SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #37「君が帰る場所」

 ビジュアルが奇異なので、もっとコメディ寄りなのかと思いきや、かなりウエットな質感が印象に残る一編でした。

 魁利と圭一郎の交流がメインになりますが、魁利の危うさと圭一郎の強引さのコントラストが見事にWレッドたるメリットを喚起していましたね。

ヤドガー・ゴーホム

 ヤドカリ怪人ということで、その基本能力は分かり易く「強制帰宅」。この能力によって引き起こされる現象は、回数こそ少ないもののビジュアル的に楽しい描写になっており、インパクトは大。この能力が今回の「攻略ポイント」になっており、圭一郎たちの奇妙な「テント生活」というシチュエーションを生むことになります。

 一方でルパンコレクションによる能力は空間転移となっていて、この点だけでも充分な強敵となりました。

 言動はコミカルながら、デザインは骸骨が殻から出てくるという奇怪なもので、ある意味戦隊らしくないデザインとも言えます。胴体や手足の形状は、なんとなく「ダイナマン」の進化獣っぽいですね。

帰る家がない??

 今回最大のフックであり謎となったのが、魁利に「強制帰宅」が効かなかったということ。

 透真と初美花はジュレに無理矢理戻されましたが、何故か同じくジュレに居を持つはずの魁利には効果がありませんでした。一応、まるで生活感のない部屋が登場したりと、その片鱗を見せていた魁利ですが、ここまで徹底的に「落ち着く場所を持たない」描写を見せつけられると、実に刺さるものがありますね。

 この一連の描写は、寝食を営むジュレであっても魁利の「家」とは言えないという意味を持っているわけですが、それはやはり、「兄の居る場所こそが帰る場所だ」という強いこだわりが魁利を呪縛していると換言できそうです。しかしながら、魁利自身は兄の存在を深層では拒否しており、常にアンビバレンツな感情を抱えているので、圭一郎の言動には過敏に反応してしまうんですね。

 ただ、これを魁利の「闇」だと断言するのは尚早な気がします。ここまで時間をかけて醸成されたのは、魁利がメンバーの中で最も幼いという雰囲気でしょうか。少なくとも、透真、圭一郎、つかさには放っておけない弟のような存在に映っているように思います。なので、魁利は年相応より少し下の危うさを抱えていると言った方がしっくり来そうです。

 圭一郎を拒絶しつつも、結局今回を経て彼との関係はこれまで以上に密になってしまい、その抗えない波に苛立つエピローグでの後姿は、先鋭的なレッド像を確立していて、ちょっと怖くなりましたね。

お節介な兄

 今回の圭一郎は、ヤドガーに対抗すべく寮の自室を引き払い、テント生活を行うという、なんとも強引で「らしい」行動を見せます。咲也がリスペクトしつつも引いているのが可笑しいですね。家財道具一式を一体どうしたのか、非常に気になるところですが、物に対するこだわりが一切なくても不自然ではありませんよね、圭一郎は。その意味では、魁利の生活感のなさとよく似ているのかも知れません。

 そんな圭一郎、同様の理由でテント生活を始めた透真と初美花に遭遇し、彼らとの会話をきっかけに魁利を極度に心配してしまい、とうとうジュレにテントを持ち込むという行動に出ます。

 これは正真正銘、圭一郎の強引さと正義感、そして魁利へのシンパシィの為せる業ですが、実際にこういう行動をとられると、かなり迷惑ですよね(笑)。圭一郎が子供に好かれないという設定は、魁利≒子供とした際にズバリ当てはまってしまうものであり、その根底には相手の気持ちを読まないお節介さがあるのかも知れません。

 今回、また魁利はそんなお節介な圭一郎に兄の面影を見てしまい、かなり強烈な拒否反応を示しました。まあ、普通の人でも拒否してしまうでしょうが…。「魁利君に嫌われた」と思っている圭一郎ですが、実はそんな一言では片付けられない微妙すぎる関係性を構築してしまったので、これからの正体バレといった展開に面白い効果をもたらしてくれることでしょう。

 なお、圭一郎のテント生活は見事に奏功し、ヤドガーの能力を無力化する盾となって攻略に貢献しました。

裏目に出る透真

 今回の透真は、ストーリーを回していくための重要なきっかけを担当しました。

 テント生活を思いついたが故に圭一郎と出会ってしまい、初美花の出任せを取り繕おうとして圭一郎を心配させ、魁利の危うさに同意しつつもその理由を当然答えられずに圭一郎をジュレに向かわせてしまう…。良かれと思って口にした言葉が、幾度も圭一郎を魁利に近付けてしまうのは、ちょっと可笑しいながらも透真の複雑な心境まで感じさせて良かったですね。

ノエルのファインプレー

 ギャングラー殲滅一択の警察がそれを果たそうとした刹那、ノエルがお宝を見事回収!

 彼の本質が快盗であることを強く印象付けた瞬間ですね。

サイブレード

 今回のルパンコレクションは、ゲキチョッパーの専用武器サイブレードでした。「手刀」「必殺剣(久津ケン)」といったキーワードが公式サイトに並んでいましたが、見た目もそのままでしたね。

次回

 次回は最終兵器系ガジェットの登場編でしょうか。基本的に「地上の話」なので、宇宙が匂わされているのは楽しみなところです。ノエルのパワーアップも鮮烈!

 

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