大きな展開の前に設定を整理しておくのは常套手段であり、今回はルパンコレクションの設定について語られ、さらにグッドストライカーの振る舞いに関する秘密も明かされることとなりました。
しかしながら、設定編がハマりやすい「セリフだけが延々続く」といった傾向は全く以て皆無で、むしろもう少しその辺の事情を聞かせて欲しいという程度に留めているのが美点。「仮面ライダービルド」が設定の意外性に面白さを求めている(特に最近ほぼ毎回バトルと説明ダイアログ「のみ」で構成されているきらいがある)のに対し、本作(というより特に今回)はアクションに面白さを求めていて痛快でした。
アニダラ・マキシモフ
回想シーンにのみ登場するという贅沢な怪人かと思いきや、なんと今回「再利用」。まさか出てくるとは思いも寄りませんでした。
それにしても、名前がアナキン・スカイウォーカーの奥さん(パドメ・アミダラ議員)と似通いすぎていて、聞く度に笑ってしまうのをどうにかして下さい。
それはさておき、金庫が既に空っぽ(トリガーマシーン・クレーンが入っていた)という設定なので、新たにデストラからコレクションを譲り受けていたというのが面白いですね。いきなり巨大化して現れるしかなかったため、金庫を開けてみると物凄く小さい(というより相対的に小さく見える)コレクションが入っている様子は、かなりシュールで笑えます。
基本、復讐鬼と化しているため、パトレンジャーにしか興味がないという点も巧く機能していました。快盗は第三者として介入しつつ、コレクション回収という義務を果たすべくバトルのど真ん中へ突入しなければならないシチュエーション。今回の両チームの活躍バランスの良さは特筆すべきものです。
ルパンコレクションの秘密
秘密というか設定の開示でした。
ルパンコレクションと呼ばれるものは、元々ギャングラーの世界由来の物品であり、VSチェンジャーや各種マシンに関しては、アルセーヌ・ルパンが手を加えて人間にも扱えるようにしたとのこと。
そしてこれらは、敢えて説明されずとも、これまでのエピソードから分かるようになっています。ギャングラーがコレクションによって特殊能力を発揮できることや、人間がそれを手に入れても(例外はあるかも知れませんが)特に何も起こらないこと、人間が扱えるマシン等も存在していること…などなど。
VSチェンジャー他の戦隊装備品が、アルセーヌ・ルパン自身によって手を加えられたというトピックは、唯一新しいトピックとなります。アルセーヌ・ルパン、天才過ぎますよね(笑)。
グッドストライカーの秘密
グッドストライカーがマシン群の中で何故意志を持つに至ったのか。それが今回のテーマになっています。
グッドストライカーは、他のコレクションを守らせるべくアルセーヌ・ルパンより手を加えられたそうで、その強い目的意識が伝わることで、意志を持ち始めたということでした。念が凝固して意志を持った何かになるというファンタジー的なストーリーテリングの手法が引用されていて、ルパンコレクションの特殊性を強調していましたね。
それでも、コレクションに関して無頓着なパトレンジャーにも味方してしまう点については、魁利から矛盾として指摘されるわけですが、そのあたりの感情の機微に由来する行動は、魁利も何となく理解していたようで、二人でブランコを漕いで和解する姿が今回の白眉の一つとして数えられようかと思います。三ツ矢雄二さんの演技の素晴らしさよ!!
争奪戦!
新ガジェット登場編を除けば、コレクションを巡って両チームが争奪戦を繰り広げるということはないのですが、今回はアニダラが巨大化して出現していることから、殲滅派の警察と、お宝回収派の快盗とで、巨大戦の鍵を握るグッドストライカーの争奪戦が行われます。
等身大戦による単なる争奪戦だと、大してインパクトはなかったように思いますが、今回は工夫に工夫が重ねられて息つく暇なしの面白さ!
警察側のフェイクニュースによる快盗誘き出し作戦、まんまと騙された快盗からグッドストライカーを奪う圭一郎(クレーンを使って頭上から奪うのが、ワイヤーによる立ち回りを得意とする快盗を嘲笑するかのようで素晴らしい)、パトカイザー合体直前にレッドダイヤルファイターで割り込む魁利…と、逆転に次ぐ逆転を展開し、変則ルパンカイザーの完成後は、コミカルに味付けされたコクピット内での対立劇がパワフル。
アニダラの攻撃を受け流しつつ、コレクション回収の隙を狙いつつ、襲い来るパトレンジャーにも対処という具合に、魁利のマルチプレイヤー振りが際立っていました。若干コミカルに描かれたのは、やはりパトレン3号を蹴り飛ばすといった、近年の特撮で避けられている描写を緩和する措置だったのではないでしょうか。いずれにせよ、このクライマックスバトルの完成度はヤバすぎます。
グッドストライカーが双方の味方、しかも元々は警察の支給品という設定がなければ、このエピソードは誕生しなかったわけで、実に絶妙な設定であったと気付かされました。
カーナビック
今回のコレクションは全く分かりませんでした。公式サイトにある説明で、ようやく「カーレンジャー」のガジェットに辿り着いた次第です。
弾道を後から修正できるという能力については、オリジナルであるカーナビックのホーミング機能を踏襲しています。
次回
ちらほらと(堂々と)追加戦士の話題が聞こえてきますが、まだ次回においてはメインで扱われない様子。このところ株が急上昇中の咲也を擁して、またまた面白いエピソードを展開してくれそうです。