戦隊で地獄の番犬と言えば某BOSSなわけですが、全く関係ありませんでした(笑)。ある意味で、レジェンドオマージュに対しては距離を置くという宣言なのかも知れません。
今回は前回を受け、トワの心境の変化をさらに突っ込んで描くと共に、それがバンバにもたらす影響についても言及しました。その様子は「王道」でしたが、意外な定番外しも見られて興味深いエピソードとなりました。
ケルベロスマイナソー
サブタイトルをそのまんま体現するドストレートなマイナソー。しかし、デザインはなかなかエキセントリックで、非常に醜悪かつ恐ろしいものとなっています。ケルベロスという怪物のイメージをそのまま解釈すれば、三つ首の犬という見た目になるのが通常ですが、なんと三つ首が入れ子になっているという秀逸なアイデア。なんとなく物体Xっぽくもありますね。
このデザインの醜怪さは画面にそのままインパクトとなって現れていますが、実際はクレオンのペットのような振る舞いが異様に可愛らしく、見た目と振る舞いで恐ろしさを中和しているのが巧いところです。
ケルベロスマイナソーは、残念ながら成長することなく倒されてしまいますが、これもパターン崩しの一つでした。一方で等身大戦と巨大戦のほとんどをタンクジョウが担っており、今回のバトルがタンクジョウ中心に組み立てられたものと見做すことができます。
ケルベロスマイナソーの役割は、トワの知人である早苗から生み出され、トワをその毒牙にかけること。これでバンバの戦う意味を揺さぶったわけです。
タンクジョウ
幹部キャラでありながら、特に指示を出すわけでもなく、クレオンの危機に出現して腕力にものを言わせるという、何となく用心棒っぽい感覚なんですよね。
しかしながら、今回は地震のエネルギーを得て、正に超強力なボス級の力を発揮。まあ、これは「倒すべき敵」になるということなんですけど、それが地球のもたらす偶然に依っているところがかなり恐ろしいんですよね。
あの地震、特撮の通常の感覚だと「何か(味方あるいは敵にとっての)驚異がやって来る」前兆として描かれるのですが、今回は何と偶然! 深読みすれば地球は敵側に力を貸していることにもなるわけで、これもパターン崩しの一つではないかと思います。
なお、巨大戦でもキシリュウオーを圧倒しますが、今度はキシリュウオーミルニードルの猛攻の前に倒されます。ヒーローの見せ場はしっかり用意しつつ、ちゃんと生き残るあたり、ちゃんと幹部級してますよね。
トワとバンバ
どうもこの二人の言動を見ていると、これまでマイナソーの要因となった人間を何人か手に掛けてきた感じがするんですよね。全くそのあたりが掘り下げられないので、かなりモヤモヤしてしまうんですが…。
ところで、トワはコウのみならず早苗の活動(捨て犬の保護)からもインスパイアされ、命の等しさについて「学ぶ」ことになります。苦悩しているというよりは既に悟っているという感覚の表情が実に印象的で、純真な魂を持つ弟が知恵ある兄よりも早く騎士たるを知る、という展開が熱いです。マスターレッドの言ともシンクロし、今回は怒りに任せた戦いを改めるコウと、目指す先を同じくするのがいいですね。
バンバに関しては、トワの言動に影響を受けつつも、まだ己の信じる道を疑うことができずにいます。これも目前に待っているであろう団結に至るプロセスの、最後の砦として巧く機能しています。彼の過去に何があったのかが、その砦を崩す鍵になるのかも知れません。
今回のパターン崩しの最たるものとして、ケルベロスマイナソーが倒された後もトワの感染した毒が消えない(ついでに早苗への影響も消えない)というものがあります。
最初の「仮面ライダー」からの伝統で、怪人が倒されれば影響は消滅するという「お約束」があり、ほとんど不文律のように扱われていますが、今回はそれを崩して(そして劇中の人物も不文律に従って驚いているのがポイント!)、次回への引きに利用しました。いやあ、これには本当に驚きましたね。
次回
今回は結構な引きの詰め込みようで、次回どうなってしまうのかヤキモキさせられました。予告の映像の格好良さで余計に期待が高まりますね。もうちょっとテンポの良さが感じられるといいんですが…。何となく集中力を削ぐ要素がどこかにあるんですよね。それが何かよく分からないままですけど。