。
栄次郎は、士の撮った藍の笑顔の写真に感心し、額に入れようとします。
そして、わざとらしく(笑)栄次郎が示した次の世界は...。
そしてそして、光写真館に同席していないユウスケを、次なる世界に誘うのは...。
次は、キバの世界です。
Firm
ホッパー兄弟が消える時に映っているのはデルタですよ
SirMiles(管理人)
ホントですね。
ありがとうございます。訂正しました。
邪破
>確かに「鼻血」は最も軽い「流血を伴う怪我」かも知れませんが、
その通り。「刃物で少し傷つける方が良い」とかの声が多いらしいですが、それこそ「女に疵」を残しちまうだろと。「女を流血させる」必要がある状況では一番無難な方法です。
「女を殴った」が問題にされてますが、そもそも、殴るかどうかの基準に性別は無関係です。
そんな事よりも、
『二人にしといてやれ』と言わずに
『行くぞ・・・もう用は無い。』と言ってしまう
士の不器用な優しさに涙腺が緩んでしまいました。