第1話「ライダー大戦」

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 遂に始まりました。超話題作の新仮面ライダー。

 その名も「仮面ライダーディケイド」。

 ディケイドとは10年という意味があり、クウガから連なる、いわゆる「平成ライダーシリーズ」10周年の記念が込められているのですが、随分思い切った名前をつけたものです。


 ディケイドのデザインも思い切っていて、バーコードがモチーフで、メインカラーがビビッドなピンク(ショッキングピンク?)という凄さ。

 大抵、毎年の仮面ライダー新作発表時には、そのデザインが物議を醸すのですが、これまた大抵動いているのを見ると「結構いいじゃない」と思ってしまう。

 今回もこの第1話を見ると、このデザインで何となく正解なんだなという結論に達してしまいました。


 色々な主役ライダーに変身できるという設定故に、没個性でなければならず、しかも新ライダーのアピール度を高める必要もある。

 その困難な両要素を消化してみせたのが、ディケイドのデザインでしょう。

 装飾を出来るだけ廃した、抽象的な「仮面ライダーの記号」だけの存在でありつつ、カラーリングでこれまでにない個性を持たせる。

 それがディケイドの志向だと思います。


 では、独断と偏見で見所を。

 冒頭からいきなりぶっ飛ばしちゃってます。


 夏海は無数のライダー達の大戦を目撃。というより、一応これは夏海の夢の中のお話。

夏海

 あらゆる作品のコラボ攻撃が見られる、超豪華な絵面が凄まじすぎます。

 そして次々と倒されていく仮面ライダー達!それにしても、平成9作品だけでこんなにもライダーがいるのか(笑)。

仮面ライダー地獄絵図

 これは夏海の悪夢ですけど、後から色々と判明するんでしょうね。


 この「ライダー大戦」の中でのイチ押しは、マシントルネイダーに乗ったアギトのコケ方!

 前にコケてます。これは凄い。


 一人生き残った、というより全ライダーに勝利した仮面ライダーを見て、夏海は「ディケイド」と...。

仮面ライダーディケイド

 今回は例年よりも更にベルトの存在がクローズアップされているようです。


 タイトルロゴ。「平成仮面ライダー10th」のロゴもまぶしく。

仮面ライダーディケイド


 で、本編は悪夢から目覚めた夏海より開始。

 主役陣のキーワードは、門矢士、光夏海、光栄次郎、光写真館。


 この写真館に居ついている門谷士(かどや つかさ)。彼が撮った写真はとにかく下手クソで酷いものらしい。

 ぶらりと突如やってきて、何も素性を語らない士。

 主人公も「謎の存在」としています。


 これが栄次郎と夏海。

栄次郎と夏海

 栄次郎は石橋蓮司さんという、嬉しいキャスティング。

 夏海役の森カンナさんはモデル出身とのこと。身長170cmのスレンダー美女ですね~。士には「夏蜜柑」と呼ばれています。

 光写真館は栄次郎が経営している昔ながらの写真館という趣。

 今回のラストの描写からすると、9つの世界への窓口として機能するようです。


 事件の予兆は、まずこんなところに。

仮面ライダー龍騎

 ミラーワールドの懐かしい効果音と共に、鏡の中に龍騎が!


 そしてここで主人公の士登場。

士


「この世界のすべてを写したい」

「撮れるようになるまで撮っているだけ」

「世界が俺に撮られたがってない」

「ここも俺の世界じゃない」


と、いかにも平成ライダーらしいセリフ...。


 士がファインダーを覗くと、仮面ライダーキバ=紅渡の姿が!

渡

 前作の主役をいきなり登場させることで、意外性、話題性を提供。

 しかも、直近の主役らしく、物語のキーパーソンの一人として機能しそうな描写。


 光家秘伝・笑いのツボ。

士と夏海

 このよく分からないギャグをはさみ、ここからは一気に事態を急転させていきます。


 魔化魍(あるいはミラーモンスター)らしき大群が現れ、ビルが粒子状になって消えていくというシーンの後、バリア状の壁に隔てられる2人。

士と夏海


 士の方には渡が現れ、「世界を救う為には、あなたの力が必要です」と。


 夏海の方にはファンガイアやらアンデッドやら魔化魍やらイマジンやらが大挙登場。

 ここでアンノウンが登場していなかったようですが、私にはよく分からん(笑)。

 ただ、アンノウンは元々普通の人間(アギトになる可能性のない人間)を襲わないという設定もある上、アンノウンが登場しないのは何か重要な意味があるらしいのですが...。


 夏海は逃走の果てにディケイドライバーとライドブッカーを入手。

 石化している感じが、クウガのベルト・アークルを彷彿させます。

ディケイドライバーとライドブッカー

 士と夏海は再び壁を隔てて合流できるものの、夏海の後ろに夏海が...!

 ワームの擬態能力がバッチリ再現されていて嬉しい限りです。


 渡の言葉によって、自分がディケイドであると薄々自覚した士は、


「世界を救ってやる...多分」


と言ってディケイドライバーとライドブッカーを受け取ります。

ディケイドライバーとライドブッカー

 壁をすり抜けると石化が解けるという、この細かい描写が素晴らしい。


 そして、変身!

