MP-11のビークルモードは、MP-3が目指した、リアルな「F-15E ストライクイーグル」のスタイリングを破棄。劇中に登場した、スタースクリームが変形する「F-15 イーグル」を目指しています。
MP-3の元々の設計が優秀だった事もあり、「リアルな戦闘機」を形成するパーツを廃しても、なおスタイリングはリアルな雰囲気を失っていません。旧トイの正当なブラッシュアップ形を呈する雰囲気は、やはり格別。マスターピースの名に相応しいと思います。
なお、MP-3における不満点は、各所にロック機構を追加する事でほぼ解消されており、カッチリとしたビークルモードを堪能する事が出来ます。
トランスフォームのプロセスは、基本的にMP-3と同一です。尾翼の変形プロセスがパーツ配置と共に変更になったのと、曲面を構成するパーツの廃止による手順のカットが主な差異となります。
ナルビームの差し替えなしでの移動や、かかとの収納等、手順が増えている部分もあり、トータルで見ると手順は増加しているかも知れません。しかし、元々変形の難易度があまり高くないモデルなので、サクサクと変形させる事が出来ると思います。
では、トランスフォーム!
背部を展開し、固定されていた機首を解放します。ちなみにこの部分、MP-3では曖昧な角度が付いていましたが、MP-11では垂直になってスッキリしましたね。
背部を上部に展開し、機首を前面に回します。
コクピット内部を回転させ、機首を接続。このスタイルは、アニメに変形過程として登場するので、見覚えのある方も多いのでは。
機首を完全に上部へ伸ばします。MP-3とは異なり、頭部を回り込ませる際、耳の部分を押しながらくぐらせる必要があり、ここはやや難易度が高いように思います。
胸部を上方向に90度回転させて、腕部収納スペースを形成。当モデルにおける素晴らしい工夫の一つです。
脇腹パーツを畳んで、更に腕部収納スペースを確保します。ただ縮まるのではなく、上方向に畳まれるのがミソ。下部に生じたスペースに、拳が収まるようになっています。
腕部を収納に適した形に変形させます。二の腕から下を90度回転させ、拳を折り曲げます。
腕部を内側に畳むと、このようになります。この「省スペースに詰まっている」感覚・精度が魅力です。
そのまま倒すと、既に航空機らしいシルエットに。ここから各部を伸縮させていきます。
まずは主翼を180度後方へ展開。MP-11では、ロボットモードにおいて背部と主翼を接続するジョイントが新設されていて、ロボットモードの安定度に貢献しています。ビークルモードへの変形の際、ジョイントを畳む事で、航空機上面をフラットにしています。
主翼をロック。左右の脚部を合わせます。
爪先を変形させていきます。
爪先の根元を180度回転させます。
爪先を180度前方に回転させると、膝部分と一体化します。
尾翼部分の基部を後方に移動させ、水平尾翼を展開します。
続いて、かかと部分の変形です。
ノズルカバーを開きます。
内部にかかとを収納し、ノズルの内部機構とします。
ノズルカバーを閉じます。
脚部を一気に縮めて本体にロックします。その際、腰部アーマー状のパーツと面一となるように調整すると、ビークルモードの完成度がグンと上がります。
そのまま裏返した状態。
主翼のフラップを展開します。
ナルビームを腕部から移動させます。
主翼のジョイントに接続し、ナルビームの移動が完了。
これでビークルモードは完成ですが、ランディングギアを展開しておきます。
後部のランディングギアも展開。
ビークルモード完成。
私はミリタリー系モデルについての知識は皆無ですけど、F-15実機のスケールモデルとして、充実の完成度を誇っていると思います。MP-3の当初の設計が、元々優秀だった事を如実に示していますね。カラーリングは、正にアニメのスタースクリームであり、機体の実在感とアニメのキャラクター性がしっかり両立していると思います。
コクピットに関しては、MP-3ではDr.アーカビルのフィギュアを搭乗させるようになっていましたが、今回はホログラムのパイロットという設定のフィギュアが付属。実写映画版からのフィードバックともいうべき、粋な措置ですね。
MP-3同様、レーダードームを再現。
上面のエアブレーキ展開も、MP-3から継承したギミックです。シリンダーが再現されていたりと、なかなか細かいです。
エアインテークの上下可動もMP-3と同様ですが、MP-3では可動と共に外装もスライドしてしまっていたのに対し、今回は余分な外装が廃された為、より自然に見えます。
主翼のフラップの可動も健在。この機構は、そのままウィングの変形ギミックに転用されていますね。
エンジン部のハッチ開閉も。この部分も変形ギミックとの兼ね合いが絶妙といった処。
ベクタードノズル可動。MP-3にはかかとがなかった為、このギミックが接地に大きく関与していました。
MP-3のビークルモードと比較。こうして見ると、MP-3はもうスタースクリームとは言えない…(笑)。
MP-3 USAエディションのビークルモードと比較。こちらあまり差異が無いように見えますが、成形色はMP-11の方が断然アニメに近いです。
スタースクリームがこの仕様でリリースされた事により、いわゆるジェットロン三人衆や、新ジェットロンの展開が期待されます。MP-3のリカラー版となるスカイワープとサンダークラッカーが、リアル志向によって「トランスフォーマー」のイメージとは異なる仕様でリリースされていますから、今度こそ「決定版」としてリリースして欲しいという、淡い期待がありますね。