前回ラストの強烈な引きにより、後編の趣を見せてくれる一編。
事件自体が前回でひと区切りついているため、テーマ等は一見離れているように見えますが、実は前回のやり取りをちゃんと継承していたりして、単なる新ロボ登場編とは到底片付けられない魅力と発見に満ちていました。
夏休みシーズン突入編としての連続編は、実に見事な構成だったと言えますね。
ライモン・ガオルファング
ライモン軍団の長。モチーフは普通にライオンでした。先日、ライムとかレモンとか言ってましたが、よく見なくてもそんな意匠はどこにもなく…。失礼致しました。
その強さのほどは素晴らしく、超巨大化能力を備え、身体の各部に兵器を隠し持っているなど戦闘に特化してはいるものの、ボスの座に納まるほどの知略はあまり持ち合わせていないという描写がいいですね。ただ、ドグラニオに一目置かれてはいたようで、ライモンが敗れた際にドグラニオが人間たちの戦力を少し警戒するようになる場面も。物語の連続性が、少しばかりではあるものの、ギャングラー側にも波及しているのは面白いところです。
その戦闘力にプラスし、ルパンコレクションの力によって不死身になっているというのが巧みで、コレクションさえ奪えば不死身の能力がスポイルされるという、今シーズンならでは…と言うより、今シーズンでなければ成立不能な攻略法を編み出しているのが本当に素晴らしいところです。
そして、このルパンコレクション回収に至る段取りが、一筋縄ではいかない! 優れたプロットというのは、正にこういうものなんですよね。
巨大戦では、新登場のグッドクルカイザーVSX相手に壮絶な市街戦を繰り広げるなど、中盤のクライマックス担当のお手本とも評すべき振る舞いを見せてくれました。とにかくCGとスーツ両面で展開されるスピーディな戦闘は見応え充分以上。等身大アクションで印象的に用いられるカメラワークを巨大戦に持ち込み、ある意味分断されて然るべきな両戦の連続性を印象付けたのも、かなり新鮮でした。
魁利とノエル
矢面に立ったノエルが重傷を負い、魁利の部屋に匿われているというのが冒頭の流れになります。一見完璧で余裕たっぷりに見えるノエルですら、身動きが困難になるほどの強敵が登場したという印象を巧く短い尺で表現していると思います。
そして、ノエルの真意は相変わらず秘匿されているように感じられるものの、実はルパンコレクション回収の目的は魁利たちと同様という「覚悟」のほどが語られました。初美花、そして透真との、丁寧に語られた信頼関係の構築に続き、魁利とも「快盗という肩書の上での」信頼関係が構築されることになりました。まさかここでそう来るとは思ってもみなかったので、驚きでしたね。さすがは2クール目ラストといったところでしょうか。
なお、ノエルが身を賭してライモンの金庫を解錠する術(ダイヤルファイターを二つ使って6桁の暗証番号を解読する)を見付けるシーンでは、詰め寄る魁利を透真が静止するカットも。これはノエルがその道のプロであることを知っている透真ならではの行動で、実に熱くなるわけです。
魁利は、自分が囮になって透真と初美花に開けさせようとしましたが、それはライモンに読まれていて失敗(ここでもライモンの強さが表現されていて見事)。魁利は単独で何とかしようと奮闘しますが、ここでまさかの…。
共闘!!
利害一致。
つかさはルパンレッドの無謀な行動に思うところがあり、ルパンコレクション回収に協力することを提案します。このルパンレッドに対する思いは、前回からの直接的な繋がりを示唆しており、非常に巧いですね。
感情的になる圭一郎は当然反対しますが、咲也は警察戦隊の第一義(ギャングラーの殲滅)からコレクション回収の意義を理屈で理解しており、その進言によって圭一郎も渋々承諾するという流れが本当に素晴らしいです。
ルパンコレクションさえ回収してもらえば、ライモンを倒すことが可能になるという、利害一致の鮮烈さは今回の「発明」ですね。
グッドクルカイザーVSX
両者の共闘はグッドストライカーの飛来によって、より明確なビジュアルとなって登場します。それがロボの新形態であるグッドクルカイザーVSX。
いわば現時点での全合体に相当する形態となりますが、ここに至るドラマが理知的かつ高熱量なので、実に自然な登場でした。コクピットでのレッド同士の諍いも微笑ましければ、パトレン3号に交替した途端に大人しくなるルパンレッドといった絶妙な「間」も最高で、まさかの魁利&つかさのカップリングが何ともヤキモキさせられるところです(笑)。
その戦闘シーンについては前述のとおりで、新しい画作りが鮮烈に印象付けられるものとなりました。
ルパンコレクション
しばらく考え込んでしまいましたね…。
公式サイトにある「超重傷」と「ライフタンク」というワードが、「超獣戦隊ライブマン」を匂わせるという仕掛け。つまり、今回のコレクションはツインブレスというわけです。
その形状から推察するのは、ちょっと難しすぎると思います(笑)。
次回
初美花とノエルがオークションに参加するという、ルパンらしい筋書き。「ルパン三世」や「007」、「スパイ大作戦」では常套句のごとく繰り返し登場するハイソサイエティな催しなので、どう描かれるのか楽しみです。