これまであまり触れられてこなかったリュウソウ族にスポットを当てたお話。
長命な種族ということ自体は、コウの口から開示されていましたが、コウ自体が子供っぽい性格だからか、今一つピンと来ない感もありました。しかし、今回でリュウソウ族の悲哀までもが盛り込まれたことで、かなりのインパクトを生み、その設定をより理解できるものとなりました。
ミイラマイナソー
狩野澪子が生み出したマイナソー。「罠だ」を連呼していましたが、実は「wanna die」だったという、非常に切ない設定…。
謎のビームで本音を喋らせるという能力は、大体戦隊の中盤頃に出てきてチームに大混乱を巻き起こしてきた印象ですが、その被害に遭ったのはトワとアスナのみでアッサリ。
トワは、マスターの手掛かりとなる澪子の死を阻止したいという本音を示して戦闘に支障を来した程度。その本音に対し、バンバは比較的優しく諭しており、彼の人格者ぶりが強調されました。
アスナは、普段メルトに自分の意見を押さえつけられているとして不満が爆発。しかしながら、特に普段からその本音を遠慮しているようには見えないところがご愛敬(笑)。というわけで、大筋とはほとんど関係ない能力なのでした。
あ、もう三人レギュラーの中に被害者がいましたね。クレオンとティラミーゴとディメボルケーノ。
クレオンは、いつもやっていることをおおっぴらにやっただけでした。騎士竜の二人は本音を語り合って逆に仲間意識を高めてしまいました。要するに、ミイラマイナソーは、その能力がドラマの牽引役なのではなく、その出自がドラマそのものだったというわけですね。
狩野澪子
その出自たる人物がこの澪子さん。「サンジェルマン伯爵」を地で行く人物であり、中越典子さんがその存在感に抜群の説得力を与えていました。
「サンジェルマン伯爵」の伝説は非常に魅力的で、タイムトラベラーや不老不死といった数々のヨタ話を、断片的な情報から飛躍・想像させる題材です。
今回の澪子はリュウソウ族であり長命種族であることは明確なのですが、歴史の表舞台に何度か現れているところが異質で、サンジェルマン的にミステリアスな部分を感じさせますね。中越さんの抑えた「静」のセリフ回しと、ところどころテンション高く振る舞ったり感情を露わにしたりといった「動」の動きによって、リュウソウ族の純粋な魂まで深く表現していたのには驚かされました。
愛した人が先立っていくという設定は、それこそ不老不死譚では定番中の定番ですけど、定番ということは分かりやすく受け入れられやすいということ。メインターゲットの子供たちに伝わりつつ、大人はもっとグッと来てしまうという筋運びの巧さに唸りました。
一方、澪子のセリフの中で特筆すべきは「リュウソウジャーに選ばれなかった」というものでしょう。普段、特にコウ、アスナ、トワのお気楽な雰囲気に騙されてしまいますが、彼らは選ばれし者なんですよね。長命を持て余している澪子と、懸命に戦い続けているリュウソウジャーの面々を隔てるものが、「選ばれたかどうか」という残酷さ。ここもかなりグッとくる要素でした。
バンバ
ここのところのバンバ推しが痛快なのですが、今回は澪子と顔見知りという設定で、さらに彼のキャラクター性を掘り下げています。
澪子の「疲れ」と「哀しみ」を察しつつも、リュウソウ族という出自を抱えて活きるしかないと説くバンバ。それは自分に言い聞かせているようにも見え、彼の悲哀の一部を垣間見た感じがしましたね。
トワとバンバのマスターとは?
今回はセリフの中だけでしたが、トワとバンバにも当然マスターが居て、しかも生死不明であることが分かりました。トワはマスターの存在にこだわり、バンバはそこをかなぐり捨てて戦っている雰囲気ですが、恐らくバンバもかなり気になっているのでしょう。澪子に対する態度で匂わされていました。
澪子とガイソーグが面会していて、しかも旧知の仲であることを感じさせるセリフの応酬でしたが、澪子を介して両者が接点を持っていることからして、実はトワとバンバのマスターと、ガイソーグは何か関係あったりして…??
次回
次回は追加戦士登場! 2クール目初回にいきなり登場させるシリーズ構成はなかなか思い切ったものですね。大抵は2クール中盤に登場してますから。
1週空くことになりますが、それだけ期待感も煽られるということで…!