待望の初美花編。
彼女らしく、いつもの調子でコミカルな巻き込まれデートを展開するのかと思いきや、幼少期から直近のトラウマまでを描き、咲也をしっかり利用するしたたかさを通じてそのキャラクター性を掘り下げ、かなりシリアス寄りの展開に。非常に見応えがありました。
周囲の人物の出番を削ぎ落としつつ、ちゃんとそれぞれの思慮を描写しているところも素晴らしく、描写を疎かにしない姿勢には快感すら覚えます。
ヒカル先生!
今回のルパンコレクションは、ほぼマジランプそのものでしたね。「空間を拡張する」というのは、多分スモーキーが中に入っていたことから着想したものかと。
ナンパ師・咲也
先のエピソードにて、初美花に一目惚れしたかのような描写が為されたわけですが、実は惚れっぽい性格と判明。初美花に「本気」というわけではなく、とにかく可愛い子には声をかけまくっているのではないか…(つかさ談)という設定になっています。
今風だなぁ…と感じたのは、それについて圭一郎やつかさがとやかく言わないこと。圭一郎は説教すると見せかけて「本気なのか?」と真面目に問い、つかさを呆れされる一幕も(笑)。つかさも、「ナンパするなら制服を着てない時に」と釘を刺す程度で、咲也のプライベートまでは立ち入らない主義なのかも知れません。
そんな咲也、初美花にまんまと利用されることに…。
つかさの仕草が…
男口調のつかさですが、その仕草には常に色っぽさが。
今回の白眉は両手を組んで顎を乗せるという仕草。口調とのギャップが凄すぎてヤバいです。
ちなみに、エピローグでは魁利の初美花に対するちょっとしたちょっかいを見逃さなかった、つかさの鋭い観察眼が明らかになります。次回はそれを元に快盗の正体が暴かれるかも…!? という展開なのですが、まだ1クールも消化していない時点でそこまでやっちゃっていいんでしょうかね??
初美花のトラウマ
勿論、それは親友の消失事件。
その親友が誰なのか、何故親友になったのかといったところが、短い尺の回想ながら必要充分な詳細さで描かれます。元々ファッションに興味があり、小学校に少し目立つ格好で登校していたという設定も網羅されており、初美花のキャラクター設定に深みが加わりました。
親友の消失事件のトラウマは、かなり強く作用するほどの深刻なもので、魁利が親友と同様の行動を起こしてギャングラーの怪人であるメルグ・アリータに喰われてしまった際、震えと共に行動不能になる程でした。結構衝撃的なシーンでしたね。近年、ここまでネガティヴな面も抉る描写は戦隊にはなく、こういう展開に長けたライダーシリーズでも、ここまで深みのある描かれ方はしていないと思います。
このあたり、さすがは工藤さんですね。説得力のある表情で次々と難シーンをものにしていきます。
偽装デート!
初美花は物語初期のヒロインとしては珍しく、自分の実力のほどを知っている人物となっていて、単独ではメルグ・アリータの持つルパンコレクションを取り戻すに至らないと考えています。
そこで咲也とのデートをお膳立てして、メルグ・アリータが次に狙うレストランをデートの場所に選択、咲也の戦力を借りてコレクションを奪おうと画策するわけです。
これは1チーム体制だと、咲也のポジションを敵幹部とかがやることになり、敵内部に間抜けなシチュエーションが生まれたりするのですが、今作のような2チーム体制ならば、今回のような抜群に面白いシチュエーションたり得る!
メリットを活かしまくってますね。
デートのシーンでは、髪型までバッチリ変えてきた初美花が素晴らしいですね。小学生の頃から、そのポリシーを貫いていることが分かります。もう隙が無くて凄い。
なお、まんまと初美花の作戦は図に当たり、デート現場を襲撃してきたメルグ・アリータと咲也を戦わせている間に、初美花ちゃんは快盗の衣装に着替えて参戦! 変身前の状態でアクロバティックな大立ち回りを演じて(下園さんの動きが物凄い)、バッチリコレクションを回収、魁利と透真も救出! 実に淀みない流れで気持ち良いですね。
「警察とヨーヨーは相性が良い」
まあ、そうですよね。
つかさの発言というのもポイントです。
そのうち「何の因果かマッポの手先」って…警察そのものだから言うはずないですな(笑)。
胃の中が怖い
メルグ・アリータに喰われたって言ったって、どうせ閉じ込められただけでしょ。
と思っていたら、何と霧状の消化液で徐々に溶かされる恐怖が待っていたとは!
この恐怖感はシリアスさをグッと深めていましたね。
コグレさんが怖い
物腰柔らかく、微笑みながら突如現れる人には注意すべきということを、温水洋一様が教えて下さいました。実に怖かったです…。
次回
このタイミングでまさかの正体バレか、はたまた巧く誤魔化すのか。
まだ早いような気がするので後者を期待しているのですが…。どうなるのでしょう!?