サブタイトルに期待すると、またまた置いてけぼりを喰らう一編ですが、遂にカナロに相思相愛の人物が登場する件、「ゴミ」の捉え方に一石を投じる件、ガイソーグの装着者の件といった具合に、詰め込みという指摘も否定できない状態にありながら、スッキリ見られて完成度も高いという、見応え抜群なエピソードでした。
そして、次回に引っ張る要素もてんこ盛りながら読後感が良かったのは、やはりカナロの清々しい「決意」によるものでしょう。
ポルターガイストマイナソー
ポルターガイストというより、「悪魔の棲む家」がデザインモチーフとなっている今回のマイナソー。まあ、「悪魔の棲む家」で起きる不可思議な現象もポルターガイスト風なんですけど。
いわゆる「ゴミ」が元になっているという設定で、その「ゴミ」は実はアユム少年の大事にしていた恐竜のぬいぐるみであり、母親に「ゴミ」として勝手に捨てられたというバックボーンを持っています。ほぼ誰しも幼少期に経験したことであり、現在ではオタク夫のコレクションを妻が勝手に破棄あるいは売却なんていう、完全に笑えない話も…。
今回のマイナソーは、そのアユム少年との無垢な関係性が影響してか、基本的に攻撃性がなく、またカナロの「説得」に苦しみ始めるという、良心回路かあるいは「バイオマン」の新頭脳ブレインのような、東映特撮ヒーローの伝統芸を見せてくれたのが嬉しいところ。元となったぬいぐるみを取り込んでいて、それを「救出」するという展開も熱かったですね。
このマイナソーが発生させる毒ガスをガチレウスが利用するという、クレオンの意図とは関係ないところで展開される「勝手な作戦」が、またしても(何故か今回テンション高めな)クレオンの悲哀を浮き彫りにしていました。
肝心のポルターガイストですが、特にそれらしい描写はなし。余談ですが、ホラー志向だった「シャリバン」では、敵側のネーミングに「ポルター」「ガイラー」が使用され、その影響度の高さが伺い知れます。
カナロの結婚寸前
今回はゲストに「仮面ライダーW」でお馴染みの山本ひかるさんが登場。ちょうどウチの子が最近Amazon Prime Videoで「W」を見ていたので、自分の中では超タイムリーな登場でした。ちゃんと緑のスリッパ持ってましたね(笑)。
山本ひかるさん演じる優衣という女性は、遂にカナロと純粋に相思相愛となるキャラクターでした。しかも、カナロはフられる側ではなく、初めて自ら別れを告げる側に立ったわけです。また、優衣の父親が警察官で、怪我をして帰宅することも多かったという設定に、何となく照井竜・亜樹子夫妻の影が感じられたりして、興味深いところですね。
残念ながら、尺不足は否めないところで、二人がどう惹かれあったのか、今一つ描写不足。優衣の「危ないことはしないで」という願いに関しても、カナロの「職業」を事前に知っているだろうことは明らかなわけで、ちょっとデフォルメ過多だったかな…と感じてしまいました。結局は、その生業を含めてその人なわけですからね。まあ、大人になると純粋に受け止められないわけです(笑)。
しかし、その辺は些細なこと。カナロが結婚を採るか人々の守護者たるを採るかという部分がドラマのメインであって、今回はそこがちゃんと充実していた上に、当初は陸のリュウソウ族や地上の平和など意に介さなかったカナロが、遂に自分の最大の目的よりも地上の平和を優先させたのですから。
バンバ、そしてガイソーグ
ガイソーグの「中身」はナダだったわけですが、ガイソーグ自体が「さまようよろい」なわけで、ナダが「ガイソーグの正体」というのはかなり語弊があると思います。
ここは正直なところ衝撃度がかなり薄めで、中から郷さんこと長老や、死んだはずのマスターレッドが出てくるといった私の勝手な妄想に比べれば、実に大したことのない展開。そもそもガイソーグ自体に何ら意外性がない(詳細が描かれていない)ので、ナダが出てきても意外性が薄い(笑)。
ただ、バンバが関わった時点で、この件は勝利。何しろ、バンバはナダの「知り合い」ですからね。太刀筋に違和感を感じるくだりや、「単純な攻撃の繰り返し」と指摘するあたり、もう素晴らし過ぎます。「単純な攻撃の繰り返し」というのは、正にナダが実力者でありつつも実戦経験が乏しいことを巧く表現してますし、メラメラソウルの「練習」がこのバトルに繋がる辺りも見事でした。
ちなみに今回は坂本組なので、素面アクションもてんこ盛り。特にメルトとバンバのアクロバティックなアクションには、演者の身体能力の高さが存分に表れていて素晴らしいインパクト。勿論、他のメンバーも柔軟性が確実に上がっていたりと、アクションスキルの向上が手に取るように分かります。嬉しいですね。
次回
さて、ナダは何故ガイソーグを着ることになったのか、そしてその行動の根底にある心情は何なのか、インパクトが薄いと言いながら非常に気になるところです(笑)。
また、エピローグで突如オトちゃんが持ってきた「ピータン」も次回への引きとして作用。次回がかなり楽しみになって参りました。