ファン興奮のお祭りミニシリーズも今回で最終回。なかなかの豪華メンバー競演だったので、4回で終わってしまうのは寂しくもありますが、このくらいのボリュームが丁度良いのかも知れませんね。
色々と謎を散りばめて煽った割には、その殆どがリタ単独の行動に収束してしまったので、若干スケールダウンは否めないところですが、これもミニシリーズという制約の中では妥当でしょう。
坂本節全開!
別々の思惑で集まったメンバーがその力を結集して巨悪に立ち向かうというシンプルな作劇は、それだけ料理のしがいがあるというもので、今回も完全に「燃える」ことを追求した画作りになっていましたね。
とにかく素面アクションからスーツアクション、CGを交えたアクロバティックでスピード感溢れる「現代的」なカットに至るまで、坂本監督の趣味性と手堅い演出の醍醐味が満載。
特に素面アクションでは、それぞれの身体能力をフルに生かしたアクションコーディネイトが素晴らしい成果を上げていました。特に大和のバック転には非常に驚かされましたね。
そして、結構な長回しで充実のアクションを披露する面々に交じって、紅一点のカグラも奮闘! コミカルなカグラらしいアクション演出の中に、突如挿入される実践格闘技のエッセンスが凄い。これぞ坂本監督の真骨頂というべき演出でした。
荒川節全開!
これは主にリタに関するトピックになるかと思いますが、根っからの悪人ではない可憐な悪女というのが、正に荒川さんの好みではないかと思います。
惑星を瞬時に破壊するような力を秘めた究極大サタンを召喚したり、最終的には自らガイソーグとなって戦いに身を投じるなど、自暴自棄になる様子に感情移入する隙があるわけです。
「逮捕」されて罪を償うという結末にある「救い」は、ここも正に荒川節といったところ。「宇宙刑事 NEXT GENERATION」との近似性については以前触れましたが、両者とも日常に不満を抱く少女が巨大な犯罪に足を踏み入れていくという「心の闇」をテーマにしているんですよね。そして、その「少女」のルックスが良いという点も共通(笑)。
要するに、基本的に「デカレンジャー」のテーマ性が荒川さんの完成形の一つなのではないかと思います。
変わり者チーム
レッドはマーベラスと大和、そして天晴の3人なのですが、基本的に天晴は率先して斬り込んでなんぼのトガったヒーローなので、思慮深いマーベラスと大和がこのチームのリーダーシップを取るのは自然な流れでした。特にマーベラスの「お前が仕切れ」と大和に託す流れが素晴らし過ぎて、たった4話でありながら、ちゃんと2人が見てきたものを積み上げていて大変感激しました。
カグラがガイソーグの面を被ったマーベラスについて行くくだりも完璧。心配性な彼女にそれを指示した大和とスティンガーも完璧。この人選、どういう経緯があったにせよ、奇跡的なバランスで成立しています。
今回はデカレンジャーのメンバーが参加していない(ドギーは除く)ので、スティンガーが捜査官の役割を一手に引き受けています。最後にリタに手錠をかけるシーンがそれを象徴していますが、ここでもスティンガーの兄・スコルピオの一件が「リタの心を救う」という行動のバックボーンとして存在しており、正に奇跡を見るようでした。説得したり諭したりといった彼の言動は、ヒーロー性のステージアップを強く実感させてくれましたね。
素晴らしきリタ
もうMVPでしょう。
浅川梨奈さん、本話では完全に悪役芝居全開でしたが、その目力やドスの利いたセリフ回しが実に巧い。シリーズ当初の高いテンションとのギャップも凄いことになっていますが、とにかくこの若さであれだけの迫力ある悪女を演じられるんですから、なかなかのポテンシャルですよね。
迷言も色々。「宇宙死ね!」とか「スーパー戦隊なんて終わってしまえ」とか。後者は大和の締めとなるセリフ「スーパー戦隊の歴史が続く限り…」というところと対比されていて、やっぱり巧いんですよ。
最も感心したのは、ガイソーグ化した際のアフレコの巧さ。ちゃんと「倒すべき敵」としての存在感が出てます。素晴らしいですね。これからも特撮関連に出演して欲しい逸材です。まあ、坂本監督のお気に入りリストに絶対入ったと思いますけど(笑)。
究極大サタン
「ネメシス」も「リタ」も「大サタン」も「ジュウレンジャー」関連でしたが、特に言及はなく、単なるオマージュだったようで(笑)。しかし、究極大サタンのデザインはオリジナルの大サタンを踏襲したもので、懐かしくも恐ろしい感覚が新鮮でした。
巨大戦に持ち込むのかと思いきや、意外にも立体戦でバトルを繰り広げており、その絢爛豪華なヒーローのやられっぷりが凄まじいテンションで迫ってきます。
ルカの働きでゴーカイガレオンが登場してからは、一気呵成に大逆転。「秘密戦隊ゴレンジャー」をBGMに、ゴレンジャーストームを彷彿とさせるボール戦法を展開するという、趣味性全開のオマージュ! これは胸熱でしたね…。
ルカ編…??
で、結局美味しいところを持って行ったのはルカだったような(笑)。
囚われの身でチョイ役なのかと思いきや、助けに来たマーベラスの面を躊躇無く撃つわ、倒れたマーベラスを踏みつけるわ、とにかくやりたい放題。「うっさいバーカ!」も聞けて大満足です。
そればかりか、結構本格的な素面アクションシーンもあったりして、完全にルカの独壇場といった感がありました。エピローグにまでしっかりワンカットセリフ付きで登場してましたし、実質ルカ編だったのではないでしょうか…。
次週より新シリーズ
リュウソウジャーもその能力のほどを先取りして見せてくれましたが、美味しいところはルカに持って行かれたのが少々気の毒。
アイテムから関智一さんのシャウトが流れまくって、「また騒がしい戦隊なんだな」という印象になりましたが(笑)、基本的に陽性なアクション演出が光っていたので、かなり楽しみになりましたよ。
勿論、「リュウソウジャー」も追いかけて参りますので、引き続きよろしくお願いいたします!