流れから予測できたことではありますが、タンクジョウがここでまさかの退場!
1クール引っ張ることもなく、その半分で決着を付けるとは、正直思ってもいませんでした。コウにとってはマスターの仇でもありましたが、復讐譚を騎士道精神に昇華してみせるあたり、なかなかハイブロウではありますね。
バンバも完全に合流することにはならず、この「別動隊」体勢はしばらく続くものと思われます。今後むやみにマイナソーの元を絶つ行動には出そうにないですが、充実した葛藤劇を見たいものですね。
ケルベロスマイナソー(兄)
早苗が元に戻らないのは、なんとマイナソーが双子だったからでした。もう少し深い謎と、それに伴う絶望感と希望を期待していたので、正直なところがっかりしてしまいましたね。この「兄」さえ攻略すれば、なんとかなるというのが序盤から見えてしまうのですから。
ただ、この「謎」を軽くしたおかげで、毒に冒されながらも奮闘するコウとメルトの描写が長尺になり、彼らのヒロイックな面が強調されたので、なかなか侮れないんですよね。
もう一つ巧いのは、このマイナソーを倒すことが目的ではなく、解毒剤を作るために体組織を手に入れるという、実に地に足の付いた展開になったことです。これで、戦闘力の落ちたコウたちがマイナソーを倒さなくても済む理由ができ、代わりに何とか身体の一部を入手しなければならないというサスペンスが生まれました。
タンクジョウ
あまりインパクトを残すことなく退場と相成ったタンクジョウ。一応、キシリュウオーファイブナイツという「切り札」に敗れるという花道はありましたが、まあ、謂わば「それだけ」だったのは残念ですね。中田譲治さんの登板で色んな展開を期待していたのですが…。
バンバ
今回はバンバがコウたちと協力してトワを助ける展開になるのかと思いきや、早々に毒で足止めされる事態に。前回、一人でケルベロスマイナソーを倒すという見せ場があったので、今回は控えたというところでしょうか。
毒に冒されつつも、とりあえず突っ伏すような事態にまではならなかったようで、逡巡の挙げ句早苗を手に掛けようとするなど、ドラマの牽引役の一翼を担っていました。ここでトワだけでなくアスナも懸命に反対していたのが印象的。アスナの活躍シーンが少なめなので、ういの行動を制止したり、今回のようにバンバに訴えたりといったメンタルに訴えかける言動が印象に残りますね。
エピローグでは、トワに促されて感謝の意を表しつつも、仲間であることを認めないバンバ。その心情描写があまり深く描かれていないため、今後にその「理由」が待っているのを期待してます。
コウとメルト
この二人のコンビネーションは既に素晴らしいものになっていました。毒がなければあっという間に目的を達成していたでしょう。
毒のために変身解除されるという、近年ではやや珍しい描写を経て、生身の状態でケルベロスマイナソーに咬まれ、そのまま牙をもぎ取るというくだりが素晴らし過ぎて感激しました。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれという極意は騎士道のものではないと思いますが、そのヒロイズムにはこの上ない熱さがありましたね。設定上は発展途上のヒーローですけど、すでにそれを感じさせないレッドヒーローになっていると思います。
ケバブ屋郷さん
コウたちが心配でウロウロしているのか、突如ケバブ屋台の店主となって現れた郷さん…もとい長老。長老然たるときの重厚な語り口とは異なる軽妙な口調が実にいいですね。
なんとなく「ニンニンジャー」のじいちゃんを想起させる設定ですが、ケバブというのが突飛なので、もしかすると色々な扮装で出てくれるのではないかと期待してしまいますね。団時朗さんは現在でもスタイル抜群なので、恐らくどんな格好でも似合うこと間違いなし!
申し訳ございませんが、個人的に最もエキサイトしたのが、長老絡みのシーンでした(笑)。
キシリュウオーファイブナイツ
遂に五体合体ということになりましたが、ここに至るまでに6話経過していること自体、近年ではやや珍しい展開だと思います。ただ、キシリュウオーはティラミーゴ単体でもロボとして成立するので、満を持してという感覚は少々薄まっています。ここは商魂展開のスピードを考えると仕方ないところではありますね。
必殺技は非常に格好良かったです。ちゃんと剣技で締めていたのは良かったですね。どうかこのあたり、今後も「騎士」を忘れないようにして欲しいものです。
一方で、コウにとってタンクジョウとの決着を復讐からの解放としたのは、巧い一方で少し足早だったような気もします。そもそもコウは命を守ることに関しては徹底していましたし、明るく優しいヒーローであることは強調されていましたので、ちょっと不自然でしたね。今シーズンは文芸の徹底が不十分かな…。
次回
次回より新展開。次々と幹部が交代していくパターンは、その上に何らかのボス的存在があって安定するものですが、まだそのような存在には言及されておらず、一抹の不安が残るところですが…。果たして!?