SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #11「撮影は続くよどこまでも」

 前回のシリアスムードから一転、コミカル色を全面的に繰り出してきた一編。

 こういった、ぶっ飛び系のアイディアを盛り込んだエピソードは「寒い」ものになってしまう危険性もはらんでいるわけですが、演者の楽しんでいる雰囲気が巧く画面上に漂っていて、実にバランスの良い笑いに。

 勿論、MVPは咲也です(笑)。

ピッチ・コック

 ヒッチコック監督+ピーコックということらしいです、今回の怪人。しかし、口調は何故か淀川長治氏の有名な節回しを引用するなど、「映画」というタームにまつわるイメージの集合体といった印象。

 性別転換という能力は、「転校生」とかその辺のオマージュとして考案されたのでしょうか。しかし、その「ドグラニオ礼賛のプロパガンダ・ムービー」を完成させるという目的からはかなり乖離しており、よく分からない怪人になっていました。

 そもそも、ドグラニオが心底楽しみにしていたらしい映画の完成は、今回のドタバタ劇からは到底想像つきませんよね(笑)。パトレンジャーのイメージを貶めてギャングラーの評価を相対的に上げるという話のようでしたが…。あの調子だといつまで経っても完成しなかったのではないでしょうか。

 ところで、映画怪人のパイオニアは「デンジマン」のフィルムラーですね。絵面はコミカルながら、結構恐ろしい話なので機会がありましたら是非ご覧下さい。

ゴローダーGTですね、恐らく

 今回のルパンコレクションは、「ゴーオンジャー」に出て来たゴローダーGTでしょう。

 その能力は単純に「転ばし屋(@ドラえもん)」に過ぎず、しかも転ぶ時に何故か「ズコーーッ(@ハットリくん)」と叫んでしまうという、藤子不二雄両先生のコラボだったりします。ちなみにパーマン(アニメ)だと「ヘコーーッ」になります。

 すみません、実にどうでもいいトリヴィアでした。

 そういえば、「ゴーオンジャー」ってもう10周年なんですねぇ…。

 

国際警察の宣伝映画

 ピッチ・コックが紛れていたとはいえ、どうやら国際警察の宣伝映画制作については、本当に当局の発案だったようですね。

 どんな状況に置かれても、常に前向きな姿勢で撮影に取り組む咲也が熱(苦し)い! たとえ性別転換されようが、乗りに乗った状態で自らの魅力(?)をアピール。混乱する現場をグイグイ引っ張る力強さが凄いです。

 咲也は訓練生時代、落ちこぼれだったと回想していましたが、ノリが合致するようなシーンでは、リーダーシップすら発揮するポテンシャルを持っていることが判明。だからこそ、パトレンジャーに抜擢されたのではないかと思います。

 一方で、乗り気ではない圭一郎とつかさは、冷静に状況を判断しようとしていますが、多分慣れない棒読み演技で一杯一杯(笑)。演技ができない演技をしているという、実に難しい状況化にありながらも、素晴らしい笑いを届けてくれる二人でした。

 咲也の回想では、圭一郎とつかさが、後の咲也を形勢するポリシーを授けています。やはり、圭一郎こそがパトレンジャーのスピリットと言っていいでしょう。圭一郎は「そんなこと言ったかな」とか言ってますが、この人、多分忘れっぽいんでしょうね。つかさにも金言たるに相応しい言葉を授けているのに、それもやっぱり思い出せませんでしたからね。

 それとも、過去の圭一郎と現在の圭一郎が実は別人で、その伏線を散りばめている最中だったりして……。

 性別転換のリアクションは、素面、スーツ共に実に面白かったですね。「ある」「ない」という単純にして端的な表現に子供は笑い、大人はちょっとヤバさを感じるという、匙加減が絶妙。

 男性二人の「女装」がことごとく違和感たっぷりなのも笑えます。近年の線の細めな男性キャラの女装が、意外な美しさを驚きとして提供することも多かったのは記憶に新しいところ。しかし今回は…(笑)。例年のパターンはルパンレンジャーに期待しましょうか。

 つかさは通常のスーツ姿も男装のスーツ姿も実にキマっていましたね。元々男勝りなキャラクターなのもあって、男装の麗人な感じで違和感が全くありませんでした。

ルパンも息抜き

 今回は魁利たちも息抜きのような一編でした。撮影所に潜入して笑いをこらえられなくなったり、相変わらずパトレンジャーとのバトルはかなり激しいものでありながら、ロープを使った空中戦に余裕を見せたり。コレクションも隙を見て盗み取るという「ならでは」な立ち回りでした。

 一方の巨大戦も余裕。ブレードダイヤルファイターが性別転換されてハンマーダイヤルファイターに変化したり、等身大戦で導入されているアクロバティックなカメラワークが突如挿入されたりと、驚きを与える仕掛けが満載でしたね。

完成した映画は…

 結局、全面的に仕切り直しとなった撮影は完了し、映画は完成したらしいのですが…。

 ヒルトップ管理官の反応は悪く、つかさは恥ずかしいという感情しか湧かないといった感じなので、きっと完成度はあまり高くないのでしょう…。

 他方、咲也は「これでモテる」と本来の目的意識を暴露してしまい、圭一郎は客観的に見る自分の姿にナルシズムを得るという、実にカオスなエピローグでした(笑)。パトレンジャーはつかさのコモンセンスに期待するしかないようです。

次回

 またまたパトレンジャーが目立ってしまいましたが、次回は透真と少年ゲストの交流回。定番の少年ゲスト編ですから、戦隊ヒーローらしさをビシッと決めて欲しいところですね。

 

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