4部構成ということもあってか、起承転結に1話ずつ割り振られている感もありますね。今回は劇的な開幕となったバトル中心の前回に比べ、かなり設定を掘り下げることに労力が割かれている雰囲気でした。
勿論、ガイソーグの面が割れると天晴が出現するといった、かなりインパクトの強い「謎」も提示されていますが、それがそのまま「転」を担うことにはならず、あくまで次回への引きとして機能していますね。
やっぱりなマーベラス
折に触れてマーベラスのことをツンデレキャラだと評してきましたが、今回、それを前面にフィーチュアしてきたので、かなり驚きました。
やはりミニシリーズという尺の関係もあって、各キャラクターを印象付けるべく、少々ステレオタイプに描かざるを得ないんですよね。しかし、よりによってツンデレ成分を増幅させるとは(笑)。
面白いのは各メンバーの反応。マーベラスを表層的にしか見ていないスティンガー、場の雰囲気の悪さにオロオロしているカグラ、常にマーベラスの懐にズカズカと入り込もうとする天晴、マーベラスのことを最も理解していると自負しながらも、巧く信頼できない大和…といった具合。
スティンガーの態度は、キュウレンジャーでの経験が活きていないような印象を受けるものの、逆に本質はどうあれ和を乱す者を許容できないという「組織の牽引者」として結構正しい気がします。カグラはその優しさのすべてが出ていますし、天晴はもう天晴以外の何者でもありません(笑)。
MVP・天晴
今回の功労者は完全に天晴ですね。マーベラスを庇って負傷し、それを本人に揶揄されてもどこ吹く風といった具合に接近。煩がるマーベラスに配慮することもなく持ちネタ(?)で笑わせてみせる、というその一連の行動は、天晴の鈍感力と一切のネガティヴな感情を持ち合わせないキャラクター性が最大限に発露したものとして、正にアッパレです。
こうして観ると、「ニンニンジャーのレッド」がいかに異色な人物だったか、よく分かりますね。
また、家族思いであることを今回も本人が告白していましたが、当エピソード群とはほとんど関係なく、単に天晴が「半ば考えるのを放棄している抜群にイイ人」を強調してにすぎないのも凄いところです…。
そして、「ガイソーグの正体」となった天晴ですが、一体どのような謎が…??
ワンマンズアーミー・大和
戦闘面でのMVPは勿論大和です。
マーベラス関連の不和で選抜チームが出場できないと踏んだ大和は、孤軍奮闘、1人で3人の戦士を相手に戦うことに。矢継ぎ早に繰り出されるジュウオウイーグル、ゴリラ、ホエールの技の数々には、オリジナルへのリスペクトが現れていましたね。
そしてここでは、大和の願い(亡くなった子供の魂を呼び戻して動物の楽園に連れて行く)が明らかになりました。
この段階で明らかになるのは凄く意外だったのですが、あまり本編にリンクしない願いだったので、実は味付け程度だったんですね。もっと謎寄りにするのかと思っていたので、ちょっと驚きました。大和らしい、ちょっと切ない願いが彼の戦いに深みを与えます。
対戦相手の一人として、ガオレッド=獅子走こと金子昇さんが登場! 動物系戦隊の先輩レッドらしく、仲間への信頼の大切さを説くという役割を担いました。これはガオレンジャー自体の作風とも相俟って、実に熱いメッセージ。「実はレッドって楽だよな」というトリッキーな言説と共に、大和に気付きを与えるあたりはさすがでしたね。
あと2人はギンガグリーンとバルシャークでしたが、現在の映像技術で描かれる技の数々が素晴らしい迫力を生み出していました。ただ、バルシャークがあちこちに水面を発生させるファンタジーっぽい能力は、格好良いけれどちょっとやり過ぎでしたね。サンバルカンはやっぱり科学の力と優れた体術で戦って欲しいところです。
レジェンド声優陣
今回、ガイソーグのバトル正式投入に伴って、彼にも対戦カードが用意されましたが、その中にリュウレンジャーとニンジャホワイトが登場しました。そして、その声をオリジナル俳優である和田圭市さんと広瀬仁美さんが担当。これは嬉しいキャスティングでしたね。
特にリュウレンジャーは和田さん以外だとリュウレンジャーにならないと言っても過言ではないくらいシンクロしているので、良かったですね。そして、ニンジャホワイトのセリフをもっと聴きたかった!
次回
次回は今回の見立てに従うならば「転」に当たりますが、ガイソーグとリタの謎がかなり明らかになるのではないかと予想してます。
リタにしても、ガイソーグは自分の想定外と言わんばかりでしたし、ミニシリーズにしては結構複雑な縦糸を仕込んで来たので、色々とヤキモキしてしまいますね。実に楽しみです。