仮面ライダーディケイドと夏海

 動くと実にカッコいいんだこれが。


 ワームとの戦いでは、カブトに変身。「KAMENRIDE! KABUTO!」の音声がいい。

仮面ライダーカブト

 ちゃんとクロックアップして戦ってくれます。瓦礫がゆっくり落ちてくるというクロックアップの描写も再現。

 しかも、ワームのやられ方もちゃんと再現してます。これは凄い。


 次はオルフェノク戦。「KAMENRIDE! PHIS!」でファイズに変身!

仮面ライダー555

 何とオートバジンも登場。

オートバジン

 このオートバジンからファイズエッジを引き抜いてオルフェノクを倒す描写も。

 ちゃんとφマーク付きで爆発します。いやぁ、面白い!


 次は魔化魍。「KAMENRIDE! HIBIKI!」で響鬼に!

仮面ライダー響鬼

 「ATTACK RIDE! ONGEKIBOU REKKA!」で音撃棒・烈火を使います。面白いのは、本家響鬼と姿勢とかが微妙に違うこと。ちゃんとディケイドの響鬼になってるんです。


 なお、千変万化の活躍を見せるディケイドですが、各ライダーのカードからは力が失われていきます。


士「力が長く続かない」

渡「君がかつて全てを失ったからだ」

渡

 再び渡が登場。


「9つの世界に9人の仮面ライダーが生まれました。それは独立した別々の物語。しかし今、物語は融合し、その為に世界は一つになろうとしています。やがて、全ての世界が消滅します。ディケイド、あなたは9つの世界を旅しなければいけません。それが世界を救う、たった一つの方法です」

「何故俺だ?」

「あなたは全ての仮面ライダーを破壊する者です。創造は、破壊からしか生まれませんからね、残念ですが。あなたが旅を終えるまで、僕と、僕の仲間達が、もう少しだけこの世界を生き永らえさせておきます。」

9つの世界

 さあ、この渡の言葉、どう解釈しましょうか。

 私は、ディケイドはメタフィクション的世界なのだと解釈します。


 バンダイから9大ライダーに変身できるというキャラクターが提案され、それを受け入れたとき、これまで積み重ねられてきた「平成仮面ライダーシリーズ」はある意味崩壊するであろうと。

 どうせ崩壊するなら、徹底的に9つの平成仮面ライダーシリーズを再構築して、いっそ1つの世界観に統一し、今後は歴代ライダー競演をスムーズに展開出来るようにする...。

 まぁ、これはかなり深読みしすぎか。

 「10周年のお祭り企画」という触れ込みなので、本当にお祭りとして、割り切ってやってる節もあるにはありますね。


 で、ここから本格的に士の旅が始まるわけですが、9つの世界への扉となるのは光写真館。

 栄次郎がスクリーン(背景紙)を下ろすと、そこにはパトカーの走る風景が。

光写真館

 栄次郎だけは平然としているのが面白い。この怪しげな雰囲気、石橋さんのキャスティングはベストですね。


「人はさ、皆旅人だよ」


も名言。


 夏海も士と一緒に9つの世界を旅すると進言。まぁ当たり前ですけど。

 一応、夏海にも何か秘密があるはずですから、期待していいと思います。


 さて、光写真館を出ると、士は巡査の格好に。


 この人は八代薫という名前。佐藤寛子さんです。

八代薫

 そして、小野寺ユウスケなる青年がクウガに変身!

小野寺ユウスケ

 おお、かなり「原作」に忠実な変身プロセスです。しかも、CG合成の技術が当時より発展している為、ブラッシュアップされている印象すらあります。


 五代雄介でなく、小野寺ユウスケ。オダギリジョーさんが出ないのは、まぁ当然でしょうかね(苦笑)。

 ちなみに、「小野寺」というのは石ノ森章太郎先生の本名ですね。

 一条薫ではなく、八代薫。「五代」からの発想かな、と。「一条さん」を女性にしてしまうあたり、なかなかアクロバティックな設定です。


 「未確認生命体」とか、懐かしいタームが色々登場してて、ちょっと嬉しくなりますね。



 ちなみに、予告からキャッチフレーズが「すべてを破壊し、すべてを繋げ!」であることが判明。

 先に述べた「深読み」は当たらずとも遠からず、か。



 以上、トータルな感想としては、パイロット版として非常に良く出来ていて、ディケイドの機能性とキャラクター的な魅力を存分に魅せているということ。

 ただし、平成仮面ライダーシリーズに見られる、典型的なステロタイプの人物描写もやはり残っており、この方向性が拡大されすぎて自己崩壊することのないよう、切に願いたいところ。

 実際、第1話が面白すぎて鮮烈なライダーって、後から失速するんだよなぁ。

 あと、伏線バラマキと回収不能事態という線は是非とも自重の程を...。メインライターが會川さんだから少しは安心してますが(笑)。