Episode 16 迷宮 -ラビリンス-

 ウルトラマンは、一旦メフィストの撃退に成功する。孤門は様々な失意から、ナイトレイダーの制服を脱ぐ。TLTでは、現場より逃走してしまった孤門の処遇が議論されていたが、和倉隊長は孤門が苦悩に打ち勝ってくることを信じていた。

 その頃、M・Pが孤門を確保しようとしたところに根来が現れ、孤門を連れ去る。根来は周到な話術で孤門から情報を聞き出そうとしていた。しかし、放っておいて欲しかったと言う孤門に対し、真実の隠蔽を敵視する根来はつい激昂する。そしてそこへ、溝呂木が現れる。溝呂木は孤門にリコの幻を見せ、闇へと誘惑する。

 孤門に対する闇への誘惑を阻止せんとする姫矢と、溝呂木は激突。姫矢の呼びかけに応じない孤門に、溝呂木の思惑は達成されるかに思われた。が、孤門が不意に踏み壊してしまったリコのプレゼントが、孤門に現実の認識を促した。光に包まれ、闇から脱出する孤門!

 一方、ノスフェルを迎撃するナイトレイダーは、ノスフェルの再生を司る口中の臓器を破壊すべく奮闘するが、戦況は次々と不利に陥ってしまう。隊長も襲撃を受けたが孤門がそれを救う。そこへウルトラマンが現れ、ノスフェルの口を押さえつけた。

 孤門は、ノスフェルの口中に必殺の一撃を放つ!

解説

 孤門がようやく闇からの脱出を果たす、ポイントとなるエピソード。ラストの、全てを受け入れて戦いに身を投じる孤門の姿は非常に格好良い。ただし、重要なエピソードのはずが、今ひとつインパクトに欠けるものとなってしまっているのは否めない。その原因は何だろうか。

 一つは、かなり長きに渡って描写されてきた孤門の心の傷が、意外にあっさりと処理されてしまった点。リコのマスコットは効果的だったが、それで全てが受け入れられるかどうかは少し書き込みが足りないような気がする。姫矢の呼びかけが物理的に全く届かなかったのも印象を薄くしている(孤門に届いた姫矢の言葉は、以前聞かされたものの回想に過ぎない)。

 もう一つは、根来を中途半端に登場させてしまったこと。孤門を誘導して隠蔽工作のからくりを聞き出そうとするところは面白いし、先々への重要な伏線になるのだろうが、そのシーンが強烈だったために全体の印象が散漫になってしまった。

 しかしながら、それなりに見所も多い。M・Pが右往左往するシーンにはある種のユーモアが感じられる。思わず走って追いかけてしまうところなど、全体的に冷たい印象のあるTLT人員の中で、人間らしい面を垣間見ることが出来る。また、今回「怪獣らしいビースト」ノスフェルと、ウルトラマンの戦闘を見ることができる。巨人同士の戦いで食傷気味だったファンにとってささやかな喜びとなったであろう。溝呂木が参戦しなかったのは、孤門を諦めたからだろうか。

 さらに、姫矢のヒーローとしての描写が多いのも特徴。孤門の危機を超感覚的に感知、溝呂木と変身しないまま拳を交え、ブラストショットとダークエボルバーの光弾が両者の中央で激突する! いわゆる「変身前」でもこのような超人的な戦いを繰り広げられるのが、ネクサスの面白さだ。

 さて、孤門に関するエピソードは、この時点でほぼ決着したようだが、次に何が飛び出すのか?