今回は凄く納得できる話でした! 前話の若干未整理な部分が、近傍のキャラクターによる展開を以てコンパクトにまとまることで、非常に明快なストーリーラインになっていました。
前話でういを使っても良かったんじゃないかと思いつつも、前話でちゃんとマイナソーに関するプロセスを見せていたからこその納得であることは間違いなく、なかなか悩ましいものがありますね。
メドゥーサマイナソー
蛇系怪人は数多くあれど、メドゥーサ自体がモチーフになっている怪人は少ないですね。いくつかありますけど、私のイチオシは何と言っても「仮面ライダーX」のメドウサですね。声が松金よね子さんですよ! あの巨大な頭が実に怖いので、未見の方は是非!
今回のメドゥーサマイナソーは、ういの「(動画を)見て欲しい」という行き過ぎた願望が元になっており、メドゥーサモチーフは、ういの動画が「固まるほどつまらない」という、かなりコミカルで可哀想な理由によるものだとされました。
デザインはヘビ女系のデザインとメドゥーサの特徴的な「目」を別々に配すという、新味溢れるものになっており、単純に格好良いですし、古き佳き怪人の恐ろしさをも兼ね備えていて実に好感触でした。
今回もやはり徐々に巨大化していく様子が描写されており、これをこれから先も続けていくという表明だとすると、結構修羅な道を選択したな…という印象です。凄いですね。
ういとアスナ
メドゥーサマイナソーが自分の心から誕生したと知り、ういは自死を選択します。この展開は戦隊としては非常にエキセントリックなプロットですよね。恐らく「順当」な描写を選択したならば、「私はどうしたらいいの」と号泣し、ヒーローたちが怒りに燃えて立ち上がるという展開になるところでしょう。
マイナソーに精気を吸い取られて弱っていく様子しかり、どうも今シーズンでは、命に関する描写を先鋭化させる意図が感じられます。この部分のエッジが効いてくることで、何となくフワッとしているコウたちの戦う意味を明確にできている気がしますね。
そして今回の白眉は、命を絶とうとしているういに駆け寄り、抱きしめるアスナのシーン。「友だちだから」という理由は、出会ってからの時間を考えると些か性急にも聞こえますが、人々の心を救うヒーローたちは感受性が高いのだという、(私の勝手で)強引な解釈が成立するほど自然でした。長身でスタイルの良い女性2人が繰り広げる、極めてメンタル寄りな作劇が美しい…。ロケ地の景観も実に良かったですね。
グリーン&ブラック登場!
今回のメインとなる要素の一つが、リュウソウグリーン=トワとリュウソウブラック=バンバの本格的な登場。オープニングには初回からレギュラークレジット付きで登場し、エンディングでは楽しそうに(仲よさそうに)踊っているので、本編とのギャップは凄まじいことになってますが(笑)。
グリーンとブラックは、戦隊では基本的にオルタナティブな存在で、グリーンの居る戦隊にはブラックはほとんど居らず、その逆もまた然り。初めて二色が顔を合わせたのは(その二色を持つバトルケニアを除けば)「マスクマン」のX1マスク登場時ですが、これはあくまでゲストキャラクターなので、実際は「ライブマン」の途中から、となります。
以降、「ジュウレンジャー」の一時期、「ゴーオンジャー」、ジュウオウザワールドの構成色を勘案すれば「ジュウオウジャー」、そして「キュウレンジャー」と続きます。
興味深いのは、ほとんどが追加戦士であるということなんですよね。「ライブマン」は言わずもがな、ドラゴンレンジャーもジュウオウザワールドも。ゴーオンブラック&グリーンは、当初から登場しながらも初期メンバーではない扱いで、変身アイテムも初期3人とは異なります。
こうして歴史を俯瞰すると、今シーズンのグリーンとブラックは「ゴーオンジャー」にかなり近いパターンですね。初期メンバーでありながら初期メンバーではないという独特な立ち位置です。一方で変身アイテムは統一されていたり、兄弟だったりと、少しずつ差別化されているのが興味深いですね。
「ゴーオンジャー」での合流組二人は、変なキャラで売っていて、その合流譚も非常にコミカルでしたが、今シーズンに関しては、敵として登場してくる追加戦士に雰囲気を寄せているようです。勿論、マイナソーを倒すという目的はコウたちと同じですが、その手段が先鋭化されていて、ライバルとしての造形は完璧。ちょうど「ウルトラマンガイア」のガイアとアグルのような関係ですね。
バンバは寡黙ながら筋の通った判断をする冷静なキャラクターという印象で、トワは腕に自信のあるちょっと生意気なヤツというキャラクター付けも良く、コウたち三人よりもインパクトのある性格設定で攻めています。これも正解で、緊張感を生む要因になっていました。
メルトとトリケーン
今回はアスナとアンキローゼ、メルトとトリケーンが出会うという重要なシーンも。メルトの「上から目線」がトリケーンの機嫌を損ねるという、ちょっと和むようなくだりも挿入され、騎士竜たちが兵器でありながら意志を持った生物であることを印象付けています。
メルトとトリケーンは、クライマックスのバトルで案外易々と解り合うことになりますが、このスピード感ならば「悩まない」のが正解ですよね。巧く要素を取捨選択してドラマの流れに淀みがないよう配慮されていると思います。
完成するキシリュウオースリーナイツのバトルも迫力満点で、その直前に繰り広げられた立体戦からの一気呵成となるカタルシスが素晴らしい読後感を生んでいました。メドゥーサ対策が鏡じゃないのも意外性があって良かったですね。そもそも動画配信で石になってしまうので、鏡どころじゃないというのが巧いです。
次回
早くも2チームの和解へと向かうのでしょうか。このタイミングの和解はアリですし、逆に和解しないのもアリですね。一方で和解後のキャラ崩しにもかなり期待していますが(笑)。