モサレックスとディメボルケーノの「再会」を描く、意外性に富んだ一編。
もう一つの「再会」は、まさかのバンバに纏わるエピソードで、カナロとバンバという、最も対極にありそうな二人の距離を縮めることにもなりました。リュウソウ族の長命設定を活かしたプロットが、実に見事でしたね。
ゴーストシップマイナソー
幽霊船がモチーフという、こちらも意外性に富んだ一体。虹を求めて暴れ回るという、不条理極まる行動もさることながら、砂上では無敵という設定が、アクションの様々なバリエーションを生むことになりました。
件のアクションでは、砂に足を取られて大苦戦を強いられる各々の様子、ミストソウルが逆効果となって焦るメルト、ピンチに颯爽と出現する等身大ティラミーゴ共々、砂に埋められるリュウソウレッド(!)といった具合に、少しコミカルな描写がなされました。その裏に漂う本当の危機感と相俟って名バトルになっていましたね。
このマイナソーを生み出したのが、ゲストの賢太郎少年が師事する塾の先生。ゲスト子役の関係者という属性だけでなく、実はバンバの関係者でもあったことで、物語の構造が円環のようになり、綺麗にまとまっていたのも実に美しいですね。
モサレックス
今回の主役の一人は勿論モサレックス。
ワイズルーの策略にまんまと嵌まり、マイナソーに捕縛されるという失態からして魅力的。前回までの、海のリュウソウ族の守り神のような威容からすると、かなりのギャップですが、あの雰囲気は陸のリュウソウ族に対するネガティヴな感情が生み出していたものだと考えると、今回がモサレックス本来の姿なのでしょう。
「海よりも深い恨み」という感覚で引っ張っても面白かったかも知れませんが、やはりライトな感覚の方が合ってますよね。
ワイズルーの珍妙な催眠術にかかったフリをし、カナロとテレパシーで本当のところを伝え合うといった、設定の活かし方が抜群で、逆転劇も爽快でした。
ただ、「ワイズルーが催眠術にかかったと思い込んで油断している」と言う割には、カナロが先にネタばらしをしていたり、網から抜け出す算段がつかないままモサレックスも芝居をやめたりと、今一つ流れが悪かったのも事実。また、バンバが水を介してモサレックスの声を聞く(?)シーンにも、ちょっと納得し辛い部分がありました。海も陸も関係ないと言われればそれまでですけど。
ディメボルケーノ
予告の印象から、わかり合えそうにないモサレックスとディメボルケーノが、コウやカナロの説得か何かで手を取り合うという展開を想像していましたが、そんな流れは一切ありませんでした(笑)!
なんと、モサレックスとディメボルケーノはお互いに兄弟と呼び合う仲で、「再会」した途端、昔取った杵柄と言わんばかりにスピノサンダーへと合体!
この展開には面食らいました。しかも、そのテンポの気持ち良いこと。あらゆる障壁をすっ飛ばすエクスキューズが必要でしたが、まさか旧知の仲とは…。騎士竜の魅力がさらに増したような気がします。
ただ、ここでもバンバの行動が気にかかるところで、何故ディメボルケーノを連れてきたのか、バンバはそもそも両者が旧知の仲であることを知っていたのか…といった部分が不明瞭でした。次回以降も何かエクスキューズがあるんでしょうかね??
スピノサンダー
合体騎士竜という、ロボとは一線を画す形態が素晴らしい! まさかこんな形態があるとは想像していませんでしたので、驚きましたね。
今回はデビュー戦ということで、この形態のまま凄まじい戦力を発揮してマイナソーを倒してしまいました。でも、今後はあまり登場しないんでしょうね(笑)。
バンバの過去
リュウソウ族が市井の人々と交流した過去は、これまでも折に触れて語られてきましたが、今回はバンバと心を通わせた人物が登場しました。
その人物、「江美子先生」の顔がずっと隠れるアングルだったのは、勿論カナロの一目惚れした写真が「若い頃」だったから。最後のネタばらしとして、実は数十年前にバンバと心を通わせた人物であることが明かされ、さらには「虹」の正体にまで言及していく流れが素晴らしかったです。
そして、リュウソウ族の長命を知らない江美子先生は、「現在のバンバ」と「過去のバンバ」が似ていると言いつつ、「現在」の彼が決定的に違うのは「孤独な目をしていない」という点であると告げるのでした。
いやはや、先日の総理大臣のエピソードどころではない深さでしたね。やはりレギュラーキャラに絡んでくる話だと、切迫度が全然違うわけで、最後の最後に見せるバンバの微笑みの説得力が激ヤバレベルでした。
色々と苦悩を抱えていそうで、実は結構若者らしく振る舞っていたんですねー。
弟が益々子供化していくーー(笑)。
次回
次回はそんなバンバとカナロが対立!?
今回の二人を踏まえての対立劇ということならば、かなり期待できますね!