マスターピース・ブランドのスタースクリームは、既にMP-3のナンバリングでリリース済となっているわけですが、今回、MP-11として新たに「新破壊大帝」の名を冠されての発売となりました。
とまぁ、トボケてみたわけですが、確かにMP-11リリースの発表を聞いた当初は、MP-3に「トランスフォーマー・ザ・ムービー」における冠とマントが付属する程度にしか思っておらず、その詳細が明らかになるにつれ、単なるパーツ追加による再販ではない事が分かり、驚いてしまったという…。
その内容は、MP-3の機構を利用しつつ、半分以上のパーツを新規造形として、よりアニメのイメージに近いスタースクリームをビルドしたものとなりました。というより、「MP-3設計当初の構想に戻した」内容になっており、MP-3騒動(河森正治さんによるビークルモードのリアル志向化で、アニメイメージから遠ざかった造形でリリースされたという「事件」)を知る者にとっては、待望の「本来あるべきMPスタースクリーム」のリリースとなったわけです。
今回のMP-11は、ロボットモードに関して、アニメのスタースクリームのイメージを再現する為に様々な「再設計」が行われており、その甲斐あってスタイリングは、評価の高い「変形ヘンケイ版」よりも更に劇中のものに近くなっています。ビークルモードは、MP-3の目指す実機の合理性とは逆のベクトルに向いており、こちらもアニメに登場するビークルモードの再現性に重きを置いている感触です。
振り返れば、河森さんのビジョンは、オリジンたるダイアクロンの世界観であって、アニメのトランスフォーマーの世界観ではなかったのだろうと思うのです。ダイアクロン(後期)は、あの価格帯で当時最高水準の「リアルなビークルに変形するロボット」をリリースしていたわけで、MP-3はその延長線上にあったと解釈出来ます。同時期にリリースされていた、同様のコンセプトを持つバイナルテックが、ダイアクロンとトランスフォーマーの間をギリギリで駆け抜け、とうとうキスぷれに辿り着いてしまった処を見ると、ファンが求めているのはトランスフォーマーであって、ダイアクロンではないという事なのでしょう。トランスフォーマー・ブランドですから、当たり前と言えば当たり前ですけど…。
とにかく、このリニューアルされたスタースクリームは、ファンの待ち望んだスタースクリーム像に程近いアイテムになったのではないでしょうか。
商品に「新破壊大帝」の肩書が付いているので、まずは戴冠式仕様から参りましょう。
クラウンはメッキ処理されており、豪華な印象。肩の迫力を増すショルダーアーマーは、接続部が可動する事で、腕部の可動を助ける仕様となっています。マントはプラスチック製でそれなりのボリュームがありますが、背部にガッチリとジョイントされるようになっていて、安易にポロリといった事にはなりません。
クラウンには、ダボ等がなく、頭にスッポリと被る仕様ですが、この被せる際の精度が小気味良い感じです。
背面。マントは畳まれた状態と広げた状態を再現出来る仕様。パタッと折り曲げられるギミックが、なかなか気持ち良いです。これは閉じた状態。
マントをほ広げた状態。二線の折り目で畳むようになっていますが、マントの曲面を巧く利用していて自然な感じです。
戴冠式の際、ビルドロンの下手なファンファーレに苛立ち、ラッパを破壊するスタースクリームを再現。ある意味、この瞬間がスタースクリームの最高位だったわけで、印象的なシーンです。
さて、「新破壊大帝」ではなく、「航空参謀」としてのスタースクリームはこんな感じ。
ほぼ全塗装だったMP-3とは異なり、成形色がカラーリングの主体を担っていますが、ほぼイメージ通りと言える出来だと思います。
今回目を引くのは、その頭部周りでしょう。変形の際、耳の部分が収納されるギミックがあり、ロボットモードにおける頭部の小ささを解決しています。また、ビークルモードのスタイリングを確保する為のパーツが廃された事で、肩部がスッキリしたのも特徴です。顔面の造形もかなりハンサムになったのではないでしょうか。
背面はMP-3とあまり変わりませんが、やはりテールバインダーが廃され、脚部に尾翼が移ったのは、スタースクリームのイメージ作りに大きく貢献しています。
個人的に、前モデルの最も嫌いな部分だったのが、そのテールバインダー。オリジナルに全く存在しないものなので、納得するのに時間を要しました(笑)。今回、尾翼は大胆に露出する事になりましたが、この辺りは旧トイと同様のコンセプトなので、充分許容出来ると思います。
アクション性はそれなり。というより、マスターピース標準といった処ではないでしょうか。マスターピースの本分は、劇中に登場するロボットモードとビークルモードの高水準での再現+差し替えなし変形のダイナミズムだと思うので、アクション性に関しては、そんなに動きまくる仕様である必要はないかと。
何故か定番化した胸部ミサイルポッドのギミックも健在。左右のハッチのテンションに差異があり、少々扱いにくい感触でしたが、これは個体差というヤツでしょう。
MP-3のUSAエディションと比較。
一見、脚部のみのリデコのように見えますが、実際には流用パーツの方が少ないです。当初からこの仕様でリリースしてくれれば(笑)。
MP-3の通常版と比較すると、MP-3のカラーリングがいかに「邪道」だったかが露呈します…。
それでも、当時は「アニメとは違うが、カッコいいスタースクリーム」だと思っていました。しかし、MP-11と比べてしまうと、申し訳ないけれど「汚く」見えてしまいます。これって、前期ダイアクロンやミクロマンの末期で突如登場した「リアルタイプ」の語法なんですよね。いわゆる、ガンダムMSV人気の影響です。
次の記事では、ビークルモードを紹介します。