今回も盛り沢山の一編。第2話ではメンバー同士の関係性が掘り下げられたりするのですが、今回はそういう要素は殆どなく、基本的に迷いのないヒーロー像が貫かれている感があります。
外界との接触に対して慎重な姿勢だった割に、龍井親子に何事もなく接近していたりと、些か設定的に不徹底な面も見られますが、とにかく勢いで押してくる作風は好みですね。
ユニコーンマイナソー
マイナソーは人間のマイナスな感情から生まれる怪物ということで、「ウルトラマン80」を想起したファンも多いのではないでしょうか。なるほど、それで「最強バトル」では「ヤマト先生」がフィーチュアされた…って違うか。
件の「ウルトラマン80」では、1クール目の教師編が終焉を迎えると同時に、その設定から自由になっており、つまりは困難な設定だったことを露呈したわけですが、本シリーズではどう展開されるでしょうか。
今回のユニコーンマイナソーは、かなり描写が明確かつ直截的で、フェンシング選手の三島が持つネガティヴな感情を元に誕生し、誕生後も成長を続けるために三島からエネルギーを吸収し続けるという、実に具体的でおぞましい映像が展開されました。
人間が原因を作っているという点は、かなり平成ライダーの構造に近いもので、戦隊シリーズには本来「似合わない」題材なのですが、今回のように三島を取り巻く人間ドラマに外部からヒーローが少しずつ関わるという構成ならば、違和感はありませんね。結局そのドラマツルギーは、昭和のヒーローが持つそれと同じなわけです。
さらに、新味として「巨大化」が成長の結果であるという点も挙げられます。
それは等身大戦と巨大戦がシームレスに展開するという意味でもあり、実際にそれを見せつけるかの如く、強烈に新鮮な画面作りが押し出されていました。
等身大戦での必殺技からの巨大化というプロセスを経ず、いきなりユニコーンマイナソーは巨大化。数々のソウルを駆使して立体戦を展開するリュウソウジャーの格好良さは、近年のアメコミヒーロー映画からのインスパイアが感じられるものでした。
ティラミーゴ〜キシリュウオーの巨大戦は、オープンセットが存分に生かされて迫力満点。そこにスピード感が加わって息つく間もなく決着が付くクライマックスには、圧倒されっぱなしでしたね。
凄すぎる映像の一方で…
要素が頭に入ってきません(笑)。
騎士竜を巡って龍井親子の元にやって来るくだりでは、新劇のようなテンポでギャグを挟みつつシーンが展開していくため、ついて行くのが結構大変だったりします。龍井尚久が騎士竜の研究をしているというのは分かるのですが、それが「居候」にまで繋がるのは相当強引です(笑)。尺を目一杯使って龍井親子との出会いを描いていれば、あまり問題がなかったように思いますが、今回はそこに三島のくだりが入ってくるので、ドラマが散開してしまうんですよね。早速「マイナスな感情」の扱いの難しさが垣間見えました。
しかしながら、次回はういがマイナス担当になるようなので、この辺りのモヤを解消してくれるかも知れませんね。
正直、三島の件はもう少しライトに描かれても良かったような気がします。ガッツリと過去や家族の描写が入り、一話完結型の定番たる「ゲスト主役」の様相を呈していましたが、それを導入時にやるのは少々欲張りだったような気も。フェンシングの選手生命に関しては触れられることもなく、「ゲスト主役」の登場編にあるべきカタルシスを完全に欠いていたので、家族が見舞いにやって来たという「救い」が今一つ伝わらないんですよね。難しいところです。
ティラミーゴ
ドラマの欠点を吹っ飛ばすのが、ティラミーゴの大活躍。無双状態ではなく、一回「負ける」のがまたいいんですよね。
コウの諦めない心がティラミーゴを再び立ち上がらせるという流れは、非常に精神論的であり、ファンタジー戦隊の面目躍如たるプロットですが、市街地でそれが繰り広げられることにより、その映像が現状の風景と乖離しない妙なリアリティを持っています。地続きな感覚が良いんですよね。
精神的な繋がりと、物理的な繋がりがちゃんとリンクしていて、コウとティラミーゴ=キシリュウオーが一体となって戦っている様子が実によく伝わります。このあたり、これまでの巨大戦とは一線を画す描写だと思います。
次回
要素が頭に入ってこないのは、私の頭脳に問題があるとして、いよいよグリーン&ブラックの合流(?)が描かれ、登場人物もさらに増えることになります。これは心してかからないと…(笑)。
いずれにせよ、ちょっとした対立構造も描かれるでしょうから、楽しみですね。