SirMilesのマニアックな日々

騎士竜戦隊リュウソウジャー 第15話「深海の王」

 カナロの妹・オトの登場と、モサレックスの本格的御披露目を展開。陸と海に別れたリュウソウ族という謎も散りばめ、それらがカナロ自身に魅力を付加していくという、追加戦士登場編の醍醐味が満載でした。

パーンマイナソー

 パーンあるいはパンとして呼び習わされる有名なギリシャ神の一柱が元ネタ。パニックの語源としても知られ、それをそのままネーミングとしたのが、「仮面ライダーX」のパニックでしたね。

 このマイナソーの能力は、人間を磁極化して反発させ合うというもの。磁石の怪人は「仮面ライダーストロンガー」の磁石団長をはじめ、「バトルフィーバー」のマグネット怪人など色々居ますが、今回の特徴は「絆が深いほど反発力が強い」というエクスキューズで、この部分が面白さを喚起しています。

 「ドラえもん」のNSワッペンのように、磁極によっては強制的に反発したりくっ付いたりといったシチュエーションに可笑しさを求めるのではなく、ドラマの仕掛けとしての機能でしかないところがシンプルでいいんですよね。

 後述しますが、カナロの機微を表現するのにも使われていたりして、巧いなと感じました。

クレオン

 ガチレウスの登場により、クレオンの内面描写が徐々にギャグから離れてきているように感じられますが、今回も色々と見逃せない点がありましたね。

 一つは、せっせとマイナソーを生み出すだけでは評価されない(作戦がないとダメな)ことに関して、自分の役割を逸脱していると思っていること。

 これまでは半ば偶発的(?)に生み出されたマイナソーを幹部クラスがどうにか使うという形でしたが、ガチレウスはプランありきなんですよね。このあたりは「管理したがる上司」像に対する強烈なエスプリにも見えます。

 もう一つは、オトを人質に取りつつも、ちゃんと約束を守って返そうとしたこと。

 意外と律儀な側面を見せたことで、妙な好感度アップを果たしていました(笑)。ガチレウスの冷酷さや非情さとの対比として用意されたくだりではありましたが、今後のクレオンのキャラクターづくりに影響を及ぼすには充分過ぎる要素でしょう。

 これからも何だか目が離せません。

カナロとオト

 カナロの婚活キャラは、今回のドラマにほとんど関係ないので、早くもスルーされていました(笑)。

 メインはもちろん妹のオト。田牧そらさんというキャスティングは、年齢設定的にも絶妙な「妹キャラ」ですね。前々年の小太郎と世代を同じくすることで、丁度ヒーローと視聴者の子供たちとの中間にポジショニングしています。

 また、「あざとさ」のあるところが素晴らしい。カナロを手玉に取る小悪魔ぶりにはシビれますな(笑)。

 小太郎は「キュウレンジャー」にて「ヒーロー側に立つ子供」として活躍しましたが、ちょっとタイプが異なるオトの今後に注目ですね。

 一方のカナロですが、彼の心の壁は、彼自身のポリシーというよりも、モサレックスのポリシーから生じたものであると分かりました。追加戦士のステレオタイプに忠実に、「実はいい人」を明確にしているのが良いです。

 バトルの流れの中でそれを表現するのは、正に坂本監督節。水を介してモサレックスと意思疎通ができたり、ティラミーゴの極性を反転させるべく策を講じたり(「敵の目を欺きつつ」が凄い)、オトを撃つ振りをしてモサレックスに保護させ、コウたちの絶賛を浴びたり…と無駄なシーンが一つもないといった具合。

 そして、パーンマイナソーの術にかかり、当初はコウとの間に絆がないため効力がなかったものの、コウの助力によって徐々に磁力が効き始めるといった描写がお見事。ビジュアルとアクションでドラマを紡ぐという戦隊のプリミティヴな魅力が、存分に発揮されていたと思います。

コウたちの絆

 まずは、全員反発力が生じて良かったとしましょう(笑)。

 しかし、個々の反発力が距離となって完璧に露見するのがシビアでした。東京から一番遠いのはアスナの沖縄でしょうか。最も近いのはバンバの京都。まあ、そういうことです(笑)。

 ところで坂本組らしく、素面アクションが今回も満載でしたね。変身まで引っ張るのが常套句で、今回は体術のみならず、道具を用いたアクションが非常に格好良い。特にバンバはアクロバットまで取り込んで無双ぶりを発揮し、変身後は剣戟の殺陣を意識した重厚感が素晴らしかったです。確実に「美味しいキャラ」と化しています。

モサレックス

 陸と海のリュウソウ族の間に何があったのかは語られていませんが、モサレックスの抱えるネガティヴな感情は、かなり根深いものであると容易に推察できます。騎士竜の扱いでも一悶着あった陸のリュウソウ族。海のリュウソウ族に一体何をしでかしたのでしょうか(笑)。

 今回モサレックスは、ひと咬みでマイナソーを撃破する無類の強さを披露。喋る騎士竜でもありますし、追加戦士の属性をしっかり継承しています。海中での描写はCG中心、キシリュウオーのバトルは(本当に)精緻なミニチュアステージといった具合に、コントラストも見事で、「ウルトラ」を通ってきた坂本監督のセンスが巧く戦隊に生かされていることに嬉しさを感じました。

次回

 次回はモサレックス中心の新ロボ登場! 一応、次回を含めて追加戦士登場編が一旦落ち着くということでしょうか。どんな特撮が繰り広げられるか実に楽しみです。

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